テンロクエンジンを見かけなくなった理由は?1.6Lのエンジンの車は思いつく?
更新日:2024.09.09
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その昔、自動車好きの間で「テンロクウォーズ」という言葉が使われていたことがある。テンロクとは、総排気量が1.6L程度のエンジンを指す愛称のようなもので、1.6Lエンジンを積んだホットモデルがモータースポーツで競い合い、ストリートでもライバル視されていた。
そのバトルがもっともホットだったのは1980~1990年代にかけてだが、現在はテンロクのホットモデルを見つけることのほうが難しい。あれほど盛り上がっていたテンロクはなぜ消えてしまったのだろう?
文・山本 晋也
そのバトルがもっともホットだったのは1980~1990年代にかけてだが、現在はテンロクのホットモデルを見つけることのほうが難しい。あれほど盛り上がっていたテンロクはなぜ消えてしまったのだろう?
文・山本 晋也
テンロクエンジンの人気車種といえば昔のトヨタ4A-GやホンダB16
あらためてテンロクウォーズという言葉が使われていた時代のこと思い返してみよう。おそらく、その言葉が使われるきっかけになったのは1984年、ホンダがシビックにZCエンジンを載せたときだろう。
ホンダとして14年ぶりに復活したDOHCエンジンの好敵手とみられたのは、トヨタのカローラレビン&スプリンタートレノ。つまり4A-Gエンジンを縦置きする「AE86」とシビックの戦いが「テンロクウォーズ」の始まりである。
その後、4A-Gは横置きレイアウトで積まれるようになり、最終的には気筒あたり5バルブの20バルブヘッドとなった。
そのほか三菱がミラージュに1.6Lターボを用意したり、MIVECと呼ばれる可変機構を備えた1.6Lエンジンを用意したりしている。日産やいすゞといったメーカーも1.6Lのスポーツエンジンを設定した。
マツダが日本初のフルタイム4WDモデル「ファミリア」に搭載したのも1.6Lターボエンジンだった。
ホンダとして14年ぶりに復活したDOHCエンジンの好敵手とみられたのは、トヨタのカローラレビン&スプリンタートレノ。つまり4A-Gエンジンを縦置きする「AE86」とシビックの戦いが「テンロクウォーズ」の始まりである。
その後、4A-Gは横置きレイアウトで積まれるようになり、最終的には気筒あたり5バルブの20バルブヘッドとなった。
そのほか三菱がミラージュに1.6Lターボを用意したり、MIVECと呼ばれる可変機構を備えた1.6Lエンジンを用意したりしている。日産やいすゞといったメーカーも1.6Lのスポーツエンジンを設定した。
マツダが日本初のフルタイム4WDモデル「ファミリア」に搭載したのも1.6Lターボエンジンだった。
一方、ホンダは1989年に可変バルブタイミング&リフト機構である「VTEC」を採用したB16Aエンジンを誕生させ、NA(自然吸気)ながらリッターあたり100馬力の高出力を実現した。さらに1997年に生まれた初代シビックタイプRに搭載されたB16Bエンジンでは185馬力に到達。
こうして、ライバルを突き放したことが「テンロクウォーズ」を終焉に向かわせたという面は否めない。とはいえ、これが最後の1.6Lスポーツユニットになったわけではない。
こうして、ライバルを突き放したことが「テンロクウォーズ」を終焉に向かわせたという面は否めない。とはいえ、これが最後の1.6Lスポーツユニットになったわけではない。
テンクロエンジンだったスイフトスポーツは今はダウンサイジングターボになった
おそらく国産モデルで最後のスポーツユニットといえる1.6Lエンジンは先代までのスズキ スイフトスポーツ(ZC31型~ZC32型)が搭載していたM16Aエンジンだろう。最終仕様でも最高出力は136馬力に過ぎないのは環境規制などをクリアするため。
かつてのテンロクエンジンほどの過激な性能を持っていたわけではないが、そのフィーリングはコンパクトなスポーツカーにふさわしい気持ちよさだった。しかし、現行型のスイフトスポーツは1.4Lターボになった。シビックにしてもスタンダードモデルは1.5Lターボを積んでいる。
世界的なダウンサイジングターボのトレンドは、国産車からホットなテンロクを失わせることに無関係とはいえない。
かつてのテンロクエンジンほどの過激な性能を持っていたわけではないが、そのフィーリングはコンパクトなスポーツカーにふさわしい気持ちよさだった。しかし、現行型のスイフトスポーツは1.4Lターボになった。シビックにしてもスタンダードモデルは1.5Lターボを積んでいる。
世界的なダウンサイジングターボのトレンドは、国産車からホットなテンロクを失わせることに無関係とはいえない。
日本ではテンクロエンジンの排気量だと自動車税が割高になってしまう
しかし、テンロクエンジンが国産車から消えつつあるのはそれだけではないだろう。そもそも日本の自動車税は500cc刻みとなっているため、1.6Lの排気量というのは自動車税でいえば2.0L以下の分類で、1.5L以下のクルマと比べると税負担が大きく、贅沢なエンジンだった。
かつて1.6Lエンジンを積んでいたマツダ ロードスターは、その贅沢さがロードスターというクルマのキャラクターにつながっているという。作り手の意思も込められていたというが、それでもが現行型で1.5Lとなったことで自動車税の面で有利になったのは否めない。
1.5Lでも同等の性能を出せることを考えると、見栄でテンロクを選ぶというマインドより経済合理性が勝るのは自然な話だ。
かつて1.6Lエンジンを積んでいたマツダ ロードスターは、その贅沢さがロードスターというクルマのキャラクターにつながっているという。作り手の意思も込められていたというが、それでもが現行型で1.5Lとなったことで自動車税の面で有利になったのは否めない。
1.5Lでも同等の性能を出せることを考えると、見栄でテンロクを選ぶというマインドより経済合理性が勝るのは自然な話だ。
また、1980~1990年代のテンロクウォーズと呼ばれた時代は、モータースポーツのクラス分けで1.6L以下というカテゴリーがあった。だからこそ、レビン&トレノとシビックのライバル関係がサーキットからストリートまでダイレクトにつながっているように見えたのだ。
現在でもジムカーナなど身近なモータースポーツでは気筒容積(総排気量)1,600ccでクラス分けが行なわれており、テンロクのスポーツカーがあれば活躍しそうなものだが、現実的には現行型の1.6L以下で競われるPN1クラスは1.5Lエンジンのマツダ ロードスターのワンメイク状態となっていたりする。
テンロクのスポーツカーがなくともモータースポーツは十分に盛り上がることができるといえそうだ。
現在でもジムカーナなど身近なモータースポーツでは気筒容積(総排気量)1,600ccでクラス分けが行なわれており、テンロクのスポーツカーがあれば活躍しそうなものだが、現実的には現行型の1.6L以下で競われるPN1クラスは1.5Lエンジンのマツダ ロードスターのワンメイク状態となっていたりする。
テンロクのスポーツカーがなくともモータースポーツは十分に盛り上がることができるといえそうだ。
かつて「テンロクウォーズ」とまで盛り上がった1.6L級のスポーツエンジンを見かけなくなった理由をひとつに求めることはできないが、国内の事情でいえば合理的に1.5Lエンジンを選択するユーザーが増えたという市場マインドの変化がある。
グローバル視点ではダウンサイジングターボの流行により1.5L以下の過給エンジンが主流になりつつあるという2点が主に影響しているのではないだろうか。
グローバル視点ではダウンサイジングターボの流行により1.5L以下の過給エンジンが主流になりつつあるという2点が主に影響しているのではないだろうか。
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