ベーパーロック現象って?フェード現象との違いも解説!
更新日:2024.09.09
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「走行中にブレーキが効かなくなった」というのは交通事故を起こしてしまったドライバーが言うこともあるが、そのほとんどがペダルの踏み間違い。ただし本当にブレーキが効かなくなることもある。
その中にはメカニカルトラブルによる故障もあるだろうが、ドライビングのミスで起きてしまうのが「フェード現象」と「ベーパーロック現象」だ。いずれもブレーキシステムの過熱によって制動力を失うものだが、はたして違いはどこにあるのだろうか。
文・山本 晋也
その中にはメカニカルトラブルによる故障もあるだろうが、ドライビングのミスで起きてしまうのが「フェード現象」と「ベーパーロック現象」だ。いずれもブレーキシステムの過熱によって制動力を失うものだが、はたして違いはどこにあるのだろうか。
文・山本 晋也
フェード現象とは、発熱によってブレーキが突如、効かなくなる現象
ディスク式にしろ、ドラム式にしろ、自動車の機械式ブレーキというのは摩擦材(ブレーキパッド)と金属をこすり合わせることで運動エネルギーを熱に変換して減速するという仕組みだ。そのため下り坂などでフットブレーキを使い続けるとブレーキシステム自体が熱を持ってくる。
「フェード現象」というのは、摩擦材の設計値よりも高熱になって摩擦力を失ったときに発生する。つまりブレーキペダルを踏みつけても減速しなくなってしまう。
「フェード現象」というのは、摩擦材の設計値よりも高熱になって摩擦力を失ったときに発生する。つまりブレーキペダルを踏みつけても減速しなくなってしまう。
ベーパーロック現象の原因はブレーキフルードの「エアかみ」にあり
一方、ブレーキシステムの熱というのはブレーキを作動させる液圧経路にも伝わっていく。そうして熱が溜まっていくと、ブレーキを作動させる液(ブレーキフルード)が沸騰してしまうことがある。そうなるとブレーキフルードの中に気泡が生じてしまう。
「ベーパーロック現象」というのは、気泡の影響により圧力を伝達しなくなったときに発生し、いくらペダルを踏んでもブレーキが作動しなくなる。当然、制動力はまったく得られず、下り坂であれば速度は上がっていくばかりになる。
フルード内に気泡が発生することを専門用語ではキャビテーションと呼ぶが、俗称として「エアかみ」と呼ぶこともある。
「ベーパーロック現象」というのは、気泡の影響により圧力を伝達しなくなったときに発生し、いくらペダルを踏んでもブレーキが作動しなくなる。当然、制動力はまったく得られず、下り坂であれば速度は上がっていくばかりになる。
フルード内に気泡が発生することを専門用語ではキャビテーションと呼ぶが、俗称として「エアかみ」と呼ぶこともある。
両現象は高温対応のブレーキフルードにすれば起きづらくなる
いずれにしてもフェードやべーパーロックといった現象は、主に下り坂で発生するトラブルで、結果としてはブレーキが効かなくなる症状を示す。
非常に危険なトラブルであり、それを防ぐために「エンジンブレーキ」を積極的に活用することが求められる。
またべーパーロック現象を起こしづらいよう、沸点の高いブレーキフルードを選ぶという手もある。しかし、ブレーキフルードというのは使っているうちに吸湿してしまい、沸点が下がることの影響が大きい。
車検ごとなど定期的な交換を意識することが肝要だろう。
非常に危険なトラブルであり、それを防ぐために「エンジンブレーキ」を積極的に活用することが求められる。
またべーパーロック現象を起こしづらいよう、沸点の高いブレーキフルードを選ぶという手もある。しかし、ブレーキフルードというのは使っているうちに吸湿してしまい、沸点が下がることの影響が大きい。
車検ごとなど定期的な交換を意識することが肝要だろう。
山本 晋也|やまもと しんや
自動車メディア業界に足を踏みいれて四半世紀。いくつかの自動車雑誌で編集長を務めた後フリーランスへ転身。近年は自動車コミュニケータ、自動車コラムニストとして活動している。ジェンダーフリーを意識した切り口で自動車が持つメカニカルな魅力を伝えることを模索中。