回生ブレーキってどんな仕組み?メリット・デメリット【プロが解説】

クルマの電動化は世界的なトレンドになっています。「電動車両」というと電気自動車や燃料電池車といった走行中に排ガスを出さないゼロエミッションビークルを思い浮かべるかもしれませんが、10年先の未来でいえばハイブリッドカーが「電動車両」の中心になると予測している自動車メーカーは少なくありません。その電動車両だけの機能といえるのが「回生ブレーキ」です。どのような仕組みのブレーキなのでしょうか。

文・山本晋也

Chapter
減速エネルギーにより発電するシステム
ハイブリッドカーの燃費には回生が効いている
回生ブレーキだけで停止までコントロールできる

減速エネルギーにより発電するシステム


回生ブレーキ」という言葉が自動車の世界で広まったのはハイブリッドカーの登場によります。つまり1997年にトヨタがプリウスを発売したときから一般ユーザーが回生ブレーキを利用するようになりました。この自動車用語以外で「回生」という言葉を目にするのは「起死回生」という四字熟語くらいでしょうが、その意味は「蘇る」ことです。つまり回生ブレーキというのは、なんらかのエネルギーを蘇らせることなのです。

具体的には、減速エネルギーを蘇らせます。従来のクルマではエンジンブレーキ、メカニカルブレーキ(ディスクブレーキやドラムブレーキ)を使ってクルマを減速させます。エネルギーというのは何かに変換する必要がありますが、メカニカルブレーキでは摩擦を利用して運動エネルギーを熱エネルギーに変換しています。エンジンブレーキも、ポンピングロスを利用しているので同様です。いずれにしても、熱になって放出しています。つまり捨てているのです。

ハイブリッドカーの燃費には回生が効いている


回生ブレーキというのは、その捨てているエネルギーを蘇らせます。具体的には、駆動用モーターなどの抵抗によって車両を減速させ、その運動エネルギーによってモーターを回すことで発電しています。外部充電機能を持たないハイブリッドカーのバッテリーを充電するには発電用モーターをエンジンで回すということもありますが、基本的には減速エネルギーを利用した回生ブレーキによって行ないます。従来は捨てていたエネルギーを電気に変換して溜めておくのです。

溜めた電気は、駆動に使います。捨てていたエネルギーを利用できるのですからエネルギーの収支が変わってきます。ハイブリッドカーが燃費に有利であるメカニズムのひとつが、この回生ブレーキによる充電とモーター駆動にあるのです。


回生ブレーキだけで停止までコントロールできる


この回生ブレーキは、ほぼすべてのハイブリッドカーが持つ機能です。ISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター)を採用したマイルドハイブリッドでは、エネルギー回生による部分が、ほぼ唯一の燃費改善要素といえるほどです。モーターが大きくなるほど回生ブレーキによる発電量も増えます。PHEVやEVは下り坂で航続可能距離が増えるというのは、回生ブレーキによってそれなりにバッテリーが充電されるからです。

このように強力な駆動用モーターは、強い回生ブレーキ力を発生させることができます。エンジン車においてエンジンブレーキはあくまで補助的な減速機能で、停止はメカニカルブレーキが担当しますが、大きなモーターを積んだ電動車両であれば停止まで回生ブレーキによって行なえます。その一例が、日産のe-POWERでドライブモードを選ぶと味わえるワンペダルドライブです。ノートe-POWERなどはメカニカルブレーキをまったく使わずに停止することが可能です。また、多くのハイブリッドカーでは回生ブレーキとメカニカルブレーキをミックスして、エネルギーを上手に利用する仕組みが採用されています。