シビック タイプR用エンジン「VTEC TURBO」がスゴい理由と3つの特徴を解説

ホンダ シビック タイプR 2017 ヨーロッパ仕様

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2017年、ホンダは5代目のシビック タイプRの発売を開始しました。「世界最速のFF量産車」の称号をもつシビック タイプRの動力源が、専用に開発されたVTEC TURBOエンジンです。今回は、VTEC TURBOに採用されている技術の中から、特徴的な3つを取り上げて解説していきます。

文・吉川賢一
Chapter
シビック タイプRとは?
VTEC TURBOの凄さ
その1、吸排気デュアルVVT(可変バルブタイミング機構)
その2、直噴システム+高タンブルポート
その3、電動ウェイストゲート

シビック タイプRとは?

新型シビック タイプRは、世界中のクルマがテストを行う、ニュルブルクリンク(ドイツ)のコースで、FF量産車の世界最速タイムを記録しました。

究極のFF車として、軽量・高剛性ボディやアクティブダンパーのサスペンションなど、最先端の技術を採用しています。しかし、最速を可能としたコア技術は、なんといっても、ホンダ独自の先進技術を数多く採用した2.0L直噴VTEC TURBOです。

では、このシビック タイプR用の2L直噴VTEC TURBOの凄さとは何でしょう。

VTEC TURBOの凄さ

その1、吸排気デュアルVVT(可変バルブタイミング機構)

VTECは、吸・排気バルブのタイミングとリフトを自在に制御する機構です。吸・排気バルブのタイミングやリフトは、出力や燃費・排ガス性能を左右する、重要な因子です。 

「VTEC TURBO」では、さらなる高出力を狙い、VTECにターボを組み合わせています。ターボは、排気エネルギーを使って、過給圧を上げ、吸気量を増やして、出力を向上させるシステムです。しかし、低速回転域では、排気エネルギーが小さいため、過給圧が十分に上がらない、またターボラグによって、レスポンスが悪い、という課題がありました。

そこで、低回転域でも過給圧が上がるように、吸・排気のバルブオーバーラップと排気側のバルブリフト量を最適化し、低速トルクとレスポンスの向上を実現しています。

その2、直噴システム+高タンブルポート

通常のエンジンでは、ガソリンは吸気ポートに噴射され、空気とともにシリンダー内に吸い込まれていきますが、直噴エンジンにおいては、ガソリンは直接、シリンダーの中に噴射されます。

直接ガソリンを噴射することで、気化熱を発生させ、この気化熱により混合気の温度が下げられます。混合気の温度が下がれば、ノックしづらくなり、エンジン出力を向上させることができるのです。特に、ノックが起こりやすいターボエンジンにおいて、この直噴システムはとても効果的です。

またVTEC TURBOは直噴システムの採用に合わせ、吸気側にシリンダーの中に、強いタンブル流(縦渦)を発生させる高タンブルポートを採用しました。強いタンブル流は、ガソリンと空気の混合を促進し、混合気の燃焼を速くする効果があります。混合が促進され、燃焼速度が速くなれば、エンジンの熱効率が上がり、燃費は良くなります。

その3、電動ウェイストゲート

低回転域で過給圧が上がらない、レスポンスが悪いという、ターボの弱点を解消するために、先述した可変バルブ機構の最適化の他に、電動ウェイストゲートも採用しています。

電動ウェイストゲートは、排気エネルギーを高速かつ自在に制御するシステムです。これによって、低回転でも、排気エネルギーを上げて、過給圧を上げ、出力とレスポンスを向上させることができます。

直噴システムと可変バルブ機構、ターボシステムの3つを組み合わせる技術は、すでに多くのメーカーが採用していますが、2.0Lの排気量ながら235kW(320ps)という傑出した最高出力を達成しつつ、あくまで量産仕様として、排出ガス規制をクリアし、燃費も意識している点が、他のメーカーと決定的に異なる点です。

日本が誇るホンダの量産スポーツカーとして、今後も「世界最速のFF量産車」の称号を守り続けてほしいですね。

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