高級車塗装のすべて:必要性から種類・費用・最新トレンドまで徹底解説
- Chapter
- 高級車の塗装が必要な理由|見た目と資産価値を守る
- 高級車 塗装の種類|全塗装・部分塗装・カスタムの違い
- 全塗装(オールペン)とは|高級車を新車級に蘇らせる方法
- 部分塗装(パネル補修)|高級車の小キズを自然に直すコツ
- カスタムペイント|高級車を唯一無二にする塗装
- 高級車 塗装の塗料比較|ソリッド・メタリック・パールの違い
- ソリッド塗装の特徴|クリアコートで保護された鮮やかな発色
- メタリック塗装の特徴|高級感と補修難度
- パール(マイカ)塗装の特徴|3コートの深みと費用感
- 高級車メーカーの塗装事例|センチュリーの7層塗装とレクサスの多層仕上げ
- センチュリーの塗装工程(7層仕上げ)の特徴
- レクサスに見る多層塗装と“匠の磨き”
- 高級車 塗装の費用相場|塗装面積と色で変わる価格の目安
- 塗装範囲別の費用目安|ドア・バンパー・ボンネットなど
- 費用が変わる理由|車種・色・損傷度・工程・依頼先
- 高級車 塗装で失敗しないポイント|色合わせ・下地・ブース環境
- 色合わせ(調色)の重要性
- 下地処理(塗装前準備)で仕上がりが決まる
- 施工環境(塗装ブース・乾燥)の品質差
- 高級車 塗装の業者選び|失敗しないチェックリスト
- 塗装ブースの有無を確認
- 資格・実績の確認ポイント
- 見積もりと説明の丁寧さ
- 保証・アフターケアの有無
- スタッフ対応の丁寧さ
- 高級車 塗装の成功事例と失敗事例
- 塗装後のメンテナンス|コーティング・洗車・保管方法
- コーティング施工のタイミングと注意点
- 洗車方法と適切な頻度
- 保管環境と日常ケアのコツ
- 高級車 塗装の最新トレンド|マット塗装・PPF・カラーチェンジ
- マット塗装(艶消し)の流行と注意点
- ペイントプロテクションフィルム(PPF)とカーラッピングの活用術
- 高まるカラーチェンジ需要と色選びのコツ
高級車の塗装が必要な理由|見た目と資産価値を守る
高級車において塗装が果たす役割は非常に大きく、主に見た目の美しさと資産価値の維持という2つの目的があります。まず見た目の面では、塗装の艶や発色が車の高級感を演出し、オーナーの満足感にもつながります。高級車は年月が経ってもボディの光沢や輝きが保たれている印象がありますが、これは塗装品質の高さによるところが大きいです。実際、車両価格の高い高級車では、多層にわたる念入りな塗装や、特殊な機能性塗料の使用といった高度な塗装処理が施されています。これにより、一般車に比べて深みのある艶や優れた耐久性が実現されています。その結果、新車時のような艶を長期間維持しやすく、所有する喜びを高めてくれます。
資産価値の面でも、塗装状態は中古車査定に大きな影響を与えます。ボディカラーが色褪せず綺麗な状態で保たれていれば高級車のリセールバリューも高まりやすく、逆に塗装劣化や傷だらけの状態では価値が下がってしまいます。塗装はただの飾りではなく、下地の防錆機能も兼ねているため、塗装の傷を放置するとサビが進行し車体そのものの寿命に悪影響を及ぼします。高級車のオーナーにとって塗装を良好に保つことは、愛車を美観・機能両面で守るメンテナンスなのです。
要するに、高級車塗装は「美しさの追求」と「資産価値の維持」のために必要不可欠です。小さな擦り傷でも早めに補修・再塗装することで、長期的に見て愛車の価値と輝きを守ることができます。
高級車 塗装の種類|全塗装・部分塗装・カスタムの違い
一口に「塗装」と言っても、その施工範囲や目的によっていくつか種類があります。高級車の場合、ニーズに応じて全塗装(オールペン)、部分塗装、カスタムペイントのいずれかを選ぶことになります。それぞれの特徴を押さえておきましょう。
全塗装(オールペン)とは|高級車を新車級に蘇らせる方法
全塗装とは、車両全体を一新して塗り直す施工です。ボディ全体の色褪せが進んだ場合や、購入時とは異なるカラーにカラーチェンジしたい場合に選択されます。高級車を全塗装すると、新車同様の輝きを取り戻せるのが大きなメリットです。経年劣化で艶が失われた車でも、プロの手で下地処理から丁寧に塗り直すことで見違える仕上がりになります。外観リフレッシュに加えて防錆効果も高まり、長く大切に乗り続けることが可能です。一方で費用や時間は最もかかる方法でもあります。塗装面積が広いため塗料代・工賃が高額になり、高品質な全塗装では数週間の施工期間が必要なケースもあります。しかし愛車をまるごと理想の色に生まれ変わらせることができるため、特別なこだわりを持つオーナーから支持されています。
部分塗装(パネル補修)|高級車の小キズを自然に直すコツ
部分塗装は、車の一部分(例:バンパーやドア一枚など)だけを塗装する方法です。駐車場で付けてしまった擦り傷や、小さなヘコミ修理の際にそのパネル周辺のみ塗り直す場合などに行われます。範囲が限定されている分、全塗装より費用が安く短期間で完了するのが利点です。軽度のキズ補修なら1日~数日で受け取れることもあります。また元のボディカラーを活かすため、「オリジナルの塗装を大きく変えたくない」という場合にも有効です。ただし部分塗装では色合わせ(調色)が重要なポイントとなります。元の塗装と新たに塗る塗料の色や質感を職人が見極め、違和感なく馴染むように塗装しないと、塗った箇所だけ明るさや輝きが異なって目立ってしまうことがあります。特にメタリック系カラーの場合、アルミフレーク(キラキラした粒)の向きや密度が合わないと、ドアだけ妙に明るく見えたり暗く沈んだりする失敗例があります。そのため部分塗装では高度な塗装技術が求められ、信頼できる職人に依頼することが大切です。
カスタムペイント|高級車を唯一無二にする塗装
カスタムペイントは、修復目的ではなく車の外観に個性的なデザインや特別なカラーリングを施す塗装です。愛車に自分だけのこだわりを反映させたい場合に選ばれ、いわばドレスアップのための塗装と言えます。例えばボディにオリジナルの色を塗ったり、レーシングストライプやアート柄を描いたり、ツートンカラーに変更するなど、その内容は多岐にわたります。カスタムペイントを行うことで、世界に一台だけのユニークな外観を実現でき、オーナーの個性や美意識を強くアピールできます。高級車にあえてオリジナルと違う塗色を施すケースも増えており、近年はメーカー純正では選べない色に全塗装してしまう富裕層もいます。ただし費用は高額になりやすく、凝ったデザインほど塗装工程が増えて時間もかかります。またあまり奇抜なカスタムをすると、後に売却する際に中古車市場で評価されない可能性もある点に注意が必要です。公道走行で問題ない範囲のデザインか(法律上の確認)も含め、事前によく検討しましょう。適切に行えば、カスタムペイントは愛車をより魅力的にし、所有する楽しみを一層深めてくれる方法です。
高級車 塗装の塗料比較|ソリッド・メタリック・パールの違い
ソリッド塗装の特徴|クリアコートで保護された鮮やかな発色
いわゆる原色系の単色塗料で、光を反射する粒子(フレーク)を含まないシンプルな塗装です。白や赤、黒といった基本色の多くがこれにあたります。かつては色の層のみの単層仕上げもありましたが、現在の乗用車、特に高級車では、色の層の上に保護性能の高いクリア層を重ねる「2コートソリッド」が一般的です。 メリットは、粒子がないため発色が非常に鮮やかであること、そしてメタリック等に比べて補修時の色合わせが比較的容易な点です。デメリットとしては、クリア層があるとはいえ、深い傷が付いた場合に下地との色の差がはっきりと出てしまい、キズが目立ちやすい傾向があります。コスト面では、他の特殊な塗装に比べれば安価な場合が多いですが、高級車に使われるソリッド塗装は高品質な顔料やクリアコートが使用されるため、一概に「安い」とは言えません。
メタリック塗装の特徴|高級感と補修難度
塗料にアルミフレーク(金属片)を混ぜ込んだタイプで、光が当たるとキラキラ輝くのが特徴です。フレークの角度やサイズによって輝き方が変えられ、高級感や立体感のある見た目を実現します。現在の乗用車では非常にポピュラーな塗装で、高級車にも多用されています。難点は補修の難しさです。部分塗装で元のメタリック感と合わせるには高い技術が必要で、不適切だと塗り直した部分だけ輝き方が異なってしまいます。通常は有色塗装+クリアの2コートで仕上げますが、フレークの調整など手間がかかるため塗料代・工賃ともにソリッドより割高です。
パール(マイカ)塗装の特徴|3コートの深みと費用感
真珠のような上品な光沢を持つ塗装で、光の当たる角度により虹色のような独特の色味の変化を楽しめます。塗料中に雲母(マイカ)の微細な粒子が含まれており、それが繊細な輝きを生み出します(現在ではパールとマイカはほぼ同義)。パール塗装はベースカラー→パール層→クリア層という3コート塗装になることが多く、層を重ねる分だけ手間と時間がかかり費用も高めです。その代わり他にはない深みのある発色と高級感が得られます。パール塗装車の板金修理でも、調色や塗り重ねの高度なスキルが要求されます。
高級車メーカーの塗装事例|センチュリーの7層塗装とレクサスの多層仕上げ
センチュリーの塗装工程(7層仕上げ)の特徴
トヨタ・センチュリーは、塗装と研磨を重ねる多層工程(7層)で深い艶と奥行きを実現することが知られています。下地づくり→中塗り→上塗り(場合によってはベース/ミドル/クリアの重ね)→中研ぎ(面出し)と磨きを丁寧に繰り返すことで、光が塗膜の層で反射・透過し、平滑で“水鏡”のような面を作り上げます。層を重ねるごとに微細な傷やうねりを消していくため、面精度が高く、色の深みと立体感が際立つのが特徴です。高級車の塗装が「手間と時間」を要する理由を象徴する事例と言えます。
レクサスに見る多層塗装と“匠の磨き”
レクサスでも、多層コート+職人のポリッシングにより、艶・発色・色の奥行きを最大化する仕上げが行われます。たとえばベースカラーの上にパール/メタリック層を重ね、最終クリアで膜厚と透明感を確保。硬化後には面出し研磨→最終鏡面仕上げを徹底し、パネルごとの色味・フレークの寝方・映り込みを揃えます。これにより光源や角度で表情が変わる“深い艶”が生まれ、高級車らしい存在感につながります。 こうしたメーカー由来の高度な多層仕上げは、板金塗装でも「下地精度」「ブース環境」「色合わせ」「研磨」を妥協しないことで近づけられます。塗りの回数そのものより、各層の面精度と乾燥管理、最終研磨の質が仕上がりを左右する点は、高級車塗装に共通する要諦です。
高級車 塗装の費用相場|塗装面積と色で変わる価格の目安
塗装の費用は、車の大きさ・塗装範囲・使用する塗料・業者の種類などによって大きく変動します。高級車の場合、ボディが大きかったり特殊な素材・カラーを使っていたりするため、一般的な車より割高になるケースもあります。ここではおおよその費用相場と、塗装面積との関係について整理します。
塗装範囲別の費用目安|ドア・バンパー・ボンネットなど
まず、塗装する範囲ごとの大まかな料金目安を挙げます(普通車~高級車の一般的な相場)。 ドア1枚あたり 約3万~6万円、バンパー1本 約2万~5万円、フェンダー1枚 約2.5万~5万円、ボンネット 約4万~8万円、ルーフ(屋根) 約5万~10万円。傷の大きさや深さ、パネルの材質により上下します。小さな擦り傷程度であれば数万円で済むこともありますが、へこみ修理や下地処理が伴うと高めになります。
全塗装(オールペイント)は約20万~50万円が一つの目安です。ただし車種(サイズ)や塗料グレードによって幅が大きく、高級車や特殊カラーを用いる場合は100万円以上かかる例も珍しくありません。たとえば大型セダンに高級パール塗装で全塗装すれば、塗料代と工数がかさみ数百万円規模になることもあります。反面、軽自動車をソリッド色で塗り直す程度なら20万円前後に収まる場合もあり、ピンキリです。
このように、塗装面積が広がるほど費用は高額になります。また同じ範囲でも色や塗装方法で値段は変わります。例えば「パールやメタリックなど特殊色は塗料代・調色代が割高」「ルーフやボンネットなど面積の大きい部分は塗装に手間がかかる分高くなる」といった傾向があります。
費用が変わる理由|車種・色・損傷度・工程・依頼先
高級車や輸入車は、補修用部品や指定塗料の価格が高かったり、塗装難度が上がる(アルミボディやカーボンパーツ等)ため、一般的な国産大衆車より費用が高めになる傾向です。限定モデルの特別色などは塗料入手が難しく工賃が上乗せされる場合もあります。
パール塗装やマット塗装など特殊な塗装は手間がかかり、同じパネルでもソリッド色より高額です。塗料そのものの価格も、高品質なものや多層コートが必要なものほど高くなります。
単なる表面のスリ傷と、へこみを伴う傷では必要な下地処理や板金作業量が違うため費用差が出ます。小さな擦り傷なら部分補修で済みますが、大きな凹みや広範囲の劣化では修理工程が増え費用も増加します。早めに直せば安く済んだものが、放置して悪化すると塗装剥離やサビ除去が必要になり高額になることもあるので注意が必要です。
部品の脱着を伴うか、パネル交換が必要か、周囲へのボカシ塗装(境目を自然にするため隣接パネルも一部塗ること)が必要か等で価格が変わります。また一度に複数箇所を直す場合、個別に頼むよりまとめて施工した方がトータルでは安くなるケースもあります。
ディーラーやメーカー系指定工場は価格が高め(その代わり純正塗料や高い信頼性がある)、町の板金塗装工場は比較的リーズナブル、といった違いがあります。最近はフランチャイズの鈑金チェーン店やカー用品店の簡易補修サービスなどもあり、料金設定に差があります。極端に安い場合は簡易塗装(ブースを使わず短時間で仕上げる)だったり、技術力に不安がある場合もあるので注意しましょう。
以上の要因により、高級車塗装の費用はケースバイケースで大きく異なります。相見積もり(複数業者から見積もりを取る)を行い、価格だけでなく仕上がり品質や保証内容も含めて納得できるプランを選ぶことが大切です。
高級車 塗装で失敗しないポイント|色合わせ・下地・ブース環境
高級車の塗装を成功させるには、施工時にいくつか注意すべきポイントがあります。プロに任せる場合でも、オーナー側が知っておくことで失敗を防ぎやすくなる事項を確認しましょう。
色合わせ(調色)の重要性
部分塗装やパネルごとの補修では、新しく塗る部分の色を既存のボディカラーに違和感なく合わせることが極めて重要です。経年で元の色味が変化している場合もあるため、職人は車両ごとに微妙に塗料を調合し、テストピースで確認しながらベストな色を作ります。特にメタリック系ではアルミフレークの光り方まで揃える必要があり、高度なテクニックが要求されます。熟練の塗装士は塗装箇所だけでなく周囲も含めてぼかし塗装を行い、境目が判らないよう自然に仕上げます。色合わせが不十分だとパネルごとに色ムラが発生し、高級車の美観が損なわれてしまうので、ここは最大の注意点です。
下地処理(塗装前準備)で仕上がりが決まる
良い塗装は下地処理で決まると言われるほど、塗る前の工程が大切です。キズやヘコミがある場合は板金作業で形を整え、パテ埋めで表面を平滑にし、念入りに研磨して下地を作ります。また古い塗装面の油分やサビを落とし、必要に応じてサフェーサー(下地用塗料)を吹いて塗料の定着を良くします。この下地の出来が悪いと、上塗り後にデコボコが浮き出たり塗料の食いつきが悪く剥がれやすくなったりします。高級車塗装では一工程ごとに乾燥・研磨を繰り返す「中研ぎ」を挟み、最終的な光沢に影響する微細な凹凸も除去します。下地処理に手間を惜しまないことが、美しい塗装面を作るコツです。
施工環境(塗装ブース・乾燥)の品質差
塗装作業は専用の塗装ブースで行うのが理想です。ブース内は空調管理され、塵や埃をシャットアウトできるため、塗装中にゴミが塗面に付着するのを防げます。密閉空間で温度・湿度を適切に保ちながら塗料を噴霧し、高級車の塗装によく採用される焼き付け塗装(加熱乾燥)を行えば、塗膜が硬化して耐久性も向上します。逆に簡易ブースや屋外で塗装すると、どうしても微細な埃の混入や乾燥ムラが起こりやすく、仕上がりの品質が下がってしまいます。実際、格安業者に依頼してホコリ噛みや塗りムラだらけのひどい仕上がりになった例もあります。またマスキング(塗装しない部分の保護シート貼り)も徹底する必要があります。ずさんな施工では、本来塗料を塗らないモール部分やガラスにまで塗料ミストが付着してしまうことがあり、そうなるとリカバリーも大変です。高級車塗装では一台一台をクリーンな環境で丁寧に扱うことで、初めて相応のクオリティが確保できます。
高級車 塗装の業者選び|失敗しないチェックリスト
塗装ブースの有無を確認
塗装ブースがある工場は品質管理の面で有利です。恒温恒湿で塗装できる環境や専用乾燥機を備えている業者は、仕上がりが安定しておりムラやゴミの少ない美しい塗装が期待できます。見積もり時に「塗装はブースで行いますか?」と聞いてみるのも良いでしょう。
資格・実績の確認ポイント
優良な業者には国家資格を持つ自動車塗装技能士や熟練の板金塗装職人が在籍しています。公式サイトや店舗に資格証や受賞歴が掲示されていることもあります。また高級車の修理実績が豊富な工場(たとえば「輸入車対応」「◯◯ディーラー指定工場」など)は、それだけ難易度の高い塗装もこなしてきた証拠になります。実績写真や口コミ評価も参考にしましょう。
見積もりと説明の丁寧さ
信頼できる業者は、依頼者へのヒアリングや説明が丁寧です。どの工程が必要で、どのくらい費用がかかり、納期はどれくらいか、といった点を明確に示してくれます。一方、「このくらいの傷ならいくら」と口頭でざっくり言うだけで詳細を説明しなかったり、質問に曖昧にしか答えられないような所は要注意です。高級車だからこそ、仕上がりについて不安や要望があれば事前によく相談し、納得できるプランを提案してくれる業者を選びましょう。
保証・アフターケアの有無
塗装後に万一不具合(塗膜の剥がれや艶引けなど)が生じた場合の保証があるかも確認ポイントです。優良店では「〇年間保証」「気になる箇所は再施工します」といったアフターサービスを用意しています。また施工後のメンテナンス方法も教えてくれるなど、面倒見の良さも大切です。
スタッフ対応の丁寧さ
スタッフの受け答えや車の扱い方などから、その店が大事な車を丁寧に扱ってくれそうかを感じ取ることができます。高級車だからと特別視せずとも、どんな車にも真摯に向き合ってくれる職人気質の工場は信頼できます。逆に問い合わせ時の対応がぶっきらぼうだったり、こちらの話をあまり聞かないようなところは後々トラブルになるケースもあるので避けたほうが無難です。
以上の観点で比較し、総合的に信頼できる業者に依頼しましょう。なおディーラー経由での修理は安心感がありますが中間マージンが乗る分割高になることもあります。腕の良い町工場に直接依頼すればコストを抑えつつ高品質な施工が受けられるケースもあります。口コミや紹介等も活用し、自分の納得できる塗装のプロを見つけてください。
高級車 塗装の成功事例と失敗事例
実際に行われた塗装の成功例と失敗例を知っておくと、自分の判断材料として役立ちます。ここでは代表的なケースを2つ紹介します。
成功事例:
10年落ちの高級セダン(ブラックメタリック)を専門業者で全塗装し、新車さながらの輝きを取り戻したケースです。オーナーは塗装劣化による色褪せを気にしていましたが、下地処理からクリア層まで職人が丁寧に施工し、深みのあるブラックの艶が復活しました。さらに塗装後にガラスコーティングも施工したことで、美しい状態が長持ちしています。仕上がりにオーナーは大満足し、「愛車への愛着がさらに増した」とのこと。塗装し直したことで下取り査定額もアップし、費用以上の価値を実感できた成功例です。
失敗事例:
小さなキズ修理を格安料金(数万円)で請け負う無名業者に依頼したところ、仕上がりが粗悪だったケースです。左リアフェンダーのへこみ補修と再塗装を頼んだものの、出来上がった車を見ると「何じゃこりゃ!?」という状態。塗装面はザラザラで色ムラだらけ、さらに本来塗料を塗らないはずのモールやバンパーにまで塗料の飛沫が付着していました。素人のスプレー落書きのような有様にオーナーは絶句し、結局別のプロショップで塗装をやり直す羽目に…。安かろう悪かろうの典型と言える失敗例で、特に高級車では「安さ」だけで業者を選んではいけないことを痛感させられます。修理費用を抑えたい気持ちはわかりますが、技術力のない施工はかえって余計な出費とストレスを生む結果となりました。
これらの例からも、適切な業者選びと施工内容の吟味がいかに重要かが分かります。成功例では信頼できるプロに任せることで期待以上の結果が得られていますし、失敗例では価格だけに飛びついたことで車の価値を落としかねない状況になっています。皆さんも高級車の塗装を検討する際は、ぜひ前章のポイントを踏まえて慎重に判断してください。
塗装後のメンテナンス|コーティング・洗車・保管方法
コーティング施工のタイミングと注意点
再塗装や全塗装をした場合、仕上げにボディコーティング(ガラスコーティングやポリマーコートなど)を依頼するのがおすすめです。塗装面に透明の被膜を作り、紫外線や酸性雨、汚れから塗装を保護してくれます。特に高級車は塗装面積が大きく綺麗な状態を目立たせたいので、コーティングによる光沢アップと保護効果はメリット大です。ただし塗装直後は避けるという点に注意してください。塗装したばかりの塗膜が完全に硬化するまでには通常約1ヶ月かかります。その間にワックスやコーティング剤を塗布してしまうと、溶剤が塗膜に影響を及ぼしたり十分に定着しなかったりする恐れがあります。したがってコーティング施工は塗装後1ヶ月以降に行い、それまではコーティング無しで普通の洗車で凌ぐのが理想です。ショップによっては塗装後すぐ対応してくれる場合もありますが、塗装面を長持ちさせるためには硬化期間を守ることをおすすめします。
洗車方法と適切な頻度
塗装後しばらくはデリケートな状態なので、最初の1〜2週間は洗車を控えるのが無難です。塗膜が軟らかいうちに高圧洗浄やブラシ洗車をすると、塗料が流れたり細かい傷がついたりする可能性があります。その後の洗車も、できるだけ手洗いで行いましょう。柔らかいスポンジと中性カーシャンプーを使い、優しく汚れを落とすよう心がけます。洗車機の硬いブラシやコンパウンド入り洗剤は塗装面を傷める原因になるため避けてください。特にマット塗装車の場合、通常の艶あり塗装以上に手洗いと繊細なケアが必要です。洗車後は残った水滴を拭き上げ、水垢やウォータースポットが定着しないようにします。洗車の頻度は環境にもよりますが、屋外駐車なら月に1~2回程度、室内保管でもホコリが目立ってきたら都度行うと良いでしょう。
保管環境と日常ケアのコツ
可能であればガレージ保管が理想です。直射日光や雨風を防ぐことで、塗装の色褪せや劣化を大幅に遅らせることができます。屋外駐車の場合はボディカバーを利用するのも効果的ですが、風でばたつくと塗装面に擦り傷が付く恐れがあるため、裏起毛タイプの柔らかいカバーを選ぶ、砂埃が付いた状態ではかけない等の注意が必要です。また駐車中も鳥のフンや樹液が付着していないか時折チェックし、見つけたら早めに洗い落とすようにしましょう。これらは塗装を浸食する強い成分を含むため、放置するとシミになったりクリア層がダメージを受けてしまいます。定期的にボディ状態を点検し、小傷を見つけた場合は市販のタッチペンで簡易補修するか、深いものならプロに相談してください。
高級車 塗装の最新トレンド|マット塗装・PPF・カラーチェンジ
マット塗装(艶消し)の流行と注意点
ボディ表面の光沢をあえて無くしたマットカラー仕上げが、欧米の高級車・スポーツカーを中心に人気です。メルセデス・ベンツやBMWでは工場出荷時にマット塗装の特別仕様車が設定されるほどで、世界的に採用が増えています。マットな質感は見る角度によって独特の陰影を生み、高級車に圧倒的な存在感を与えます。日本でも一部の国産スポーツモデルにマットカラーが採用された例があります。ただしメーカー側は「手入れの難しさ」からマット塗装の普及に慎重とも言われます。実際、マット塗装は汚れやキズのケアが非常に難しい面があります。艶消しクリアでザラついた表面ゆえ、汚れが溜まりやすく洗車にもコツが要りますし、磨き(コンパウンド)処理もNGです。一度キズが付くと光沢塗装のように研磨して消すことができず、再塗装するしかない場合もあります。
ペイントプロテクションフィルム(PPF)とカーラッピングの活用術
ペイントプロテクションフィルム(PPF)とは、厚手で透明な特殊ポリウレタンフィルムを車のボディに貼り付け、塗装面を物理的に保護する製品です。近年、高額車両を購入したらまずPPFを施工するというオーナーも増えています。飛び石や擦りキズから塗装を守り、新車時の艶を保つ効果が高いため、高級スポーツカーやスーパーカーでは半ば常識になりつつあります。またPPF自体に自己修復機能がある製品もあり、表面の小傷程度なら温めると元に戻るものも存在します。 一方で、車の色を手軽に変えたいというニーズに応えるのがカーラッピングです。こちらは主にポリ塩化ビニル製のカラーフィルムを用いて車全体の色味を変える手法で、オリジナル塗装を傷めずに一時的にカラーチェンジできるため、「飽きたら剥がして元に戻せる」のが最大のメリットです。PPFほどの保護性能はありませんが、豊富な色やデザインから選べるのが魅力です。
高まるカラーチェンジ需要と色選びのコツ
近年は自分好みにカラーを変えることへの抵抗が減り、需要が高まっています。EV時代の到来や若年層のクルマ観の変化もあり、「他人とは違う色の愛車に乗りたい」というニーズが増えているようです。これに伴い、カスタムペイントやフルラッピングでボディカラーを変更する事例が増加しています。元の色では設定にないパステルカラーや個性的な色味に塗り替えるケース、あるいはメーカーエンブレムやブレーキキャリパーだけ差し色で塗装するといった細かなカスタムも人気です。重要なのは、後悔しない色選びをすることです。流行色に安易に飛びつくと飽きる可能性もあるため、プロと相談しながら愛着の持てるカラーを選択しましょう。
最後に、高級車塗装について総合的に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。美しい塗装は高級車の命とも言える要素であり、その維持・再生には相応の知識とコストが必要です。しかし適切にケアしプロの力も借りれば、お気に入りの愛車は何年経っても輝きを放ち続けます。ぜひ本記事の情報を参考にして、大切なクルマの塗装をベストな形で守り抜いてください。高級車ならではの極上の光沢とカラーを楽しみつつ、充実したカーライフを送っていただければ幸いです。