後部座席の中央が盛り上がっている理由とは?2025年最新の車事情も交えて解説

日産 ティアナ

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車の後部座席の中央にある盛り上がり部分を見かけたことはありませんか?タクシーや昔のセダンで後部座席真ん中の足元に出っ張りがあり、中央席に座ると足の置き場に困った経験がある方もいるでしょう。この盛り上がりは一体何のためにあるのでしょうか。本記事では、後部座席中央が盛り上がっている原因と背景にある駆動方式や最新技術について、2025年時点の車事情も交えながら解説します。
Chapter
後部座席中央が盛り上がる原因|センタートンネルの多面的な役割
後部座席フロアの形状変化|FF車の普及と設計の現実
最新技術がもたらすフラットフロア|電気式4WDとEVの進化
まとめ|盛り上がりのある車・ない車の違いと選び方のポイント

後部座席中央が盛り上がる原因|センタートンネルの多面的な役割

後部座席の中央が盛り上がっている主な原因は、車の構造、特に駆動方式と車体設計にあります。フロントエンジン・リア駆動(FR)方式の車では、エンジンの動力を後輪に伝えるプロペラシャフトを車体中央に通す必要があり、そのスペースとして床がトンネル状に盛り上がります。この「センタートンネル」が、後部座席中央の盛り上がりの正体です 。例えば、旧式のタクシー(トヨタ・クラウンコンフォートなど)はFR方式のため、床下に太いプロペラシャフトを通す必要があり、後部座席足元の中央が大きく盛り上がっていました。

FR車だけでなく、エンジンで生み出した動力をプロペラシャフトで後輪に伝える機械式の4WD(四輪駆動)車でも、同様にセンタートンネルが必要です。ただし、車高の高いSUVなどでは、プロペラシャフトを床下のより低い位置に配置することで、室内の床を比較的フラットに設計している車種もあります。  

しかし、センタートンネルの役割はプロペラシャフトの格納だけではありません。内部には排気管が通っているほか、フロア全体の強度を高める「背骨」のような役割も担っています。この車体剛性の確保という目的は、駆動方式にかかわらず重要です。

後部座席フロアの形状変化|FF車の普及と設計の現実

近年、乗用車の主流がFF(前輪駆動)方式になったことで、後部座席のフロア形状にも変化が見られます。FF方式はプロペラシャフトを必要としないため、室内空間、特に後席足元の設計自由度が高まります。これにより、かつてのFRセダンに見られたような大きな盛り上がりは減少傾向にあります。

しかし、「FF車だからセンタートンネルがない」というわけではありません。現代の多くのFF車にも、後部座席の中央には盛り上がりが存在します。その主な理由は、4WDモデルとプラットフォーム(車台)を共用しているためです。メーカーは開発・生産コストを効率化するため、FFモデルと4WDモデルで共通のフロアパンを使用します。そのため、プロペラシャフトが通る前提で設計されたセンタートンネルが、FFモデルにもそのまま残ることが多いのです。また、前述の通り、車体剛性の確保や排気管の経路として、FF車であってもセンタートンネルが必要とされる場合もあります。

その結果、現在では乗用車の主流はFFとなり、床中央の出っ張りが比較的小さい、あるいは巧みに設計された車が増えています。例えば、2017年に登場したFF方式のトヨタ「ジャパンタクシー」は、FR方式だった旧来のタクシー車両に比べ、床が大幅に低くフラットになり、乗降性が大きく向上しました。

最新技術がもたらすフラットフロア|電気式4WDとEVの進化

近年では、4WD車でもプロペラシャフトを持たない新しい駆動方式が登場しています。ハイブリッド車には前輪をエンジンで、後輪をモーターで駆動する電気式4WD(電動リア駆動)システムがあります。トヨタの「E-Four」(プリウス、ハリアーなど)や日産のe-POWER 4WD(ノート等)では後輪をモーターで動かすためプロペラシャフトは不要になります。

さらに電気自動車(EV)では4WDであってもプロペラシャフトが不要です。多くのEVは床下にバッテリーを搭載し車体剛性が高いため、床面を補強するトンネル構造も必要ありません。つまりEVなら最初からフラットな床を設計しやすく、後部座席足元にも障害物のない広い空間を確保できます。

まとめ|盛り上がりのある車・ない車の違いと選び方のポイント

後部座席中央が盛り上がっているのは主にFRや従来型4WD車の駆動系(プロペラシャフト)や排気系の存在が原因です。日本の乗用車市場ではFFレイアウトが主流となって久しいですが 、近年はハイブリッド車(HEV)の販売比率が6割を超えるなど電動化が急速に進んでいます。これに伴い、プロペラシャフトを必要としない電気式4WDや、構造的にセンタートンネルが不要なEVが増加傾向にあります。一部にはFR車も残りますが、後部座席に3人で乗る機会が多いなら、センタートンネルの小さい、あるいは全くない車を選ぶと快適性が高まるでしょう。
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