NSX、R32GT-R、S660…中古価格が新車価格を上回る?プレミア価格の中古車、その理由とは?

マツダユーノスロードスター

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新車より値段の高い中古車!? ふつう、中古車は新車より買いやすい値段であることに意味があると思われています。しかし中には新車価格、あるいは、新車「当時」の価格を上回る値段で店頭に並ぶものも…。今回はいくつかの例を見ながら、「プレミア価格」の実態に迫ってみようと思います。
Chapter
注文殺到のスポーツカー ユーノスロードスター
並行輸入業者も巻き込んだアツい争奪戦!初代セルシオ
日本初のスーパーカーのプレミアはフェラーリ級?ホンダNSX
ファンが納得しなかったモデルチェンジへの審判、R32スカイラインGT-R
新車当時より中古車人気に集中、F31レパード
そして現代のプレミア、S660

注文殺到のスポーツカー ユーノスロードスター

1989年のユーノスロードスターもまた、現行ロードスターデビュー前と同じように、発売前からかなり媒体露出させていましたし、その意味ではユーザーはとてもジラされていました。
性能じゃない、スペックじゃない、理屈じゃない、心が、体が楽しめるスポーツカーの登場を誰もが待ちわびていたのです。

予約開始になると注文が殺到。ただちに納期は一年待ちというアナウンスがなされたほどの盛況ぶり。いざデリバリーが開始されるやいなや、走行微々たる中古車が300万円や400万円という目の飛び出るような価格で店頭に並びます。少数派ですが逆輸入モノのMX-5ミアータなんかも混じっていました。

また、中には投資目的でこのクルマを買う人もいたそうです。ロードスターの前にも日産のBe-1などのプレミアぶりはちょっと常軌を逸した世界でしたし、世の中、財テク、プレミアブームだったわけですね。

そしてそれに乗じて一儲けしようという業者も多かったですし、それに新しく人気のあるクルマに、プレミアを支払ってでも乗りたいと思うユーザーがこの頃はたくさんいた、ということでもあるんですよね。

自動車業界がいかにアツかったかがわかります。

並行輸入業者も巻き込んだアツい争奪戦!初代セルシオ

大型高級車への気運が高まっていた、やはり平成元年登場のセルシオ。トヨタはセルシオへの客注殺到を見越して、事前にクラウンにV8を用意して人気の分散を図ろうとしたほど、このクルマへの注目度は高まりました。

売り出せばやっぱりの一年待ち。ある程度この頃になるとこういうスケジュール感にユーザーも慣れ始めていたようなところがありますね。正当にちゃんと待って手に入れる人、でもやっぱり中古車店でプレミアを支払ってでも手に入れる人・・・セルシオ争奪戦もかなり白熱しました。

そしてこのクルマの場合奥の手として、北米からレクサス仕様を逆輸入するという方法もありました。このクラスになると逆輸入して売っても利幅が大きく店側も充分儲けになると。

当時メルセデスやBMWの並行輸入で潤っていた輸入業者にとって「レクサスLS」人気は新たな商機になったわけですね。当時の某分厚いクルマ雑誌の後ろの方のページを見てみると、ベンツ、BM、フェラーリに並んで、左ハンドルのレクサスLSが並んでいます。その意味でも、セルシオというクルマ、世界の名車と肩を並べていたということに改めて気がつかされます。

さらにはセルシオ、年数を経ても値落ちの少ないクルマでもありました。群を抜いた耐久性、品質、またそれに伴う高級車としての本当の「プレミア」がセルシオに備わっていることを、市場が認めていた証でした。様々な要素でセルシオは他を圧倒するクルマだったのです。

日本初のスーパーカーのプレミアはフェラーリ級?ホンダNSX

誰もが認める日本初のスーパースポーツ、平成二年発売ホンダNSX。このクルマの名声は既に発売当初から確立されていた感があります。発売と同時に三年先までの予約が埋まるというありさま。

そしてまたこのクルマも中古車ではプレミア価格となり、それはフェラーリの価格にさえ届きそうな勢いに。1200万円なんてまだいい方。1500万円クラスというツワモノも。
加えて同時に北米からの「アキュラNSX」の逆輸入も数多く行われました。

NSXの場合ほぼ手作業で作られるため一日あたり25台という生産キャパシティ(のちに倍増する施策も採られた)。どう頑張ってもこのイケイケの景気に湧いていた日本人の、旺盛な購買欲には対応しきれなかったわけですね。

ところが、発売翌年にバブル経済が崩壊すると今度はキャンセルの嵐に。しかしその事実には落胆するよりも、本当に欲しかった人にとって納期が早まるというありがたみもあったりして、ホッと胸をなで下ろす人も少なくなかったことでしょう。

NSXは2005年までの15年という長期にわたり、販売台数が落ち込もうとも、適切に磨きをかけながらホンダが大事に育てた、手塩にかけたマシーン。発売当初の瞬間沸騰的な人気が収まると、次には、本当にこのクルマの値打ちがわかる人のための時間が訪れ、地に足のついた進化を重ねたモデルライフをまっとうするのです。

そしてその姿勢は評価され今現在も中古車は常に高値安定。良質車にはプレミアがつくのが当たり前の状態です。

ファンが納得しなかったモデルチェンジへの審判、R32スカイラインGT-R

1993年、数年前の盛況はどこへやら、日本は不景気の冷たい風に晒され自動車業界もコストダウンによる収益改善に躍起でした。そして1995年、大人気だったR32型スカイラインはモデルライフを終えR33型へバトンタッチします。

今で言うダウンサイジングによりシャープで切れ味の良い走り、なにより引き締まったアスリートのような精悍な佇まいなど、ファンを魅了する特徴をたくさん持っていた32スカイラインの後を継ぐR33スカイラインというクルマ、残念なことに車台共有などの合理化策から、時代が逆戻りしたようにローレルに近いサイズとスタイルを持つクルマとなってしまいました。

そこはそれ、日産ですから、頑張って32に負けない走りを、と頑張ったことは確かですし、様々な意味でスペックやタイムは向上したかも知れない。けれど、R32の持っているスポーツマインドが大きく後退してしまったことを隠しようがありませんでした。

R33 GT-Rの発売は平成7年1月。しかしファンはもう既に知っていました。R33 GT-R発売を前にしてR32 GT-Rの中古車価格はグングン上昇。そして33GT-Rが発売になるとその勢いは増す一方となり、やがてはR33 GT-Rの新車価格を大幅に上回る高値でR32 GT-Rが取引されることが常態化していくのです。500、550、600・・・という具合に。

これがユーザーの審判というものでした。その後も現在に至るまで、R32 GT-Rの中古車価格は高値安定、未だに当時の新車価格かそれ以上の値が付く個体も存在しますが、最近はさすがに迫る年波も・・・。

中古車価格というのは様々な意味で嘘をつきません。

新車当時より中古車人気に集中、F31レパード

中古車になってから人気が集中し、値が上がった例として、このクルマのことも取り上げておきましょう。

新車当時はどちらかというと下火で、中古車になってから急激に人気が高まった稀なクルマ、レパード。このクルマの中古車が底値だったのはいつのことだったかと思い出してみても、たとえば前期最上級の3.0アルティマなら程度が良ければ簡単に100万円に近い値段が付いていた、という記憶があるのは2000年~2001年頃。それは発売後14年や15年経過してのことですから、常識的な値下がり水準からすれば「値段が残っている」状態でした。

そして現在、専門ショップのインターネットサイトを見てみるとそれはもう目が飛び出るような値段が付いてます。モノによっては500万円とか。しかしそれはそのショップによる手の込んだ、しかもオリジナルに忠実なレストアを施した個体だったりしますから極端な例としても、他を見渡せば普通に後期のアルティマターボで300万円という値段がついていたりもします。

もうここまで来ると、クラシックカーの領域ですよね。ちなみに同時期のソアラも、行くところに行けば極上モノが300万や400万という世界です。

そして現代のプレミア、S660

S660は生産台数も限られているため、やはりというべきか予想通りというべきか、納車待ち一年とか二年というお話に。そうなると現れてくるのが「プレミア」価格の中古車ということになります。気になっていつもチェックしているのですが、さすがにまだ台数そのものが少ないため価格に「幅」というものがありますね。

コンセプトエディションの登録済み未使用モノだったりすると400万円近い値段がついていたり、あるいはベータのCVTだったりするとけっこう普通に新車価格と同じくらいという個体も。それでも新車と同じくらい、ですからね。ふつうなら登録しただけで即7掛けというのが常識だとすると、やはりお高め。

中古車、しかも出たばかりのクルマの中古車というのは相場がまだありませんから、値付けも売る側の気持ちひとつだったりしますね。そして、それを納得して買うかどうかも買う側の気持ち一つ。

やはり新しい、しかも注目度の高いクルマに、アツいうちに乗っておく、というのもクルマ好きの楽しみ方の一つですから、ここで奮発して中古即納プレミアな価格のS660にハンコを突いてしまうのもまた一興というものでしょう。中古車屋のオヤジもニンマリです。

中古車の値段が上がる、プレミアが付く、というのはそのクルマに対するひとつの賞賛のようなものです。中には本当にそういう値段なの?というものも無いとは言いませんが、人気車ゆえの高額取引、有名税のようなものといっていいでしょう。

ひとつだけご注意頂きたいのは、たとえばこのS660のような出たてのクルマ、事故車にだけはくれぐれも気をつけてください。スポーツカーですから、それは調子よく飛ばしていてヤッてしまうこともあるだろうし、そういうタマが綺麗に直って流通する、なんていうのはありがちなお話し。妙に安いな、なんて思って、よくよく聞いてみれば事故モノだったり。

本当に良い個体を安心して探したいとお思いなら、もう少し「熱が冷めてから」の方がいいかもしれませんね。きっと選べるタマ数も増えてきているはずです。
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