レクサス「LM」をライバルの「エルグランド VIP」をプロが徹底比較

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レクサスの新しいフラッグシップとして2023年10月に日本導入がスタートしたのが「LM」です。そのライバルとなるのがLサイズのミニバンであり、4人乗り仕様も用意する日産「エルグランド VIP」となります。それぞれは、どのような車なのか? パワートレインやインテリアなどを比較してゆきます。

文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
レクサス「LM」の特徴
日産「エルグランド」の特徴
「LM」と「エルグランド VIP」をサイズ感で比較
「LM」と「エルグランド VIP」をパワートレインで比較
「LM」と「エルグランド VIP」の4人乗りの室内空間で比較
「LM」と「エルグランド VIP」のシートで比較
「LM」と「エルグランド VIP」の先進運転支援システムで比較

レクサス「LM」の特徴

レクサスの新しいフラッグシップとして2023年10月に誕生したのが「LM」です。「LM」という名前は「ラグジュアリームーバー」が由来となります。最初は2列シートの4人乗り仕様のみで発売され、翌2024年5月に3列シートの6人乗り仕様が追加されました。4人乗り仕様は、前席と後席の間に仕切りとなるパーティションが設置されており、後席のプライバシー性が非常に高いのが特徴です。
また、レクサスのフラッグシップに相応しい、4人乗りで2000万円6人乗りで1500万円という非常に高額な値付けとなっています。レクサスらしい「おもてなし」の心に満ちたゴージャスなモデルと言えます。

日産「エルグランド」の特徴

初代モデルが1997年に誕生し、Lサイズミニバンのラグジュアリー路線を切り開いたのが日産の「エルグランド」です。現行モデルは2010年8月にデビューし、すでに14年目を迎えたという長寿モデルです。何度もマイナーチェンジを実施することで、最新の運転支援システムが採用されています。

「エルグランド」で特徴的なのは、日産のカスタマイズ関連会社から豪華版として特別仕様車「VIP」が発売されているところです。この「VIP」には「LM」と同じように2列シートの4人乗り仕様が用意されているのが最大の特徴となります。また、やはり「LM」と同じように3列シートも存在しますが、「エルグランド VIP」の3列シート仕様は7人乗りとなります。
そして「エルグランド VIP」の価格は4人乗り仕様の2WDが807万8400円4WDが837万8700円であり、7人乗りの2WDが636万7900円4WDが666万8200円です。

4人乗り仕様を用意した「エルグランド VIP」が「LM」の国内で唯一のライバルと言っていいでしょう。

「LM」と「エルグランド VIP」をサイズ感で比較

Lサイズミニバンは、堂々としたボディサイズによる押し出しの強さも魅力の一つと言えます。「LM」のボディ寸法は、全長5125×全幅1890×全高1955㎜。一方、「エルグランド  VIP」は、全長4965×全幅1850×全高1815㎜となります。

サイズを比較すると、「LM」の方が一回り大きいことがわかります。特に全長と全高は、どちらも100㎜以上の差があります。
サイズ感に大きな影響を与えるのがホイール&タイヤのサイズです。「LM」には225/55R19のホイール&タイヤが標準となります。「エルグランド VIP」のホイール&タイヤは225/55R18が標準です。ノーマル比較であれば、「LM」の方が一回り大きいホイール&タイヤが装着されています。

「LM」と「エルグランド VIP」をパワートレインで比較

「LM」のパワートレインは2.4リッター・ターボ・エンジンと6速ATの2つを、クラッチを介して使うハイブリッドが搭載されています。また、後輪にもモーターが用意される「DIRECT4」と呼ぶ4WDシステムになります。システム最高出力は273kW(371PS)であり、燃費性能は4人乗りで13.5㎞/l(WLTCモード)、6人乗りで13.8㎞/l(WLTCモード)となります。パワートレインは、この1種類のみで、駆動方式も4WDのみとなります。
「エルグランド VIP」もエンジンはひとつのみ。ただし、こちらはFFの2WDと4WDの2種類の駆動方式が用意されています。エンジンは3.5リッターのガソリンV6エンジン「VQ35DE」が搭載されています。トランスミッションは6速マニュアルモード付のエクストロニックCVT-M6です。最高出力は206kW(280PS)で、燃費性能は2WDで8.7km/l(WLTCモード)、4WDで8.4km/l(WLTCモード)となります。エンジン車のみで、ハイブリッドが存在しません。

スペックを比較すると、パワーと燃費の両方で「LM」が勝ります。ただし、2WDと4WDを選ぶことができるのが「エルグランド VIP」の良さとなるでしょう。

「LM」と「エルグランド VIP」の4人乗りの室内空間で比較

ショーファードリブン(運転手付き車両)としての利用を考えられる「LM」と「エルグランド VIP」の最大の魅力となるのが室内空間となります。

「LM」の4人乗り仕様は、前席と後席を仕切るパーティションが設置され、しかも昇降/調光機能のついたガラスが用意されています。そのガラスを操作することで、前席と後席を別空間とすることができます。また、パーティションには48インチ大型ディスプレイがはめ込まれています。テレビを見たり、WEB会議に使うことができます。

このパーティションの存在こそが、「LM」の4人乗り仕様の最大の特徴となります。また、パーティションの下には冷蔵庫も用意されています。
一方、「エルグランド VIP」の4人乗り仕様は、前席と後席の仕切りは存在しますが、その高さは腰ほどのもの。また仕切りに収納はありますが、冷蔵庫機能は備わっていません。

「LM」と「エルグランド VIP」のシートで比較

「LM」のシートは、ホワイトまたはブラックの本革が使われています。前席はセミアニリンで後席はL-ANILINE本革が使われています。2列目シートはオットマン付きのキャプテンシートで、ヒーター&ベンチレーション機能とリラクゼーション機能、格納式テーブルが備わっています。
「エルグランド VIP」のシートも、ホワイトまたはブラックの本革となります。2列目シートはオットマン付きのキャプテンシートで、ヒーター機能が備わっています。

3列目シートは「LM」の場合は2人掛け。「エルグランド VIP」の3列目シートは3人掛けとなっています。「LM」の3列目シートは跳ね上げ収納式で、「エルグランド VIP」は床下への折り畳み式となっています。

「LM」と「エルグランド VIP」の先進運転支援システムで比較

「LM」には、「Lexus Safety System+」と呼ぶ、最新鋭の先進運転支援システムが採用されています。幅広いシーンに対応するプリクラッシュセーフティをはじめ、ステアリングアシストを伴うレーダークルーズコントロール機能、危険に近づかないように常に運転をさりげなくサポートするプロアクティブドライビングアシストなど、その機能は非常に充実しています。さらに条件が整ったときには、ステアリングから手を離す、いわゆるハンズオフできる「Lexus Teammate Advanced Drive(渋滞時支援)」も可能です。さらには、スマートフォンのアプリを利用して、車外から車を操作する「Advanced Park」なども用意されています。
「エルグランド VIP」にも、「LM」のプリクラッシュセーフティやレーダークルーズコントロールなどの機能が備わっています。ただし、ハンズオフ機能や、車外から車を操作するような最先端の機能は用意されていません。
レクサス「LM」と、日産「エルグランド VIP」は、どちらもゴージャスなLサイズミニバンであり、ショーファードリブンも想定されているモデルです。ただし、デビューの次期が10年以上の差があり、2倍以上の価格差もあります。そのため厳密に比較してみれば、パワートレインをはじめ、先進運手支援システムと豪華快適装備の充実度では、やはり、それなりの違いが存在しているようです。

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