なぜドイツ車はフロントのホイールが真っ黒に汚れやすいのか?

メルセデス・ベンツやBMWといった欧州車は、フロントのホイール内側を真っ黒にしていることがよくあります。両社とも高級車メーカー、もっとスマートな作りにはならないものか?しかしそこには、日本や北米とは異なる欧州の事情があるのでした。
ガソリンスタンドの店員も嘆く汚れ方
洗車をする仕事、ガソリンスタンドやディーラー、カーショップなどの店員が一様に口にするのが「メルセデス・ベンツやBMWなどのドイツ車のホイールの汚れはなかなか落ちない」。
これは、ブレーキパッドが削れて付着した汚れ、いわゆるブレーキダストです。
国産車でもある程度は、ブレーキダストが出るので汚れないことはないのですが、ドイツの2大高級車メーカーのそれは別格で、「ホイールに刺さるので、洗って拭いたくらいでは落ちない」とまで言われています。
それだけに、その車のオーナーがマメに洗車をする人か、ズボラな人かがすぐわかってしまうバロメーターともなりえますが、どうしてこの2車が際立っているのでしょうか?
国産車より強力なブレーキ
大抵の車のフロントブレーキは、ブレーキローターと呼ばれる円盤をブレーキパッドで挟み込むことで制動力を発生するディスクブレーキを使っています。
ホイールの内側に見えるディスクブレーキは、効きの強さというより、その放熱性の良さを買われての採用です。
では、なぜ放熱性が必要なのか。その理由は、ブレーキトラブルのひとつであるフェード現象と、それにともなうペーパーロックを避けるためです。このトラブルは、パッドが許容温度を越えたときに発生するので、なるべく放熱性の良いブレーキのほうが安全性が高まるというわけです。
話がそれてしまいましたが、フロントホイールが汚れやすいドイツ車の多くはブレーキローターに比較的軟らかい(削れやすい)素材が使われています。つまり、パッドとローターがともに削れることで、高い制動力を発生するように設計されていたのでした。
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- 国産車とはパッドの材質も異なる