タイヤの空気圧が「操縦性」や「乗り心地」に与える影響はどの程度か?

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日々クルマに乗っていて見落としてしまいがちなのがタイヤの空気圧。せめて月に一回はチェックしましょうとは言われているものの、ついついサボってしまうことも。最近はセルフのガソリンスタンドも増えていますから、給油時に気軽にお店のスタッフに頼むということもしにくいかもしれません。

さてこのタイヤの空気圧。その増減によりどんな影響がクルマに及ぶのでしょうか。
Chapter
空気圧の増減によるメリットとデメリット
タイヤの空気圧が自動車の運動性に与える影響とは?
空気圧をいろいろ試してみる

空気圧の増減によるメリットとデメリット

皆様は自転車にお乗りになったことがあると思います。自転車の動力は自分の脚ですから、「車体」にかかっている荷重がそのままペダルの重さになっているということもご承知だと思います。例えば、自転車のタイヤの空気圧が減るとどうなるでしょうか。思い出してみてください。それと同じことがクルマのタイヤにも起こっているということなのです。

空気圧が減るとその分だけタイヤは変形し、たわんでしまいます。自転車での経験に基づけばペダルは重くなり、舵を切っても曲がりにくくなるという傾向があったはずです。タイヤは真円状態に近ければ近いほど力を発揮します。真円なら回転しやすくなりトレッドのゴムも正確に路面をキャッチするようになりますから、あらゆる運動性能が高まる、というより、正しく力が発揮されるようになるわけですね。タイヤが真円を保つには適切な空気圧が必要、というところはお分かりいただけると思います。

ただし、空気を入れすぎてしまうとデメリットも出てきます。路面の凹凸への反発も強くなりますからまず乗り心地が悪化。さらにはトレッド面が過剰に盛り上がってしまい接地面積は減ってしまう、つまりグリップを落とすことにもなり、また度が過ぎると高速走行時には内圧がさらに上昇してバーストの遠因にもなったりします。

必ずしも高い空気圧に設定すればよいということではなく、適切な値をキープすることが重要と言えます。

タイヤの空気圧が自動車の運動性に与える影響とは?

クルマが遠心力に抗い路面に接地し続けるにはタイヤのグリップが必要不可欠であることはご理解頂いていると思います。その時、タイヤの空気圧というのは運動性にどのように影響しているのでしょうか。

タイヤの空気圧が適切に保たれ、すなわちタイヤが真円に近い状態であればまず転がりがよくなります。この転がりに関してだけを言えば空気圧が高くタイヤが変形しにくい方が真円を保ちやすく転がりやすいと言えますが、しかし高すぎても今度は路面の凹凸を吸収しにくくなるという障害があったりして良いことばかりではありません。それはそれで抵抗になります。空気圧は高すぎても低すぎても具合が良くない、ということですね。

空気圧が高めでタイヤの変形が少なければそれだけハンドル操作への反応が「初期的」には早くなったり、加速も良くなったように思えることも多いのですが、反面空気圧が高すぎてタイヤが固くなると今度は適切にグリップを発揮しにくくなる。タイヤにはある程度の弾力や、もっというと粘性のようなものが機能として必要になってくるわけです。凹凸をある程度吸収してくれた方が前に進みやすく、ある程度たわんで粘ってくれた方が路面にも適切に食いつくということです。

翻って燃費について着目すると、燃費を重視するならやや高めの空気圧に設定することが望ましいとされています。これは先に申し上げた「転がり」の部分で、発進時のみならず惰性で走る際にできるだけ速度を殺さないで長く走ることで燃費効率を上げるという目的も含まれているようです。ただしこの場合のデメリットはグリップ低下と乗り心地の悪化でしょう。

やはり総合的なバランスを鑑みると、必ずしも高い空気圧に設定することで得られるものが多いというわけでもなさそうです。

空気圧をいろいろ試してみる

というわけで、空気圧がクルマの運動性に与える影響は小さくないと言えます。空気圧の変化で乗り味に変化が見られることも実際には多くありますので、空気圧のチェックをマメにして、その度にいろいろ試してみるのも面白いかもしれません。ただし、いきなり高い空気圧に設定するのは危険もあるので、少しずつ、規定内圧の5~10%の増減程度から試されると良いと思います。

クルマの足回りというのはもちろんバネやダンパーだけではなく、装着されていればスタビライザーも関わり、さらにはブッシュ(サスペンション部品の車体取り付け部に挟むゴムの緩衝材)の設定、もっというとその取り付けボルトやナットの締め付けトルクなど、広く調整要素があります。タイヤやその空気圧もそれらの一部だと思っていただいたほうがいいです。ゆえに、タイヤ一つで全体のバランスが大きく変わる、あるいは崩れるという可能性も捨てきれません。そのリスクはご理解いただいたほうがいいと思います。

そんな中で、例えばタイヤを変えるというと出費も小さくはない買い物になってしまいますが、空気圧ならほとんどのガソリンスタンドでサービスの範囲で調整してもらえるものですし、なんならご自分で簡易コンプレッサーを購入してご自宅で空気圧調整、というのも不可能ではありません。比較的お手軽にその「違い」を味わっていただける「調整部位」ということができると思います。

スポーツカーを所有されていたり、例えばサーキット走行などをされる方ならこの空気圧管理、かなりシビアにされている方も多いのではないでしょうか。タイヤの空気圧一つでコーナーでの走りが変わったり、ブレーキの効きが変わったりと、それこそタイムに直結する部分ですから、神経質になるのも当然といった部分です。

一般的にはタイヤの空気圧は「走行抵抗(真円)」を左右し、「グリップ」を左右し、「乗り心地」を左右する、という認識で良いと思います。そしてそれらは一般道を走る上で高すぎても低すぎても具合が良くない、というものです。規定内圧に従うところを基準として、高くしたり低くしたりの微調整を試されるのも楽しいと思います。ご自分のクルマがどのように変化を見せるか、乗り心地や燃費にどう跳ね返ってくるか、いろいろ「実験」してみると愛着や理解度が深まるかもしれません。
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