忘れられないこの1台 vol.51 トヨタ ランドクルーザー 70(HZJ73V)

改めて振り返ってみると、自分で買ったクルマはSUV的な大型4駆ばかりだ。ロケでは、撮影機材を満載した上にスタッフが同乗することも多く、2駆や車高の低いクルマは行けないような場所での撮影もある。プライベートでも、キャンプ道具やカヌーなどを積み込んで、そういった場所へと入り込んで行くのだから、ソノテノクルマでなければならないのだ。

text:山岡和正 [aheadアーカイブス vol.129 2013年8月号]

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vol.51 トヨタ ランドクルーザー 70(HZJ73V)

vol.51 トヨタ ランドクルーザー 70(HZJ73V)

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▶︎1984年にランドクルーザー40系の後継として70系が登場し、1990年に1HZ型エンジンを搭載したHZJ73Vがデビュー。耐久性と豊富なバリエーションを武器に、世界中で大ヒットした。マイナーチェンジを繰り返しながら進化を続けたが、2004年に生産終了。オーストラリアや中東など、一部の国では販売が継続しているモデルもある。


そんな理由でソノテノクルマを乗り継いで来たのだが、中でも僕の記憶に色濃く残っているのはランドクルーザー70だ。 
 
厳密にはHZJ73V。通称ナナサン。2ドアだが荷室は広く、天井も高い。直6、4・2Lのディーゼルエンジンは、アイドリング状態でもクラッチを繋げば多少の凸凹もグイグイ進むほどトルクフル。何といってもスパルタンな様相に他にはない魅力があった。手に入れたのは新古車で、デフロックが未装着。車体もタイヤもノーマルのままだった。
 
暫くして、長野県の山中に行った時のこと。雨上がりのダートを走行中、ふかふかの地面に足を取られて思うように進めなくなり、登り坂にさしかかると4輪全てが空転して全く動けなくなってしまった。同行していたジムニーは、平然と先行して行く。どうやらナナサンは自重が重すぎて、沈み込んでいるようだ。
 
どうにか脱出できないかと手を尽くしたものの、オープンデフでウインチも無いのだから状況は大して変わらない。そのうち横滑りして道路脇の木に接触してしまう始末。日没も迫っていたので結局その日は諦め、翌日にウインチを装備したクルマでピックアップしに行ったのだった。
 
オフロードでは最強を自負していただけにショックは大きく、僕はナナサンを真のオフローダーに近づけようと、カスタムを施すことにした。
 
リーフスプリングの交換による車高アップと、扁平率の高いM/Tタイヤで走破性を向上。アクシデントから自力で脱出できるようにと、牽引力が高く巻き取り速度の速いウォーンのウインチ8274も装備した。

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効果は絶大で、致命的なスタックは無くなり、アフターパーツを装着したことでスタイルも精悍さを増していた。ナナサンに乗る機会は今まで以上に増え、一緒にオフロードを走ることが楽しくて仕方なかった。
 
だが、別れは突然やって来る。平成15年から実地されたディーゼル車排出ガス規制だ。大型トラックと同じようにオマエも街から出て行け、ということらしいのだが、僕は打開策を見出せないまま、規制の期限を迎えたのだった。
 
そしてナナサンは去って行った、出会ってから9年目の夏に。

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text : Kazumasa Yamaoka
1964年生まれ フォトグラファー
企業広告写真の他、自動車、アウトドア、旅行などの雑誌を中心に多方面で活躍している。カヌー、釣り、トレッキングが趣味だとアウトドア派を主張しつつも、休日にはK1300Rを駆って峠と温泉を巡ることが多い気がしている今日この頃。kaz-yamaoka.com/

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