日産 3代目ノートを試乗してみてわかったこと【プロ徹底解説】

鈴木ケンイチ

※この記事には広告が含まれます

2020年暮れにフルモデルチェンジを行い、3代目となった日産 ノート。

トヨタやホンダなどのライバルと競い合う日本を代表するコンパクトカーのひとつであり、日産で最も数多く売れている車です。

3代目となったノートを走らせてみて気づいたことなどをレポートします。

文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
プラットフォーム&パワートレイン…すべてを一新!
パワフルかつ軽量小型化した新世代「e-POWER」
上級セダンのようなスムーズさと静粛性
力強くも素直で扱いやすいパワートレイン
ファミリーカーらしい穏やかな挙動
現代のコンパクトカーのスタンダード的存在

プラットフォーム&パワートレイン…すべてを一新!

3代目となったノートは、プラットフォームとパワートレインに、新しい世代のものを採用しています。デザインも新しい「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」というコンセプトを導入しました。つまり、見た目も中身もすべて新しくなっているのです。

先進運転支援システムは、日産の最新となる「プロパイロット(ナビリンク機能付き)」を用意(一部オプション設定)が採用されているのもトピックです。

また、車の周囲360度をカバーする「360°セーフティサポート」コンセプトの元、衝突被害軽減自動ブレーキなどの先進安全技術を数多く標準装備。コンパクトカーであっても、安心&安全の先進運転支援技術を充実させているのも特徴となります。

パワフルかつ軽量小型化した新世代「e-POWER」

3代目ノートは、パワートレインがシリーズハイブリッドの「e-POWER」のみとなったところも特徴です。従来のようにエンジン車とハイブリッドが用意されているのではなく、3代目はハイブリッド専用車種となっています。そして「e-POWER」自体も第2世代に進化しました。

第2世代となったことで、モーターはパワーアップして、インバーターは軽量&小型化、そして発電用のエンジンの使い方も工夫されています。具体的に言えば、モーターは先代よりも出力を6%、トルクを10%アップ。最高出力は85kW(116馬力)、最大トルクは280Nmとなりました。

後輪にモーターを追加した4WD仕様も用意されており、こちらの場合はフロントに85kW(116馬力)/最大トルク280Nm、後輪に50kW(68馬力)/100Nmのモーターを搭載します。インバーターは先代よりも40%小型化・30%軽量化を実現しています。

パワフルになっただけでなく、エンジン効率も高められたことで、燃費も若干ですが向上。最上級グレードの「X」で比較すると、JC08モードで先代の34.0㎞/lから34.8km/lに。最新のWLTCモードでは28.4㎞/lとなっています。

上級セダンのようなスムーズさと静粛性

3代目ノートを走らせて、最初に気付くのは、その静粛性の高さです。シリーズハイブリッドの「e-POWER」は、エンジンで発電し、その電力を使ったモーターで駆動します。ところが、エンジンの稼働音が非常に低く抑えられているのです。さらにバッテリーの性能ぎりぎりまで使い、エンジンの稼働自体を減らすような制御を採用しています。

端的に言えば、「あまりエンジンがかからない」のです。その上、路面状況に合わせた発電制御が新しく採用されました。これは荒れた路面による走行ノイズが大きいときに積極的に、エンジンを稼働させて発電するというもの。

結果的に、静かな路面での発電頻度が少なくなるため、さらに静かに感じることができるというわけです。そのため、3代目ノートの静粛性は、“エントリー”としてのコンパクトカーではなく、まるで高級セダンのような印象を与えます。

また、加速はモーターだけで行うため、変速ショックがなく、途切れなくスムーズなのも「e-POWER」の特徴です。3代目ノートのモーターのトルクは280Nmもあるため、コンパクトカーではなく、やはり上級セダンのような力強さがあります。ちなみに瞬発力という点では、FFよりも4WDがさらに上をゆきます。

力強くも素直で扱いやすいパワートレイン

新しくなった「e-POWER」によって、3代目ノートの走りは、非常に力強くなっていますが、ドライバーの意思を跳び越すような不躾なところがなく、非常に扱いやすいのも美点でしょう。

ちなみに、回生ブレーキを強く効かせて、街中の走行をアクセルひとつでコントロールできる、いわゆる「ワンペダル」のための専用ボタンはなくなりました。その代わりにスポーツ、エコ、ノーマルの3つを選べる「ドライブモード」と、停車中にブレーキを維持する「オートブレーキホールド」が用意されています。

そのドライブモードを、スポーツとエコにすると回生ブレーキが強まる、いわゆるワンペダル状態となり、ノーマルになると普通のエンジン車のようなフィーリングとなります。どちらにせよアクセルペダルの操作だけで車を停止させることはできなくなっているのも特徴です。

ファミリーカーらしい穏やかな挙動

3代目ノートは、車の根幹をなすプラットフォームも新しいものを採用しています。走らせてみて好印象に思えたのは、このプラットフォームが実現する走り味です。非常に素直で、穏やかな挙動を見せてくれるのです

ハンドルを切って、車が向きを変えてゆくときの動きが穏やかで安心感があります。いわゆる「スポーティ」で、俊敏な動きを期待すると肩すかしを食うはず。でも、ノートは、家族みんなで乗るファミリーカーですから、こうしたゆったりとした動きこそ正解でしょう。

安定感で言えばFFよりも重い4WDモデルの方がより強まります。ちなみに雪道を走らせたときに、より積極的に向きを変えることができるのも4WDモデルでした。積雪エリアに住んでいるのであれば、やはり4WDモデルがおすすめとなります。

現代のコンパクトカーのスタンダード的存在

ノートは日産を代表するコンパクトカーというだけでなく、国内でも屈指のベストセラーカーのひとつ。3代目モデルは、「日本・カー・オブ・ザ・イヤー」と「RJCカー・オブ・ザ・イヤー」という国内に2つある賞をダブル受賞するほど高い評価を得ています。

その魅力のひとつが、走り味であることは間違いありません。新しくなった「e-POWER」は、パワフルかつスムーズ、そして静か。そしてハンドリングは、ファミリーカーならではの安心感溢れるものでした。

また、エクステリアだけでなくインテリアのデザインはモダンで上質感がありました。パッケージング的に優れ、室内が広いという歴代ノートの美点も継承されています。先進運転支援システムも充実しています。

さらに、上級セダンを思わせるような静粛性と力強い走りも備えています。コンパクトカー=小さい車は、「安いかわりに貧相」という古い常識を覆す、充実した内容です。3代目ノートは、現代のベストセラーカー、そしてファミリーカーのスタンダード的な存在と言えるのではないでしょうか。
【お得情報あり】CarMe & CARPRIMEのLINEに登録する

商品詳細