フェード現象でディスクブレーキが急に効かなくなったら?その対策や予防法は?

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「フェード現象」という言葉を覚えているでしょうか。自動車免許の教習所で習う言葉ですし、長い下り坂の続く峠道などでは、フェード現象に対する注意書きを見かけることもありますね。そのためブレーキの効きが悪くなるという現象であることは、何となくは知っていることでしょう。それでも、普段は聞きなれない言葉なので、どのような現象なのか説明することはできないかもしれません。あらためてフェード現象の起きる理由を整理すれば、その対策もおのずと理解できるはずです。

文・山本晋也
Chapter
ディスクブレーキなどの摩擦材が高温になって起きる
摩擦材が減るとフェード現象が起きやすくなる
フェード現象を防ぐため最近の車はリアのブレーキパットも磨耗しやすいことを理解する

ディスクブレーキなどの摩擦材が高温になって起きる

ディスクタイプ、ドラムタイプと呼ばれる機械式のブレーキシステムは、摩擦によって運動エネルギーを熱エネルギーに変えることでクルマの速度を落とす装置です。つまり、ブレーキを使っているとブレーキパッドやブレーキシューといった摩擦材の温度が上がっていきます。しかし摩擦材というのは、一定以上の温度になると摩擦力を生み出すことができなくなってしまうのです。このように、温度が上がりすぎてブレーキが効かなくなった状態を「フェード現象」と呼んでいます。

F1レースなどを見ていると、ブレーキディスクが真赤になっていますよね。それほど高温になってもブレーキはしっかり効いていますが、市販車のブレーキパッドではそこまで熱を持つと摩擦力を失います。おおよそ300℃が一般的な純正ブレーキパッドの適正温度です。通常そこまで熱を持つことはありませんが、長い下り坂などでずっとブレーキペダルを踏んでいると、フェード現象が起きる温度まで上昇してしまうことがあります。そのため、エンジンブレーキも併用して減速するようにいわれているのです。

摩擦材が減るとフェード現象が起きやすくなる

また、摩擦材が減った状態では温度は上がりやすくなる傾向があります。新品状態であれば問題が起きないような乗り方でも、消耗したブレーキパッドではフェード現象が起きてしまうこともあるのです。12か月点検などではブレーキパッドの残量もチェックしますが、下り坂を走る機会が多いのであれば早めに新品交換することがおすすめです。

他にもチューニングパーツとして、純正品よりも高い温度まで対応できるブレーキパッドも売られています。サーキット走行をするのではなくとも、重量級のクルマに乗っていてブレーキに不安があるようなら、ハイグレードタイプのブレーキパッドを選ぶのもひとつの手です。

フェード現象を防ぐため最近の車はリアのブレーキパットも磨耗しやすいことを理解する

ちなみに、従来のブレーキパットは、フロントの方がリアよりも磨耗しやすく、フロントを2回交換する時に、リアを1回交換するというのが一般的でした。

しかし、近年では、ESCABSEBDなどの車両を安定させる電子制御システムの発展により、リアの消費も増加。場合によってはフロントより、リアの方が減りが早い場合もあります。

本来、クルマのブレーキではフロント部分の負担が大きいので、ついつい後輪ブレーキパッドの残量などは見落としてしまいがちです。しかし、フロントだけでなくリアも注意すべきなのが、いまどきのクルマなのです。

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