リアガラスが割れたまま走行してもいい?法律・罰則と正しい対処法を徹底解説

割れてるリアガラス

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車のリアガラスが割れたまま走行するのは許されるのでしょうか?突然の飛び石や事故、いたずらなどで後ろのガラスが割れてしまった場合、「このまま走っても大丈夫かな?」と不安になりますよね。

フロントガラスとは違い、後部のガラスは多少壊れていても運転そのものには支障が少ないように思えます。しかし、法律上の決まりや安全面のリスクはしっかり存在します。

実際に街中でも、割れたリアウインドウをビニールシートで覆ってガムテープで留めている車を見かけますが、あれは本当に合法なのでしょうか?

CARPRIME編集部

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Chapter
リアガラスが割れたまま走行しても大丈夫?法律上はどうなるか
法律上はNGとなる可能性が高い
警察の取り締まり対象になり得る
安全面で重大なリスク
道路運送車両法で定められたリアガラスの保安基準
道路交通法による整備不良違反と罰則の解説
では実際に違反するとどうなる?
安全運転義務違反にも注意
車検は通るのか?陸運局に聞いたリアガラス破損時の対応
豆知識: リアガラスを金属板でふさぐ改造は可能?
オープンカーの場合は?
リアガラスが割れたまま走行するリスクと危険性
ガラス片の飛散による二次被害
車両盗難や車上荒らしのリスク
天候や環境によるダメージ
車体剛性への影響
リアガラスが割れたときの応急処置と安全な走行方法
1. 安全な場所に停止する
2. 乗員の安全確認
3. 破片の除去と清掃
4. 荷物の移動
5. 開口部の応急養生
6. ゆっくり修理工場へ移動
リアガラスの修理・交換方法と費用目安、保険は適用できる?
保険は使える?
保険を使うかどうかの判断ポイント
まとめ: リアガラスが割れたら早めに修理し安全・安心を取り戻そう

リアガラスが割れたまま走行しても大丈夫?法律上はどうなるか

結論から言うと、リアガラスが割れたまま車を走行することは法律上問題があります。

フロントガラスほど直接に運転に支障をきたすわけではありませんが、整備不良車両(適切に整備されていない車)と見なされ、取り締まりの対象になり得ます。

フロントガラスの場合、大きなヒビや割れは運転視界を妨げるため明確に道路交通法違反となりますし、走行中の風圧でさらに割れて乗員に降りかかる危険があるため、早急な修理・交換が必要です。

ではリアガラスの場合はどうでしょうか?後方の窓ガラスが割れていても、前方視界には直接関係ないため「走れるんじゃないか」と思うかもしれません。しかし、リアガラスが割れていると以下のような問題が生じます。

法律上はNGとなる可能性が高い

後述するように、車のガラス類には道路運送車両法で定められた安全基準があります。リアガラスがひび割れたり欠損した状態はその基準に適合しないため、公道を走る状態として認められません。応急的にビニールシートで穴を塞いでいる車も見られますが、それは正式な修理とは言えず車検に通らない状態です。

警察の取り締まり対象になり得る

すぐに検挙されるかはケースバイケースですが、割れ方が大きかったりガラス片がこぼれ落ちているような状態だと「他の車両や歩行者に危険を及ぼす」恐れがあると判断され、整備不良として警察に止められる可能性があります。逆にヒビが小さく目立たない場合は、直ちに取り締まられないことも考えられます。いずれにせよ放置は厳禁です。

安全面で重大なリスク

法律以前に、安全の観点からリアガラスが壊れたままの走行はおすすめできません。走行中の振動や風圧でガラスがさらに崩壊し、飛び散った破片が周囲の車のタイヤをパンクさせたり、後続車がそれを避けようとして急ハンドルを切り事故につながる恐れがあります。歩行者に飛んでケガをさせる可能性も否定できません。自車にとっても、後部座席や荷物にガラス片が降り注いで危険です。

道路運送車両法で定められたリアガラスの保安基準

まずは車両の安全基準を定める法律である「道路運送車両法」の観点から説明します。

この法律には公道を走る車が備えるべき装置や部品の技術基準(いわゆる保安基準)が定められており、車検もこの基準に適合しているかで合否が決まります。

道路運送車両法の第41条では、安全上・環境上の技術基準に適合しなければならない装置の一覧が挙げられており、その中に「前面ガラスその他の窓ガラス」が含まれています。

簡単に言えば、車のガラス類は国が定めた安全基準に適合した部品(保安基準適合品)でなければならないということです。

リアガラスも当然ながらこの規定の対象です。そのためリアガラスが割れている状態や、ガラスがなくビニールシートやアクリル板で代用した状態では保安基準不適合となり車検に通りません。

車検に通らないということは、「その車は安全基準を満たしておらず、公道を走れる状態ではない」ことを意味します。ですから、リアガラスが壊れたままでは継続して公道を走行することは法律上認められないのです。
ポイント: ビニールやテープで応急措置しただけでは正式な修理とは見なされません。あくまで一時的な非常措置としてなら仕方ありませんが、そのまま長期間公道を走るのはNGです。車検場の検査官にも一目で不合格と判断されるでしょう。
なお、道路運送車両法の保安基準ではガラスの材質にも規定があります。例えばフロントガラスは万一割れても破片が飛び散りにくい「合わせガラス」である必要がありますが、リアガラスは一般的に「強化ガラス(テンパードガラス)」が用いられます。

強化ガラスは割れると粒状になって飛び散りますが、車内の人が負傷しにくいというメリットがあります。しかしどちらにせよ、ヒビや割れがあればその強度や透明性が失われているため、安全基準に適合しない状態と言えます。

道路交通法による整備不良違反と罰則の解説

道路交通法には、ドライバーが車両を安全な状態で運行する義務が定められています。リアガラスが割れたままの車は前述のとおり保安基準不適合ですから、この状態で運転すると道路交通法にも違反する可能性があります。

具体的には、道路交通法第62条「整備不良車両の運転禁止」に抵触します。
道路交通法第62条(整備不良車両の運転の禁止):車両等の使用者や運転者は、その車両の装置が道路運送車両の保安基準に適合しないために交通の危険を生じさせ、または他人に迷惑を及ぼすおそれがあるような車を運転してはならない。
簡単に言えば、「安全基準に適合しない不備のある車を運転して、交通の危険や他人への迷惑を招いてはいけない」ということです。リアガラスが割れている状態はまさにこれに該当します。

ガラス破損は車の重要な装置の不備であり、そのまま走れば周囲に危険を及ぼす恐れが高いです。したがって道路交通法上もアウトとなります。

では実際に違反するとどうなる?

万が一、リアガラスが割れたまま走行して警察に見とがめられた場合、「整備不良」として交通反則切符(青キップ)を切られる可能性があります。その場合の罰則は以下の通りです。


違反名 違反点数 反則金(自家用)
整備不良(尾灯等) 1点 大型車: 9,000円

普通車: 7,000円

二輪車: 6,000円

原付: 5,000円
※ガラスの破損は、この「尾灯等」の項目に準じて扱われるのが一般的です。
※反則金を納付しない場合、「3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金」という刑事罰の対象となります。

違反切符を切られるだけでなく、警察官からその場で整備を命じられることもあります。その場合、フロントガラスに「整備不良車」と書かれたステッカー(整備命令標章)が貼られ、指定された期限までに修理したことを証明しなければ、車両の使用が制限される場合もあります。いずれにせよ、取り締まりを受けたら速やかに修理するしかありません。

安全運転義務違反にも注意

なおリアガラス破損が原因で視界不良や注意力の低下を招き、万が一事故につながれば、「安全運転義務違反」(道路交通法第70条、違反点数2点)に問われる可能性もあります。

例えばリアガラスがなくなったことで後方確認が不十分になり事故を起こしたようなケースでは、より重い責任を問われかねません。そうなる前に、やはり運転しないのが賢明です。

車検は通るのか?陸運局に聞いたリアガラス破損時の対応

結論から言えば、リアガラスが割れた状態では車検(継続検査)には絶対に通りません。

国の陸運局(運輸支局)の見解でも、「車検は新車時の型式認定を受けた状態と同じでなければ通らない」と明言されています。つまり、本来付いているはずのリアウインドウが壊れていたり、純正品ではないもので代用されていたりすれば確実に不合格となり、修理が必要になるということです。

東京陸運支局に実際に問い合わせたところ、リアガラスが破損した車については「程度に応じて適切な修理を行う必要がある」との回答でした。小さな傷であれば、市販の補修剤(ガラスリペア用の樹脂)で補修して問題ない場合もあるそうですが、多くの場合は交換が必要とのことです。特にガラスに穴が開いていたり、大きくヒビが入っている場合は迷わず新品ガラスへの交換を強く勧められます。

また、陸運局の担当者によれば「ガムテープでビニールを貼り付けた状態は修理とは見なされない」とのことでした。あくまで応急処置の範疇であり、そのままでは検査に合格しないばかりか、公道走行も認められない状態だという認識です。やはり一番良いのはリアガラスの交換であるのは言うまでもありません。

豆知識: リアガラスを金属板でふさぐ改造は可能?

ごく稀なケースですが、リアガラス部分を金属パネルで塞いでしまう改造(いわゆる板車のような状態)を考える方もいるかもしれません。

陸運局によれば、アクリル板では強度不足で車検NG、金属板で溶接する方法なら理論上は可能だが注意が必要とのことでした。というのも、重量が小型車で+50kg、普通車で+100kg以上増える場合は構造変更手続きが必要になるほか、重量増加により車軸重やタイヤの耐荷重にも収まる必要があるなどクリアすべき問題が多いからです。

現実的にはよほどの特殊事情がない限り、素直にガラス交換する方が得策でしょう。

オープンカーの場合は?

ちなみにソフトトップのオープンカーで、ビニール製のリアウインドウが経年劣化で割れた場合についても尋ねられていました。それに対する陸運局の回答は「オープンカーのソフトトップ(幌)は保安基準の対象ではないので問題ありません」とのこと。

オープンカーは幌を外して走行することが前提なので、リアウインドウ部分が破れていても法律上は不備にはならないというわけです。ただしもちろん雨風が吹き込んで実用上困るので、放置せず修理した方が良いのは言うまでもありません。

リアガラスが割れたまま走行するリスクと危険性

ガラス片の飛散による二次被害

前述の通り、割れたガラスが走行中の振動や風でさらに崩れ、破片が道路上に飛び散る恐れがあります。硬いガラス片が他車のタイヤを傷つけパンクさせたり、後続車が驚いてハンドル操作を誤ると、重大事故の引き金になりかねません。歩行者や自転車に当たれば怪我を負わせる危険もあります。

車両盗難や車上荒らしのリスク

リアガラスが無くなって穴が開いた状態だと、車内に簡単に手を入れられてドアを開けられてしまいます。またそのまま駐車しておくと、窓が開放状態なので防犯上非常に危険です。車上荒らしや盗難被害に遭う確率が高まるでしょう。応急処置でビニールを貼っても、ガラスより容易に破られてしまいます。

天候や環境によるダメージ

後部が開いた状態だと雨風が直接吹き込み、車内が濡れたり汚れたりします。電子機器や内装が水浸しになれば故障・劣化の原因になりますし、冬場は冷気が入って暖房が効かないなど快適性も損なわれます。また騒音や排気ガスが車内に入り込みやすく、乗員にとって快適どころか健康にも良くありません。

車体剛性への影響

現代の車はボディ全体で剛性(強度)を保つ構造になっており、実は窓ガラスも車体剛性の一部を担っています。リアガラスが無いと車体後部の剛性が低下し、走行時の歪みが大きくなる可能性があります。その状態で無理に走行を続けると車体にゆがみが生じたり、他の部品に負荷がかかることも考えられます。

リアガラスが割れたときの応急処置と安全な走行方法

1. 安全な場所に停止する

走行中にリアガラスが割れた場合は、あわてずにウインカーを出して徐行し、まずは安全に車を停めましょう。高速道路ならサービスエリアや路肩の非常帯に避難します。割れた瞬間は後方に注意し、ブレーキを急に踏まないことも大切です(後続車への追突防止)。

2. 乗員の安全確認

後部座席に人が乗っている場合、幸いケガがないか確認します。強化ガラスは粒状に砕けるとはいえ、破片が当たれば小さな傷はあり得ます。可能なら後部乗員は前方座席へ避難させます。

3. 破片の除去と清掃

車を停めたら厚手の手袋などを着用し、割れたガラスの大きな破片を取り除きます。内側・外側の両方に破片が散らばっている可能性があるので、ゆっくり落とすか、ほうきや刷毛でかき集めると良いでしょう。車内の細かなガラス粉は後で掃除機で吸い取る必要がありますが、応急的には座席や荷物に付いた破片を払い落としておきます。

4. 荷物の移動

トランクや後部座席に荷物が積んである場合、ガラスが当たっていたりこれから走行中に飛んでくる恐れがあります。一旦荷物はトランクルームや前席足元など、安全な場所に移動させてください。

5. 開口部の応急養生

割れて穴が空いている箇所や大きなヒビには、ビニールシートや厚手のビニール袋、段ボールなどを当ててテープでしっかり固定しましょう。透明な厚手ビニールがあればベストです(視界を確保しつつ風雨を防げます)。段ボールの場合は後方視界が完全に塞がりますが、サイドミラーで代用できるので問題ありません。隙間なく貼ることで風の進入やガラス片のさらなる脱落をある程度防げます。

6. ゆっくり修理工場へ移動

応急処置をしたら、できるだけ早く整備工場やディーラー、ガラス修理の専門店に向かいましょう。走行時はスピードを控えめにし、凸凹道は避け、急加速・急ブレーキもしないように気をつけます。高速走行するとビニールがはがれたりヒビが悪化する恐れがあるため、一般道を低速走行する方が無難です。可能であれば同乗者に後方の様子を見てもらったり、昼間でもライトを点けて周囲に注意喚起するのも良いでしょう。


最も安全なのは、可能であればレッカー移動や修理業者の出張サービスを利用し、自分で走行しないことです。車両保険のロードサービスやJAF会員であればレッカー費用が無料になる場合もあります。

リアガラスの修理・交換方法と費用目安、保険は適用できる?

リアガラスが割れた場合の修理方法は主に「リペア(補修)」か「交換」の二択になります。どちらになるかはガラスの損傷具合によって判断されます。

修理方法 リペア(補修) ガラス交換
対象となる損傷 ごく小さなヒビや表面の欠け
※強化ガラスのため対応できるケースは稀
大きなヒビ、穴、クモの巣状の割れ
※ほとんどのケースが該当
費用目安 3万円 ~ 5万円前後 5万円 ~ 10万円以上(普通車の場合)
メリット ・費用が比較的安い
・作業時間が短い(1~2時間)
・新品になり安全性が回復する
・どんな割れ方でも対応可能
デメリット ・対応できる傷が限定的
・熱線(デフォッガー)は直らない
・費用が高額になる
・取り寄せに時間がかかる場合がある
  • リペア:1~2時間程度
  • 交換:半日~1日程度 ※ガラスの在庫がない場合は取り寄せに日数がかかります。

保険は使える?

車両保険(任意保険のオプション)に加入していれば、飛び石や事故、いたずらなど原因を問わず、ガラス破損の修理代が補償されるケースがほとんどです。

ただし、保険を使うと翌年以降の保険等級がダウンし、保険料が上がってしまうデメリットもあります。高額な修理費を保険でまかなうか、保険料の値上がりを避けて自費で支払うか、慎重な判断が必要です。


保険を使うかどうかの判断ポイント

車の修理で保険を使うか迷ったら、「自費での修理代」と「保険利用で将来上がる保険料の総額」を比べましょう。まず修理業者から見積もりを取り、次にその金額を保険会社に伝えて、保険料がどう変わるかシミュレーションを依頼します。

その結果、将来上がる保険料の総額が修理代の見積額より少なければ保険を使い、多ければ自費で支払うのが合理的です。

判断に迷えば、保険代理店や修理業者といったプロに相談するのが確実でしょう。長期的な視点で冷静に比較することが、損のない選択に繋がります。

まとめ: リアガラスが割れたら早めに修理し安全・安心を取り戻そう

リアガラスが割れたままの走行について、法律面・安全面から詳しく解説してきました。最後に重要ポイントを整理します。

  • 法律上NG
リアガラス破損の放置は道路運送車両法の保安基準不適合に該当し、車検に通らない状態です。また道路交通法上も整備不良違反となり、罰則(反則金・点数)の対象です。警察に見つかれば整備命令や違反切符を受け、修理するまで運転継続は許されません。

  • 安全上もリスク大
割れたガラスが走行中に飛散すれば、周囲の車や人に危害を及ぼす恐れがあり非常に危険です。また車内への雨風や防犯面の不安、車体への負荷などデメリットだらけです。たとえ走行自体はできても、そのまま乗り続けるメリットは皆無と言えます。

  • 陸運局も修理必須と回答
国の運輸支局でも「型式認定時と同じ状態でないと車検NG」と明言しています。応急処置はあくまで応急であり、根本解決はガラス交換が原則です。困ったときは早めにプロに相談しましょう。

  • 応急処置をして速やかに対処
割れたらすぐ安全な場所に停車し、破片の除去やビニールでの養生など応急処置を行います。そして可能な限り早く修理工場へ向かいましょう。無理な運転は禁物です。

  • 修理費用と保険
リペアで済めば数万円、交換なら5~10万円程度が目安です。車両保険に入っていればガラス修理は補償される場合が多く、保険適用も検討しましょう。等級ダウンとの損得計算は必要ですが、場合によっては自己負担を大きく減らせます。


大切な愛車のリアガラスが割れてしまったら、焦らず適切に対処することが肝心です。法律的にも走行を続けることはできませんので、早めに直して元通りの安全・安心な状態に戻しましょう。リアガラスは車両の一部として重要な役割を果たしています。常に万全の状態で、安心してカーライフを送りたいですね。

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