フォルクスワーゲン ザ・ビートルの手堅いメカニズムを徹底解説

ザ・ビートル 西川撮影

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約60年販売され続けたビートルことフォルクスワーゲン・タイプ1。そのタイプ1を現代風にアレンジしたデザインと新世代のメカニズムを採用しているザ・ビートル。

そのメカニズムは新世代モデルにふさわしいものとなっています。今回はそんなメカニズムを紹介していきます。

写真/文・西川昇吾

西川 昇吾|にしかわ しょうご

1997年生まれ。富士スピードウェイ近隣で生まれ育ち、大学で自動車に関する学習をする傍ら、自動車ライターとしての活動を始める。過去にはコミュニティFMのモータースポーツコーナーにてレギュラー出演経験あり。「書くこと、喋ることで自動車やモータースポーツの面白さを伝える」を目標とし、様々なジャンルのライティングや企画に挑戦中。

西川 昇吾
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フォルクスワーゲンの直噴過給機「TSI」技術を採用
ミッションにはフォルクスワーゲンが得意とするDSGを採用

フォルクスワーゲンの直噴過給機「TSI」技術を採用

日本市場向けモデルで採用されているエンジンのラインアップは3つ。1.2L4気筒ターボエンジンと1.4L4気筒ターボ、そして2.0L4気筒ターボです。

1.4Lエンジンはモデルライフ後半からラインアップに加わった「R-Line」に搭載されていたため個体数が少なく、2.0Lエンジンは上級スポーツグレードである「Turbo」や「2.0R-Line」に搭載されていました。そのため日本市場で販売されたザ・ビートルのほとんどが1.2Lエンジンを搭載していたことになります。

この1.2Lターボエンジンはフォルクスワーゲンの直噴技術が採用されているため、TSIと呼ばれるエンジンとなっています。TSIエンジンはターボチャージャースーパーチャージャーなどの過給機と直噴技術の両方を採用したフォルクスワーゲンエンジンに用いられる名称です。

日本市場には2007年からこのTSIエンジンは導入されていて、低燃費かつ高性能な点が評価されています。各エンジンのスペックは以下の通り。

1.2Lエンジン
最高出力:77kW(105PS) /5000rpm
最大トルク:175Nm(17.8kgm) /1500-4100rpm
 
1.4Lエンジン
最高出力:110kW(150PS)/5000-6000rpm
最大トルク:250Nm(25.5kgm)/1500-3500rpm
 
2.0Lエンジン
最高出力:155kW(211PS)/5300-6200rpm
最大トルク:280Nm(28.6kgm)/1700-5200rpm

メインとなる1.2Lエンジンは小排気量ながらTSI技術により1.8Lエンジン並みのトルクを実現しています。特に最大トルク発生回転域が1,500rpmからになっているのは、非常に評価すべきポイントです。2021年現在こそ1,500rpmからトルクフルなエンジンは多くあります。

しかし2011年に発表されたクルマであることを考えると、とても低速トルクに優れるエンジン特性なのがスペックからも見て取れます。TSIエンジンはトレンドを先取りしていたエンジンとも言えるでしょう。

ミッションにはフォルクスワーゲンが得意とするDSGを採用

ザ・ビートルはトランスミッションも注目メカニズムです。フォルクスワーゲングループが得意としているDSGミッションを搭載。変速段数は7段となっています。

伝達ロスが少ないため燃費向上に貢献しつつ、ドライブの意思に対してリニアな反応を実現しているのが特徴です。TSIエンジンとの組み合わせにより、JC08モードで17.6km/Lという燃費性能を実現しています。

イージードライブと変速の楽しさを両立することができるのがDSGミッションの最大のメリットです。フォルクスワーゲンのDSGミッションなどに代表されるデュアルクラッチトランスミッションは、スポーツモデルなどに採用されることが多く、ザ・ビートルのような小排気量のエントリーモデルに採用されることはあまりありません。

ザ・ビートルのようなモデルにもデュアルクラッチトランスミッションを採用するのは、この手のミッションの先駆者ともいえるフォルクスワーゲンだからこそと言えます。
このエントリーモデルにDSGミッションを搭載するというのはフォルクスワーゲンのお家芸のようなものであり、ハッチバックの基準とされるゴルフや、その弟分であるポロなどもザ・ビートル登場よりも前にTSIエンジンにDSGという組み合わせを採用していました。
そのほかにドライバーをサポートするメカニズムが採用されているのも忘れてはいけないポイントです。横滑り防止装置などといった定番メカニズムはもちろんですが、低ミュー路でハンドルが取られる力を抑えるドライバー・ステアリング・リコメンデーション(DSR)といった当時新しいメカニズムも採用されています。

タイプ1をオマージュしたデザイン重視なモデルだからこそ、どんなドライバーが運転しても安全に移動できるようにというフォルクスワーゲンの考えが見受けられるポイントです。
ザ・ビートルのメカニズムを振り返ってみると、当時としても大幅に画期的なものはありませんでした。しかし、既に評価の高いポロやゴルフで採用されたメカニズムを採用している点は間違いのない選択をしていると感じさせます。

その間違いのない選択が、見た目だけでなくしっかりとした走行性能も確保されているザ・ビートルを造り上げていると言えます。
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