意外な祖先を持つスズキ ジムニーの系譜とは?

スズキ ジムニー XC

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2018年夏に新型が出ると、巷で話題沸騰中のジムニー。

現行型は発売から20年という超ロングセラーモデルで、未だ人気が衰えません。

今回は、そんなジムニーのDNAを遡ってみました。

文・山崎 友貴

山崎 友貴|やまざき ともたか

四輪駆動車専門誌、RV誌編集部を経て、フリーエディターに。RVやキャンピングカー、アウトドア誌などで執筆中。趣味は登山、クライミング、山城探訪。小さいクルマが大好物。

山崎 友貴
Chapter
世界を魅了してきたジムニーDNA
ジムニーは実は始祖は他社製だった
ジムニーは2018年にさらなる進化を遂げる?

世界を魅了してきたジムニーDNA

ジムニーと言えば、いまや希少となったラダーフレームを持つヘビーディーティ4WDであり、唯一の軽自動車枠の本格派4WDです。1970年に初代が発売され、日本をはじめ、アジア諸国、アメリカ、ヨーロッパで愛されてきました。

1998年に登場した3代目(現行型)のJB23/43型は、10度のマイナーチェンジを経ているものの、なんと20年というモデルサイクルを誇る名車中の名車です。登場からこれだけ年月が経っているというのに、2016年には約1万3,000台を販売しています。

ジムニーが最も成功したのは2代目、ちょうど世の中にクロスカントリー4WDブームが訪れ、それにのってジムニーは世の中に認知されていきます。当初は2サイクルエンジンを搭載しましたが、1984年のマイナーチェンジで4サイクルエンジンに換装。

ターボ化や550ccから660ccに排気量アップするなど、時代の流れとニーズに合わせて、徐々に進化していきました。

1,000ccエンジンを搭載した普通乗用車枠のジムニーが登場したのも2代目からで、当初は「ジムニー1000」と呼ばれていました。1993年に1,300ccエンジンが搭載されたのを機に、「シエラ」という名前が付けられました。

2代目は多彩なボディバリエーションを持っていたのも特徴でした。オープンボディ(ハーフメタルドア、フルメタルドア)、バン、ワゴン、そして高いルーフを持つパノラミックルーフが用意されていました。

そしてこの2代目がジムニーブランドを確固たるものにし、新軽自動車枠の3代目へとバトンを渡すのです。

ジムニーは実は始祖は他社製だった

※画像は初代ジムニーLJ10型

長い歴史を誇るジムニーですが、実は初代が始祖ではないのをご存じでしょうか。かつては日本には、無数の自動車メーカーがありましたが、その中のひとつにホープ自動車(現ホープ)というメーカーがあり、ホープスターというブランドで自動車を造っていました。

主に軽三輪トラックを製造していたのですが、エンジンの強度不足が発覚し、一時は自動車製造業界から撤退しました。ですがその後、再起を図って、日本で初の軽四輪駆動車「ON型4WD」を開発。

これは当時の軽自動車免許で乗ることができる本格的なクロスカントリー4WDで、ラダーフレームに前後リーフリジッドサスペンション、エンジンは360cc 2サイクルエンジン、これにパートタイム4WDというパワートレインを組み合わせたものでした。

ホープスターのON型4WDは市井に送り出されましたが、販売網が脆弱だったことから、わずかに生産されたのみで終了。ホープスター自動車も自動車製造から完全撤退することになります。

この時ホープスター自動車は、当時アメリカからライセンスを得て、Jeepを生産していた三菱重工業に製造権の売却を打診しましたが破断。結局、鈴木自動車(現スズキ)が製造権を購入したのです。

このホープスターON型4WDの基本的な構造を使って、初代ジムニーLJ10型が生まれたのです。ちなみにジムニーとは「ジープ」と「ミニ」を合わせた造語と言われています。

ジムニーは2018年にさらなる進化を遂げる?

2代目から3代目のJB23/43型にモデルチェンジした際には、従来とは異なる斬新的なデザインに、ファンからは賛否両論がありました。ですが結果的にはそれが功を奏し、ほぼ形を変えることなく20年という長きにわたり、市場の根強い支持を得てきたのです。

そして今年、次期ジムニーと思われるテスト車両の写真が雑誌やネットを賑わせました。どことなく2代目を思わせるクラシカルなシルエットは、デザインヘリテイジが盛んな昨今、否が応でもファンの期待をかき立てました。

2017年の東京モーターショーにお目見えするのではないかという声もありましたが、残念ながら登場はなし。結局、来年の夏頃に発売されるというのが、現在の予想です。

次期ジムニーはラダーフレームやコイルリジッドサスペンションなどの本格4WDのメカを踏襲しつつ、新世代にふさわしい装備を備えているという噂です。もちろん想像の域は越えませんが、オフロード走行を支援する電子デバイスや、最新の安全装備が採用されるかもしれません。

新型の噂が沸騰する一方で、現行型の人気も再燃しています。丸くて何となくキュートな現行型のスタイルは未だ支持が多く、今のうちに購入しておきたいという声も少なくありません。

コンパクトなボディサイズと優れた悪路走破性、頑丈な構造を併せ持つクルマは、世界でもジムニーだけ。ジムニー栄光の歴史は、まだまだ続きそうです。

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