セダンなんてほとんど乗らない...なのに教習車がセダンで大丈夫なの?

教習車

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現在、日本全国に数多くの教習所がありますが、教習車として採用されているのはほとんどがセダンです。

軽自動車やSUV、コンパクトカーが主流となっている今、セダンで教習を受ける意味はあるのでしょうか。

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道
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運転の基礎を学ぶためのセダン採用

運転の基礎を学ぶためのセダン採用

高度経済成長期には、ステータスとしてセダンの存在がありました。1983年にデビューした7代目クラウンはキャッチコピーを「いつかはクラウン」とし、1988年の初代シーマは「シーマ現象」という言葉を生み出すほど売れたモデルでした。

昨今では軽自動車やコンパクトカーやSUVが販売台数を伸ばす傾向にあり、国産セダンの代表格とされていたクラウンも新型ではSUVになると報じられ、同じく日産のシーマやフーガといった高級セダンたちも2022年の夏ごろには生産終了になるとしています。
このような世相のなか、自動車教習所では教習車としてセダンを採用しています。新車の販売台数から見ても、縮小を続けているセダンを教習車とするのは、時代に逆行する行為ともいえるでしょう。

しかし、これには理由があります。

そもそも、道路交通法施行規則の第24条によって乗車定員5人以上の普通自動車は、長さ4.4m以上・幅1.69m以上・最遠軸距2.5m以上・輪距1.3m以上でなければならないとされています。

この規則の存在によって、軽自動車はもちろんコンパクトカーなども採用することが難しいのです。
一方で、人気のSUVやミニバンといったジャンルの車は教習車としての条件を満たしている場合がほとんどです。

SUVやミニバンが教習車として採用されていてもおかしくはありませんが、これは、教習所内の造りに関係があるとされています。
教習所内に設置されている運転教習のためのS字カーブやクランクなどは、周囲に建物もなくガードレ―ルなども設置されていません。

そのため、運転席からの視界が高く、見下ろすような格好になるSUVやミニバンでは道路の構造が把握しづらいという欠点があるのです。

また、セダンは、その構造上ボンネットが長く運転姿勢も低くなります。つまり、前後左右の感覚を直感で掴む練習に適しており、高速教習などでは風などの影響を受けにくく安全性が増すというのが教習所でセダンが採用されている理由となっているようです。


さらに、メーカーが教習車として販売しているモデルが、基本的にセダンのみという背景もあるようです。
マツダのマツダ2(セダン)やホンダのグレイス、スバルのインプレッサG4などが代表的な教習車です。

これら教習車として販売されているモデルは、教習車用のオプションとして補助ミラーや補助ブレーキが用意されています。

メーカーが教習車として設定していないモデル以外を教習車にしようとすれば、教習車用の装備を取り付けるため改修が必要となり、その分コストがかかります。

設備投資にかかる費用という面も、教習車がほとんどセダンとなっている理由の1つでしょう。
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