新品タイヤの赤丸・黄丸マーク徹底解説|意味・取付ポイント・よくある誤解

タイヤ 黄色マーク

※この記事には広告が含まれます

新品タイヤのサイドウォール(側面)に、赤色黄色といった小さな丸いマークが付いているのを見かけたことはありませんか?

「単なる汚れかな?」と見過ごしてしまいがちですが、これらのマークはタイヤの性能を最大限に引き出し安全で快適な走行を実現するために非常に重要な意味を持つ目印なのです。

本記事では、この赤色と黄色のマークが持つ正式な名称、それぞれの役割、そしてタイヤ交換・取り付け時の正しい活用方法について、丁寧に解説していきます。

この記事をざっくり言うと

  • 新品タイヤの黄色や赤の丸い印はセッティングの参考となる点を示している
  • 黄色のマークは「軽点マーク」と呼ばれ、タイヤの中で最も軽い部分を示している
  • 赤いマークは「ユニフォミティマーク」といい、タイヤの外径が最も大きい部分を示している

CARPRIME編集部

クルマ情報マガジン CARPRIME[カープライム]を運営。
「カーライフを楽しむ全ての人に」を理念に掲げ、編集に取り組んでいます。

CARPRIME編集部
Chapter
赤と黄色のタイヤマークとは?
黄色い軽点マークの役割
赤いユニフォミティマークの役割
メーカーがマークを付ける理由
重量バランスを取るための軽点
真円度を高めるユニフォミティ
車種・走行シーン別に見るマーク効果
高速道路やスポーツ走行での振動低減
大型車・商用車における耐久性向上
取り付け時の正しいマーク活用法
黄色い軽点マークとエアバルブ位置を合わせるのが基本
ホイール側にマークがある場合は赤いユニフォミティマークを優先
黄色と赤色、両方のマークを同時に理想的な位置に合わせられない理由
ホイールバランサーによる最終調整は必須
タイヤマークが無い場合の対処
海外メーカーがマークを省略する背景
バランサーによる調整で問題なく使用できる理由
国内外メーカーとJATMA基準の違い
国産タイヤの標準的なマーク運用
欧州メーカーの省略と品質自信
タイヤ購入・交換時に使えるチェックリスト
よくある誤解と正しい知識
まとめ|タイヤマークを理解して安心・快適ドライブ

赤と黄色のタイヤマークとは?

新品タイヤのサイドウォールに時折見られる赤色や黄色の丸いペイントマーク

これらはタイヤメーカーが製造工程で意図的に印したもので、それぞれ異なる意味合いを持っています。

主にタイヤの重量バランス形状の均一性(ユニフォミティ)に関連する情報を示しており、ホイールへの適切な組み付けを助けるためのガイドとなります。

黄色い軽点マークの役割

黄色い丸は「軽点(けいてん)マーク」と呼ばれ、タイヤ全周の中で最も軽い部分を示します。

ホイールには通常、最も重い部分とされるエアバルブがあるため、この軽点マークをエアバルブの位置に合わせて組み付けることで、タイヤとホイールを組んだ状態での初期の重量バランスが向上します。

これにより、ホイールバランス調整時に必要となるバランスウェイト(重り)の使用量を最小限に抑えることができ、燃費や乗り心地の改善に繋がるとされています。

この黄色いマークは走行などで自然に消えることがありますが、マークが消えてもタイヤの性能自体に影響はありません

赤いユニフォミティマークの役割

赤い丸は「ユニフォミティマーク」(RFVマーク)と呼ばれ、タイヤの均一性に関する情報を示し、主にタイヤが1回転する際の力の変動が最も大きい箇所や、外径がわずかに大きくなる高点(こうてん)を指します。

ホイール側に印された「ローポイントマーク」(多くは白や青の点。ホイールの凹みやRFVの谷部分)とこのユニフォミティマークを合わせて組み付けることで、タイヤとホイール全体の真円度が高まります。

これにより、特に高速走行時の微細な振動やロードノイズが低減され、スムーズで安定した走行フィーリングに貢献します。

タイヤに軽点マーク(黄色)とユニフォミティマークの両方がある場合、どちらを優先するかはホイールの状態などに応じて整備士が判断します(両方を同時に最適位置に合わせることはできません)。

メーカーがマークを付ける理由

タイヤメーカーが新品タイヤにこれらのマークを付けるのは、最終的に車両に取り付けられた際に、タイヤとホイールが一体となって最適な性能を発揮できるようにするためです。

これは、製造技術がいかに進歩しても避けられない、ごくわずかな製品のばらつきを補正し、より良い状態に近づけるための工夫と言えます。

重量バランスを取るための軽点

タイヤは、ゴムの厚み、内部構造のスチールベルトやカーカスコードの配置など、多くの部材から構成されています。

これらの部材の重量や密度がタイヤ全周にわたって完全に均一であることは極めて困難であり、製造工程でどうしてもわずかな重量の偏り(アンバランス)が生じます

軽点マークは、この重量のアンバランスの中で「最も軽い位置」を製造段階で特定し、それを可視化するものです。

ホイールに組み付ける際に、ホイールの最も重い部分(通常はエアバルブの位置)とこの軽点を合わせることで、タイヤ・ホイールアッセンブリ全体の重量バランスを初期段階である程度整えることができます。

これにより、最終的なホイールバランス調整で取り付けるバランスウェイトの量を最小限に抑えることが可能になります。

バランスウェイトが少ないことは、見た目の美しさだけでなく、タイヤ回転時の不要なエネルギーロスを減らし、結果として低燃費快適な乗り心地、さらにはタイヤの均一な摩耗にも貢献します。

真円度を高めるユニフォミティ

タイヤはゴムという柔軟な素材で作られているため、製造公差の範囲内で真円に近い形状に作られていますが、ミクロのレベルで見ると完全な真円ではなく、また全周にわたって硬さが均一であるとも限りません。

ユニフォミティマーク(多くは赤色)は、このようなタイヤの形状や硬さのわずかな不均一性の中で、半径方向の力の変動が最も大きくなる箇所(RFV最大点)や、外径が相対的に大きくなる傾向のある箇所を示しています。

ホイール側にも同様に、真円度が低い箇所やRFVの谷となる箇所(ローポイントマーク)が示されている場合があります。

これらを組み合わせて装着することで、タイヤの「凸」とホイールの「凹」、あるいはタイヤの硬い部分とホイールの柔らかい部分(またはその逆)を相殺し、タイヤ・ホイールアセンブリ全体としてより均一な回転が得られるようにします。

これにより、走行中のハンドルの微振動や特定の速度域で発生する周期的な振動(シミー現象など)が抑制され、ロードノイズの低減、さらには長距離運転時のドライバーの疲労軽減にも繋がります。

車種・走行シーン別に見るマーク効果

高速道路やスポーツ走行での振動低減

高速巡航やワインディング走行ではタイヤのアンバランスが顕著に現れ、ハンドルの微振動やロードノイズに直結します。

軽点・ユニフォミティを活用した組み付けと精密バランス調整で振動を抑えれば、走行安定性だけでなくサスペンションやハブベアリングの寿命延長にも貢献します。

大型車・商用車における耐久性向上

トラックやバスは車重が大きくタイヤへの荷重も高いため、わずかなアンバランスが偏摩耗やビード部ストレスの増大を招きます。

軽点合わせで初期バランスを整えておけば、タイヤ寿命を延ばし燃料コストを低減できます。運送業界では定期的なホイールバランス再調整が推奨され、マーク知識は整備担当者の必須スキルです。

取り付け時の正しいマーク活用法

黄色い軽点マークとエアバルブ位置を合わせるのが基本

ホイール側に特に目印(ローポイントマークなど)が見当たらない場合や、スチールホイールなどの場合は、タイヤのサイドウォールに表示されている黄色い軽点マークを、ホイールのエアバルブの位置に合わせて組み付けるのが最もスタンダードな方法です。

エアバルブはホイール単体で最も重い部分とされているため、タイヤの最も軽い部分(軽点)をここに合わせることで、初期の重量バランスを良好な状態に近づけることができます。

これにより、後のホイールバランス調整で必要となるバランスウェイトの量を大幅に削減できることが期待できます。

ホイール側にマークがある場合は赤いユニフォミティマークを優先

一部の純正アルミホイールや高品質なアフターマーケットホイールには、ホイールの真円度が最も低い箇所(ローポイント、またはRFVの谷の部分)を示すために、白色や青色、場合によっては黄色以外の別の色のペイントマークが打たれていることがあります。

これを「ローポイントマーク」「ボトムマーク」と呼びます。このようなホイール側のマークが存在する場合、タイヤに赤いユニフォミティマーク(RFV最大点または外径最大部)が付いていれば、そちらを優先してホイールのローポイントマークと合わせるのが一般的です。

これにより、タイヤとホイールの凹凸や力の変動を相殺し、組み合わせた状態での真円度や均一性を最適化することを目指します。

黄色と赤色、両方のマークを同時に理想的な位置に合わせられない理由

タイヤには黄色い軽点マークと赤いユニフォミティマークの両方が付いている場合がありますが、これらのマークはタイヤの製造上の特性からそれぞれ異なる位置に印されています。

同様に、ホイール側もエアバルブの位置とローポイントマークの位置は必ずしも一致しません。そのため、タイヤの黄色マークをバルブに合わせ、かつ赤色マークをホイールのローポイントマークに合わせる、という両方の条件を同時に満たすことは物理的に不可能です。

どちらを優先するかは、ホイールの状態(マークの有無)やタイヤの種類、整備士の判断によって決まります。

基本的には、「ホイールにローポイントマークが無ければ黄色の軽点マークをバルブに、ホイールにローポイントマークがあれば赤色のユニフォミティマークをそのマークに合わせる」と覚えておくと、タイヤ交換を依頼する際にも役立つでしょう。

ホイールバランサーによる最終調整は必須

軽点マークやユニフォミティマークを基準に組み付けを行うことは、あくまでホイールバランス調整の初期段階、いわば“下準備”に過ぎません。

タイヤとホイールを組み付けた後は、最終的に必ず専用のホイールバランサーという機械を使用して、精密なバランス調整を行う必要があります。

ホイールバランサーは、タイヤ・ホイールアッセンブリを回転させ、重量のアンバランスを検出し、どの位置にどれだけの重さのバランスウェイトを貼り付ければ良いかを示してくれます。

この最終調整を省略してしまうと、マーク合わせをしても高速走行時にハンドルがブレたり車体に振動が発生したりする原因となるため、絶対に省略してはいけない重要な作業です。

タイヤマークが無い場合の対処

海外メーカーがマークを省略する背景

ミシュランやコンチネンタルといった一部の欧州メーカーのタイヤには、軽点マークやユニフォミティマークが付いていないことがあります。

これは、彼らが自社のタイヤ製造技術の高さに自信を持っており、「どの位置でホイールに組み付けても、バランスや均一性に大きな問題は生じない」という考えに基づいているためです。

つまり、タイヤ自体の重量バランスや真円度が極めて高い精度で管理されているため、あえてマークによる初期合わせの必要性が低いと判断しているのです。

また、マークを付ける工程を省略することによるコスト削減や、物流過程でのマークの擦れ落ちを防ぐ目的、さらにはタイヤサイドウォールのデザイン性を重視し、余計なマーキングを避けるといった意匠面での配慮も理由として挙げられます。

バランサーによる調整で問題なく使用できる理由

たとえタイヤに軽点マークやユニフォミティマークが付いていなくても、ホイールへの組み付け後にホイールバランサーで測定すれば、タイヤ・ホイールアッセンブリの重い箇所やアンバランスの度合いは機械的に正確に検出できます。

そして、その測定結果に基づいて適切な位置に適切な量のバランスウェイトを貼り付けることで、走行中の振動は十分に抑えることが可能です。したがって、マークの有無がタイヤの最終的なバランス性能を決定づけるわけではありません。

むしろ、マークが付いていないタイヤであっても、ホイールバランサーで調整した際にごく少量のウェイトでバランスが取れるのであれば、それはそのタイヤの製造精度が非常に高いことの証拠とも言えます。

国内外メーカーとJATMA基準の違い

国産タイヤの標準的なマーク運用

ブリヂストン、ヨコハマ、ダンロップ、トーヨーなど国産主要メーカーは軽点マークを必ず採用し、一部ハイパフォーマンスタイヤで赤マークも付けています。

JATMA(日本自動車タイヤ協会)は「黄色=最軽点」「赤=高点」の色分けをガイドラインで定義し、交換時には軽点をバルブへ合わせる方法を推奨しています。

欧州メーカーの省略と品質自信

欧州勢は「高精度だからマーク不要」の考えが主流で、軽点省略が目立ちます。

ただし北米メーカーやアジアメーカーは国産同様に黄色マークを付ける場合が多く、国・ブランドによって方針が分かれています。

タイヤ購入・交換時に使えるチェックリスト


タイヤを新しく購入したり、交換作業を依頼したりする際には、以下の点を意識してチェックすることで、より安心してタイヤの性能を引き出すことができます。

確認項目具体的ポイント
マーク位置黄色がバルブに、または赤とホイールマークが合っているか
ウェイト量4本で極端に重り量が違わないか(精度の目安)
ホイール状態歪みや腐食が無いか、ハブ面が清掃されているか
バランス調整組付け後に必ずバランサーで最終チェックしたか
マークの有無無い場合は仕様。安心して使用し、過度に心配しない

よくある誤解と正しい知識

  • 誤解:「黄色いマークはタイヤで一番重い場所を示している」
正解: 実際には逆で、黄色いマーク(軽点マーク)はタイヤ全周で最も軽い部分を示しています。ホイールの最も重い部分とされるエアバルブと合わせることで、重量バランスを相殺するのが目的です。


  • 誤解:「タイヤのマークは剥げたり消えたりしたら危険だ」
正解: タイヤマークは、組み付け時の目印として付けられている一時的なペイントです。走行中の摩擦や洗浄などで自然に消えてしまうことがありますが、マークが消えてもタイヤの性能や安全性に直接的な影響はありません。


  • 誤解:「タイヤマークが無いタイヤは品質が低い、または不良品だ」
正解: 前述の通り、一部の海外メーカーなどは自社の製造技術の高さから、あえてマークを付けていない場合があります。マークがないからといって、直ちに品質が低いと判断することはできません。 むしろ、マークが無くてもホイールバランス調整時に少ないウェイトでバランスが取れるタイヤは、精度が高いと言えます。


  • 誤解:「タイヤマークを合わせて組み付ければ、ホイールバランス調整は不要で振動も出ない」
正解: タイヤマークを合わせることは、あくまで初期バランスを整えるための目安です。最終的な精密なホイールバランス調整を専用のバランサーで行わなければ、高速走行時などに振動が発生する可能性は残ります。


  • 誤解:「黄色いマークと赤いマークの両方が付いている場合、両方を同時に合わせる必要がある」
正解: 黄色い軽点マークと赤いユニフォミティマークは、それぞれ異なる基準でタイヤの特定の位置を示しているため、通常は異なる場所に印されています。また、ホイール側のエアバルブ位置とローポイントマークの位置も一致するとは限りません。そのため、両方のマークの条件を同時に満たすように組み付けることは物理的に不可能です。 ホイール側のマークの有無などに応じて、どちらかのマークを優先して合わせることになります。

まとめ|タイヤマークを理解して安心・快適ドライブ

新品タイヤの赤丸・黄丸は、軽点とユニフォミティという大切な「バランスのヒント」です。

黄色は最軽点、赤は外径最大部を示し、ホイールの重い/凹んだ部分と組み合わせることで追加ウェイトを減らし、振動や偏摩耗のリスクを低減します。

マークが無いタイヤもバランサー調整で安全に使用可能ですが、マークを活用すれば整備効率が上がり、より滑らかで静かな走行が期待できます。
【お得情報あり】CARPRIMEのLINEに登録する

商品詳細