車の前期型と後期型、どちらを選ぶのがお得なの?

トヨタ プリウス 3代目 後期型

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クルマのモデルライフは短くても4年、昨今ではもう少し長めの6年、あるいは2015年にフルモデルチェンジしたシエンタのように、12年間ワンモデルで繋ぐこともあるようです。当然、その間には改良、マイナーチェンジが行われブラッシュアップが図られますが、そのマイナーチェンジにも車種によってさまざま。改良までに経た時間分の着実な進化を遂げるものもあれば、装備の数を減らしたり、こっそりコストダウンを図るモデルもあります。こうしたマイナーチャンジを、どう判断するのがベターなのか、考えてみましょう。
Chapter
「商品力向上」は名目?
よかった事例をひとつご紹介
悪い例は見つかりにくい
メーカーの意図を読み解く方法とは?

「商品力向上」は名目?

以前は、ほとんどの車が約4年のサイクルでモデルチェンジを行い、その度に新規需要を掘り起こしてきました。つまりメーカーおよびディーラーは、新規顧客を4年毎に獲得できたわけです。ゆえに新陳代謝が非常に早く、簡単に言ってしまうとユーザーから飽きられてしまうのも早いわけです。

ところが、昨今の日本車は、モデルチェンジサイクルが長くなっています。そうなると困るのが、新規顧客の掘り起こしのサイクルが長くなってしまうこと。それを回避するためには、マイナーチェンジで商品力を高め、ユーザーの関心を集めることが必要になります。

しかしその際に、ただ”ユーザーの気を惹く”ことを目的としているのか、あるいは目に見えない部分にまでしっかりと手を入れて、”クルマとしての実力”を高めているのかは大きな違いです。

問題は、それが見た目からはわからないところ。このあたりが前期型・後期型どちらがいいのかわからない、という悩みのもとではないかと思います。


よかった事例をひとつご紹介

2015年に挑戦的なデザインで登場し話題となった新型プリウス。ここでは2009年に登場した3代目プリウスを取り上げましょう。マイナーチェンジは2011年暮れに実施されました。

見た目はバンパーやテールランプの変更程度にとどめられていて、あまり大掛かりな変更を受けた印象ではありませんでしたが、乗ってみると実際に体感できるほど進化していたのでした。

まず、車体のしっかり感。いわゆる剛性感。これがはっきりと向上していることが走り始めてすぐにわかりました。

同時に、振動や騒音の処理も一歩進んだ印象で、静かに、なめらかに走ってくれる。これが、体感できた前期型からの大きな進化です。聞けば、溶接箇所を増やしたり、ブレースバーを追加するなどして、目に見えない改良を施したのだとか。

また、ハイブリッドシステムはトヨタにとって、もっとも重要な商材ですから、この点においても手抜かりなく改良されていて、エンジンが始動、停止する時のショックが綺麗に消えているし、低速からの立ち上がり、レスポンス、いわゆるドライバビリティがはっきりと改善されていました。

3年分の着実な進化に、ちょっと唸らされる、力の入ったマイナーチェンジでした。

それはなによりプリウスがトヨタの、もはや外すことのできない基幹車種であることが大きくモノを言っているのだと思います。トヨタは、プリウスにしっかりと手をかけている、手厚く育てているということがわかる体験でした。



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悪い例は見つかりにくい

マイナーチェンジの悪い例は、あまり取りざたされません。まあ、それはそうでしょう。わからないようにコストダウンする、これメーカーの本音です。

比較的見つけやすいところでは、シートの着座感があります。

前期型と後期型で、シート表皮の質感や座った時のホールド感、インナー材の詰まり具合などは、多くの方がチェックする項目のようです。

さらにいえば、エンジンマウントの素材変更でエンジンの振動が妙に強くなっていたり、足回りのダンパーやブッシュにおいてもまた同様。アクセルレスポンスやハンドリングの改善目的なら歓迎できますが、コストの安い部品に取り替えられているなんてこともあります。

ただし、このあたりはマイナーチェンジと喧伝することもなく、知らぬ間に変わっていた、なんていうこともしばしばです。しかも部品の品番は継続されていたりすれば、我々には知る由もなかったり。

いいのか悪いのかわからない例としては、とあるクルマの、ウインドウレギュレーター。前期型はとてもいい素材を使って丈夫に出来ていたものが、後期型ではプラスチックを用いたりして、見えないところでコストダウンしていたわけです。

しかし、時間が経って前期型のウインドウレギュレーターが壊れて交換しようとすると、前期型の値段はとても高かったため、安い後期型を購入して、修理代を安く上げることができた。なんていう事例もあります。

いちがいに前期型、後期型、どちらがいいのか、という判断は非常に難しいものがあります。

メーカーの意図を読み解く方法とは?

「あれいい色だったのに、やめちゃったのか…」

これは、ひとつのアラートだと思っていいでしょう。人気のない色をラインナップとして維持できない、というメーカーの判断は、そのクルマに対する熱意を推し量るバロメーターのようなものです。

いつの間にかカラーラインナップが無難なものばかりになっていたり、個性的だった内装色が落とされていたりというのは、コストダウンに走る予兆ではないか、と。

自動車もビジネスですから、その商品からいかに収益を得られるのか、あるいは今後どのような展開を行うことで収益を改善するのか、という検討は常にメーカー内部では行われています。

ですから、前期型がどれだけ売れたのか、あるいはメーカーとして狙い通りの収益を挙げているのか、こういったあたりを分析することが重要になってきます。

日本自動車販売協会連合会のホームページでは、販売台数の数値が掲示されていますので、モデルごとにどんな推移を見せているのか、というひとつの判断材料になると思います。

輸入車、特に欧州車は、モデルライフも長いですし、マイナーチェンジごとの着実な改良が高く評価されることが多いです。実際に前期型に対して後期型はいわゆるバグ潰しを確実に行って、あらゆる点で完成度が高かったり、次の世代のモデルに用いる新技術を先行投入するなどして、さまざまな意味で見どころのあるマイナーチェンジとなっていることが多いですね。

輸入車においては、後期型を選んだほうが、おしなべて良い、と言えると思います。

しかし、前期型のたとえば先に挙げたボディーカラーやデザインなど、あれこれと横槍の入らない、デザイナーのストレートな表現がそのまま生かされているようなところもあって、そちらのほうがいい、という捉え方も車種によってはあります。

また、買う側のタイミングや事情にも左右されるかと思います。しかしただひとつ言えることは、買う側が適切にクルマの動向をウォッチし、必要とあらば実車に触れて確かめてみると、自然と「頃合かな」という感覚が持てるようになってくることでしょう。

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