ランドローバー70年の歴史を紐解く

レンジローバー

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かつては、数多くの自動車メーカーが存在していたイギリス。20世紀後半に起こった自動車メーカー再編の渦に巻き込まれ、現在はイギリス以外の企業傘下になってしまったメーカーも数多く、ランドローバーもそのひとつです。今回は、そんな英国を代表する自動車ブランド、ランドローバーの歴史を紐解きます。

文・西山昭智
Chapter
もともとはモデル名だったLANDROVER
レンジローバー誕生
紆余曲折を経たブランド
新しいモデルが次々とデビュー

もともとはモデル名だったLANDROVER

ランドローバー(LANDROVER)は、英国のローバー社から派生して誕生した自動車の名前でした。戦前から自動車を数多く手がけてきたローバー社が、第2次大戦後の1948年に『ランドローバー』というオフロード向けの車を製作。これがランドローバーという名前の始まりとなりました。

”ランド=大地”、”ローバー=流浪する”という意味を冠した自動車は、エンジニアのモーリス・ウイルクスが製作したもので、初代モデルはシリーズ1と呼ばれています。

その優れたオフロード性能によりイギリス軍が採用し、1970年代にはブローニングやヴィッカースKで架装した英国特殊部隊SAS専用車両の「ピンクパンサー」というランドローバーが活躍します。

このように、もともとはローバーのいちモデルとして誕生したランドローバーですが、親会社であるローバーが1968年にイギリスの国営企業であるブリティッシュレイランドに合併され、それにともないランドローバーという部門(ブランド)が誕生。その後は、ローバーと同じようにひとつのブランドとして存続していきます。

このような英国自動車メーカー再編のなかで誕生したランドローバーというブランドですが、2年後の1970年にはランドローバーの屋台骨を作り上げる1台の名車が誕生します。

レンジローバー誕生

ランドローバーのブランドから新しく登場したレンジローバー。ブリティッシュ・レイランドのエンジニアであるチャールズ・スペンサー・キングが中心となり、ランドローバーを超えるほどのオフロード性能に加え、高級自動車にも引けをとらない快適性を目的にして誕生したフルタイム4輪駆動のマルチパーパスヴィークルとして誕生します。

徹底して剛性を高めたフレームは悪路をものともせず、ボディパネルにアルミを多用することで軽量化を実現。スペアタイヤを車内に置き、走行に必要な駆動部品の損傷を防ぐべくレイアウトにも徹底したこだわりが詰め込まれています。

レンジローバーは英国内で高い評価を集め、第1回パリ・ダカールラリーで優勝をはたすと、その名前はランドローバーというブランドとともに世界中に広まりました。

レンジローバーの普及で一躍その知名度を高めたランドローバーですが、もちろん本家のランドローバーシリーズも生産され続けています。

1978年にはシリーズ3まで進化したランドローバーは、1983年にはランドローバー 90/110と名前が変わり、その後1990年には事実上の後継モデルであるディフェンダーへと進化します。さらに1989年にはディスカバリーというモデルが登場し、3種類のSUVモデルがレンジローバーの中心軸となりました。

紆余曲折を経たブランド

以来、ランドローバーは4輪駆動モデルを取り扱うSUVブランドとして知られるようになりますが、ブランドそのものは紆余曲折をたどることになります。親会社であるブリティッシュレイランドは経営難により合併や提携を繰り返し、その後ローバーグループへ呼称を変更。

1990年代に入るとBMWに買収され、BMW傘下のもとでローバーとランドローバーが分割。ランドローバーはフォードへと売却されてしまいます。さらに2000年代にはフォードからも売却され、現在はインド・タタ自動車の傘下として存続し続けています。

新しいモデルが次々とデビュー

このBMWおよびフォード傘下の時代には、上記3モデル以外にもさまざまなモデルがラインナップに加わりました。1997年にデビューしたフリーランダーは、現在のコンパクトSUVの先駆けともいえる存在。2006年に登場する2代目フリーランダーは、さまざまな自動車メーカーの影響を受けたランドローバーらしく、ボルボやフォードと同じエンジンやプラットフォームが使われています。

このフリーランダー以外にも2009年にはイヴォークというSUVが登場。レンジローバーとディスカバリーにはスポーツという派生モデルが登場するなど、現在では数多くのラインナップが揃っています。
かつてはシリーズ1というたった1台の車からスタートし、現在は計8種類ものラインナップを誇っているランドローバー。決して平坦な道のりではなかった70年間ですが、2018年となった現在でも、そのブランド名は自動車史のなかで燦然と輝いています。

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