トヨタ シエンタの歴代シリーズを一挙比較!どのような違いと進化を遂げたのか【プロ徹底解説】

トヨタ シエンタ

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「小粋でユースフルな7人乗り」をテーマに、ミニバンに求められる機能をコンパクトなサイズ凝縮したモデルが、トヨタ シエンタです。

スペイン語の「7」“siete”と英語の「楽しませる」“entertain”の造語がネーミングのシエンタは、丸みのあるスタイルの中に、シンプルで温かみのあるくつろぎの7人乗りの空間を確保したコンパクトミニバンです。

文・写真/萩原 文博

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として編集作業に本格的に携わる。中古車の流通、販売店に精通し、「中古車相場師」として活動。2006年からフリーランスの編集者となり、中古車だけでなく、現在は日本で最も多くの広報車両を借り出して取材を行い、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博
Chapter
初代シエンタ
2代目シエンタ
3代目(現行)シエンタ

初代シエンタ

「赤ちゃんを抱っこするママ」の使い方を想定し、「片手でポン!」をキーワードに、ユニバーサルデザイン評価指標を活用して、リアシート周りの乗降性と使用性、乗車人数に応じたシートアレンジのしやすいさを追求。さらに見切りの良いボディ形状によって運転しやすさにも配慮しています。

全長4.1mというコンパクトなボディの中に、3列シートをレイアウト。セカンドシートは5:5分割可倒式、サードシートは左右独立式シート構造を採用。さらに、使用頻度の高いセカンドシートは、クッションチップアップ&スライドとリクライニングの各操作を一つのレバーに集約しています。

また、セカンドシート片側にチャイルドシートを取り付けた状態でもサードシートへの上皇を可能とするなど、実用性が高く、多彩なシートアレンジが可能となっています。
搭載されているエンジンは駆動方式によって最高出力・最大トルクが異なる1.5L直列気筒DOHCの1種類。

組み合わされるトランスミッションはCVTのみで、駆動方式は2WD(FF)と4WDを用意。4WDシステムはVフレックスフルタイム4WDを採用しています。
2006年に1度目のマイナーチェンジを行い、内外装の変更を実施。そして、2012年に2度目のマイナーチェンジを行い、内外装の変更を行っています。外観ではリアコンビネーションランプのデザイン変更。ボディカラーに新色を追加。

インテリアでは、シート表皮の意匠を変更するとともに、アナログメーターの視認性を高めるデザインとしたほか、3本スポークステアリングホイールにシルバー加飾を施すなど、一段と質感を向上しました。

そして、専用デザインのフロントバンパー&グリル、ヘッドランプ、リヤコンビネーションランプを採用した新グレード「ダイス」を新設定しました。2013年の一部改良では、2WD(FF)車に車両制御機能のVSC&TRCを標準装備するなど安全性を向上させています。

初代シエンタは、2010年8月に一度生産終了となりましたが、ユーザーや営業現場からの要請などにより2011年5月に販売が再開されたロングセラーモデルです。

2代目シエンタ

2015年7月に2代目シエンタは、小さなサイズながら多彩なライフスタイルにマルチに応える「ユニーバーサルでクールなトヨタ最小ミニバン」として登場しました。2代目モデルの外観デザインはトレッキングシューズをイメージとした機動性と動感をアイコニックに表現しています。

フロントライト周りや、サイドビューそして、リアコンビネーションランプ周りにひと筆書きをモチーフとしたグラフィックを採用。特にフロントマスクは“歌舞伎顔”と呼ばれることもあるほど個性的です。

旧型シエンタは全長4,245mmというコンパクトな5ナンバーサイズのボディに、6人/7人乗りの3列シートをレイアウトしています。先代モデルに比べてゆったりサイズとなったサードシートは5:5分割可倒式を採用。さらに、折り畳むとセカンドシートの下にスッポリと収納されるダイブイン機能は秀逸です。

旧型シエンタに搭載されているパワートレインは1.5L直列4気筒ガソリンエンジンと1.5Lガソリンエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムの2種類。駆動方式は2WD(FF)を中心に1.5Lガソリン車には4WDを用意しています。

燃費性能はJC08モードでハイブリッド車は27.2km/L、ガソリン車でも2WD車は20km/Lを超える優れた燃費性能を実現しています。
2018年9月にマイナーチェンジを行い、内外装の変更を行うと共に、特別仕様車のGクエロをカタログモデルに昇格させています。また、2列シート5人乗りのファンベースを設定。さらにハイブリッド車の燃費性能は28.8km/Lまで向上しました。

2019年10月にはアウトドアユースを意識し、アクティブ感をプラスした特別仕様車のグランパーを発売。

そして2020年1月には、通常オプション設定されているインテリジェントクリアランスソーナーを標準装備し、運転支援システムを充実させたGセーフティエディションを立て続けに発売。

そして同年6月には一部改良を行い、ヘッドライトのLED化をはじめ、上級グレードにはスライドドアに近づくだけで、自動的に開くウェルカムパワースライドドア機能を追加するなど利便性が向上しています。

3代目(現行)シエンタ

2022年8月23日、3代目となるシエンタが登場しました。

3代目シエンタのボディサイズは全長4,260mm×全幅1,695mm×全高1,695mm(4WD車は1,715mm)と従来モデル同様に5ナンバーサイズとなっています。
3代目シエンタは、クルマの骨格となるプラットフォームにはTNGA(GA-B)プラットフォームをベースに新設計しています。

さらに主要な骨格を連結させた環状骨格構造を採用することにより、結合部の剛性を向上させました。

その結果、軽量でありながらバランスの取れた高剛性ボディを実現し、上質な乗り心地と優れた操縦安定性を発揮します。
また車両主要骨格に採用されている構造用接着剤およびルーフパネエルに採用されているマスチックシーラーの一部を高減衰タイプとすることで、操縦性、乗り心地、静粛性を向上させています。
新設計のプラットフォームは330mmと低いフロア地上高や段差のないフラットなフロアを踏襲。

新型ではパワースライドドアの開口部を1,200mm(従来型比+60mm)に拡大することで、後席への優れた乗降性を実現しています。
バックドアの開口部の高さは、従来型より15mm拡大、さらに荷室高も20mm高くしたことで、荷物の出し入れがよりスムーズに行うことが可能です。

荷室空間は最大にすると、27ンチタイヤもハンドルを開口部に取られることなく積載が可能となりました。
3代目シエンタの外観デザインは、先代モデルのアクティブさを強調したものからライフツールとしての機能をストレートに表現する方向性へシフトしています。

また、ベルトラインを水平にした大きなキャビンや良好な視界と運転しやすい見切りを表現したルーミーレスなウィンドウ。
ボディのコーナー部分を丸くすることにより、コンパクトに見せ、取り回しの良さにも繋がる「シカクマル」シルエット。

そして、気兼ねなく使えるルール感を演出するために大きなサイドプロテクションモールを採用しているのが特徴です。
インテリアは、使う楽しさと居心地の良い空間を追求しています。

室内空間を広く見せる水平基調のデザインを採用したのをはじめ、外観と同様にドアポイエットやメーターなどの機能部品に「シカクマル」デザインを採用。
さらにピクトグラムで収納物を表示したり、機能部分にアクセントカラーを採用したりするなど楽しい表現を行っています。

乗車定員は全モデルで2列シート5人乗り仕様と3列シート7人乗り仕様を用意しています。
3代目シエンタに搭載されているパワートレインは、最高出力120ps、最大トルク145Nmを発生する1.5L直列3気筒ダイナミックフォースエンジン+ダイレクトシフトCVT

そして1.5Lエンジン+モーターのハイブリッドシステム搭載車の2種類。
駆動方式は2WD(FF)を中心にE-Fourと呼ばれる電気式4WDをハイブリッド車に設定。

従来はガソリン車に4WDが設定されていましたが、新型シエンタではハイブリッド車に待望の4WDを設定。

燃費性能はWLTCモードでガソリン車が18.3~18.4km/L。ハイブリッド車は25.3~28.8km/Lとなっています。
運転支援システムは、プリクラッシュセーフティに車両、歩行者、自転車運転車に、自動二輪車(昼)を検知範囲に加えて、事故割合が高い交差点でも支援するタイプを採用。

そして運転の状況に応じたリスクを先読みして、ドライバーのステアリングやブレーキ操作をサポートするプロアクティブドライビングアシストを採用した最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を全車に標準装備しています。
さらに、縦列駐車や車庫入れ時のアクセル、ブレーキ、ハンドル操作、シフトチェンジの全操作を車両が支援する高度運転支援技術「トヨタチームメイト」の機能「アドバンストパーク」を設定しています。

そのほか、クルマに搭載した通信機によってソフトウェアアップデートや充実したT-Connectサービスなど“繋がる”機能も充実しており、従来型で見られたネガな部分はすべて払拭されています。
後席の快適性に配慮した「天井サーキュレーター」の設定や、シートヒーターやステアリングヒーターなどがセットとなったコンフォートパッケージを設定するなど、高いホスピタリティが魅力です。
シエンタは初代モデルから5ナンバーサイズのコンパクトミニバンというコンセプトも3代目の現行モデルまで継承しています。

トヨタはミニバンも豊富なラインアップを誇っているため、ボディサイズを大きくしてしまうとバッティングしてしまうということもありますが、メインターゲットが子育て中のママということもあり、取り回しのしやすいボディサイズを堅持しているのは好感がもてます。

また、現行モデルになり、これまで弱点だった運転支援システムも一気に充実したことで、高い支持を得られそうです。
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