なぜスカイラインにメルセデスのエンジンが搭載されたのか?その背景とは?

誰もが知っていると言っても過言ではない日本の名車、日産 スカイライン。そのスカイラインに2014年6月、メルセデス・ベンツEクラスなどに搭載されているダイムラー製のダウンサイジングターボエンジン(274型)を搭載したモデルが追加されました。日産の車にメルセデスのエンジンが搭載された背景とは?

Chapter
外国製エンジンを搭載したスカイラインの登場
日産とダイムラーの関係
スカイラインにダイムラー製エンジンを搭載した理由

外国製エンジンを搭載したスカイラインの登場

2014年6月、日産スカイラインにダイムラー製エンジンを搭載したモデル「200GT-t」が登場し話題となりました。なぜなら、日本のメーカーが外国メーカーのエンジンを搭載する例など、OEMを除けばそれまでなかったからです。

スカイライン「200GT-t」に搭載されたのは、メルセデス・ベンツCクラスやEクラスで250とされるグレードに搭載される、274型になります。

このエンジンは、DOHC 直列4気筒ターボで、最高出力211ps、最大トルク35.7kgmを発生する、昨今欧州では主流のいわゆるダウンサイジングターボと呼ばれるタイプのエンジンです。

日産のホームページでは、「パワーみなぎる走りと優れた燃費性能を両立する次世代のターボエンジン」と紹介されています。

ただし、両車のエンジンはまったく同じものではないようで、スペック上では最高出力や最大トルクは同じものの、最大トルク発生回転数やJC08燃費が異なっています。エンジン型式も、スカイラインは「274930」で、Eクラスは「274920」という型式になります。

ちなみに、北米で販売されるインフィニティブランドのQ50(スカイラインの北米モデル)では、ダイムラー製のディーゼルエンジンを搭載したモデルもあります。

では、スカイラインにダイムラー製のエンジンが搭載された背景について考えてみましょう。同型のエンジンということで、エンジンの詳細な違いに関しては触れませんので、その点はあかかじめご了承ください。

日産とダイムラーの関係

1999年、販売不振が原因で日産はフランスのルノーとの資本提携を結びました。そして、ルノーから資金や人員が注入され、カルロス・ゴーン氏が新たなCEO(最高経営責任者)に就任することになったのです。

ゴーン氏のCEO就任後、日産は徹底した合理主義のもと、経営の立て直しが図られました。その後、2010年にはドイツ ダイムラー社と3.1%を相互出資する提携を発表。具体的な提携内容として、

・日産 米工場でダイムラー製エンジンを生産
・日産がダイムラーから小型高級車の車体を調達
・燃料電池技術の共同開発

などがあげられました。

スカイラインにダイムラー製エンジンを搭載した理由

前述の通り、2010年にルノー・日産連合とダイムラーの提携が実現したのですが、同時にダイムラーからインフィニティ向けにガソリンエンジンとディーゼルエンジンを供給することも合意されました。スカイラインは、その第一歩というわけです。

それにしても、なぜスカイラインにダイムラー製エンジンが採用されたのでしょうか?

まず大きな理由として、コスト削減があげられます。日産もルノーも、今回採用されたクラスのFR用エンジンを自社ラインアップに持ち合わせていませんでした。

もし同等の性能を持った高効率エンジンを自社開発するとなると、莫大な費用と時間を要してしまいますし、その開発費は100億円程度とも言われます。しかも、他車に流用することが難しく、スケールメリットを見込むことができません。

そこで、ゴーン流の徹底的な合理主義「無いなら買ってきてしまえ」というわけです。

2つ目は、メルセデスというブランド力の利用です。昔からのファンも根強くいる日産の代表車種スカイラインに下手なエンジンを搭載したとあっては、反感を買うのは目に見えています。

ただ、それが歴史ある高級車ブランド「メルセデス・ベンツ」にも搭載されているエンジンとなれば、少なからず話は違います。

グローバルな観点からもメルセデスのブランド力があれば信頼感、安心感も違ってきますし、インフィニティ、メルセデスともに高級ブランドをうたっている以上、ターゲット層のマッチングもよいでしょう。

こうして、ダイムラー製のエンジンを搭載したスカイライン200GT-tは生まれたのです。

以上、簡単ではありますが、メルセデスと同じダイムラー製エンジンを搭載したスカイラインが生まれた背景について考えてみました。

すでにメルセデスとの協業車種インフィニティQX30や、ピックアップトラックの共同開発なども発表されていますが、今後もそのようなモデルがどんどん誕生するのか非常に気になるところです。

ただ、合理化だけを追い求めてそれぞれのメーカーの個性を失うようなことだけは避けて欲しいところですね。