かつてMT仕様が存在したのに今やAT専用…MT車が廃止された国産車たち
更新日:2025.05.30

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近年の新車市場では「AT車(オートマチック車)」が圧倒的主流となり、MT車(マニュアル車)は1%台とごく少数派になっています。
かつてはMT仕様が当たり前に存在した車種でも、モデルチェンジや時代の流れとともにMT車の設定廃止=AT専用化が進みました。
今回は、かつてMT仕様があったものの現在はAT専用になってしまった代表的な国産車を紹介します。
かつてはMT仕様が当たり前に存在した車種でも、モデルチェンジや時代の流れとともにMT車の設定廃止=AT専用化が進みました。
今回は、かつてMT仕様があったものの現在はAT専用になってしまった代表的な国産車を紹介します。
トヨタ マークX・マークⅡ|スポーツセダンのMT廃止ストーリー
トヨタの中型FRセダンであるマークXは、前身モデルの「マークⅡ」時代にはスポーツグレードにMT車が存在していました。
特に1992年に登場のマークⅡ(X90系、通算9代目)では2.5L直列6気筒ターボエンジン搭載の「ツアラーV」に5速MTが設定され、その後のX100系「ツアラーV」やX110系「グランデiR-V」へと名称を変えつつ継続設定されました。
こうしたMT仕様のマークⅡはスポーツセダン好きやドリフト愛好家から支持を集めた存在でした。
しかし2004年に車名が「マークX」へ変わり、エンジンも従来の直6ターボからV6のNA(自然吸気)へ移行すると、カタログモデルのMT車は消滅してしまいます。
先代まで2.5LターボエンジンにMTを組み合わせたスポーツグレードが用意されていたにも関わらず、マークXでは(一部限定車を除き)AT専用となったのです。
なお、その後、限定発売された高性能モデル「マークX GRMN」(初代は100台、2代目は350台限定)では6速MTが採用されましたが、これらはあくまで特別限定車でした。
2019年末まで生産されたマークXの通常の市販グレードにMTが復活することはなく、マークⅡ時代から続いたMTスポーツセダンの系譜は幕を閉じた形です。
特に1992年に登場のマークⅡ(X90系、通算9代目)では2.5L直列6気筒ターボエンジン搭載の「ツアラーV」に5速MTが設定され、その後のX100系「ツアラーV」やX110系「グランデiR-V」へと名称を変えつつ継続設定されました。
こうしたMT仕様のマークⅡはスポーツセダン好きやドリフト愛好家から支持を集めた存在でした。
しかし2004年に車名が「マークX」へ変わり、エンジンも従来の直6ターボからV6のNA(自然吸気)へ移行すると、カタログモデルのMT車は消滅してしまいます。
先代まで2.5LターボエンジンにMTを組み合わせたスポーツグレードが用意されていたにも関わらず、マークXでは(一部限定車を除き)AT専用となったのです。
なお、その後、限定発売された高性能モデル「マークX GRMN」(初代は100台、2代目は350台限定)では6速MTが採用されましたが、これらはあくまで特別限定車でした。
2019年末まで生産されたマークXの通常の市販グレードにMTが復活することはなく、マークⅡ時代から続いたMTスポーツセダンの系譜は幕を閉じた形です。
日産スカイライン|13代目で途絶えたMT仕様
2007年発売のV36型「日産スカイライン クーペ」。
V36型(およびそれ以前のモデル)にはスカイラインにも6速MTの設定が存在しました。しかし現行V37型スカイライン(2014年~)ではMT仕様が廃止され、AT専用となっている。
日産を代表するスカイラインも、かつては日本のスポーツセダンの象徴としてMTを備えたモデルが多数存在しました。
初代「ハコスカ」や歴代「GT-R」はもちろん、一般グレードのスカイラインにもスポーティグレードを中心にMT仕様が設定されていたのです。特に12代目(V36型・2006年発売)まではセダンおよびクーペで6速MTを選べるグレードがありました。
たとえばV36スカイラインクーペの3.7Lモデルには6速MTが用意され、走りを重視するユーザーに支持されています。
しかし2014年登場の現行13代目(V37型)スカイラインでは、ついに国内向けのMT設定が消滅しました。
現行モデルはハイブリッド仕様やターボ仕様を中心としたラインナップで、全車7速オートマチックトランスミッション(7M-ATx)となっています。
海外仕様ではディーゼルエンジン+MTといったバリエーションも存在しましたが、日本のスカイラインは完全にAT専用モデルとなりました。
往年のファンからは「スポーツイメージ復活のためにもMTを復活してほしい」との声もありますが、現在のところメーカー公式にはMT復活の動きはありません。
V36型(およびそれ以前のモデル)にはスカイラインにも6速MTの設定が存在しました。しかし現行V37型スカイライン(2014年~)ではMT仕様が廃止され、AT専用となっている。
日産を代表するスカイラインも、かつては日本のスポーツセダンの象徴としてMTを備えたモデルが多数存在しました。
初代「ハコスカ」や歴代「GT-R」はもちろん、一般グレードのスカイラインにもスポーティグレードを中心にMT仕様が設定されていたのです。特に12代目(V36型・2006年発売)まではセダンおよびクーペで6速MTを選べるグレードがありました。
たとえばV36スカイラインクーペの3.7Lモデルには6速MTが用意され、走りを重視するユーザーに支持されています。
しかし2014年登場の現行13代目(V37型)スカイラインでは、ついに国内向けのMT設定が消滅しました。
現行モデルはハイブリッド仕様やターボ仕様を中心としたラインナップで、全車7速オートマチックトランスミッション(7M-ATx)となっています。
海外仕様ではディーゼルエンジン+MTといったバリエーションも存在しましたが、日本のスカイラインは完全にAT専用モデルとなりました。
往年のファンからは「スポーツイメージ復活のためにもMTを復活してほしい」との声もありますが、現在のところメーカー公式にはMT復活の動きはありません。
スバル車全般|レガシィ&インプレッサから消えたMT
スバル車は「マニアックなメーカー」とも評されるだけに、少し前までは各モデルにMT車が比較的多く設定されていました。
しかし2010年代以降、スバルは主力モデルの多くでリニアトロニックCVTによる2ペダル化を推進しています。その結果、気づけばMTが選べるスバル車は純粋なスポーツモデルのみという状況になってしまいました。
たとえば往年のレガシィB4やレガシィツーリングワゴンにはターボエンジン×マニュアルの組み合わせが存在し、またクロスオーバーSUVのフォレスターや初代〜2代目インプレッサにもMT設定グレードがありました。
しかし、スバル独自の無段変速機であるCVTの完成度が高まり、燃費や排出ガス性能の向上も求められる中で、徐々にMTは廃止の方向へ。
2010年代後半にはフォレスターやインプレッサ(通常モデル)からMTが姿を消し、スバル自社生産の乗用車でMTを選べるのはWRX STI(高性能セダン)とBRZ(小型スポーツクーペ、トヨタ86の姉妹車)といったスポーツモデルが中心となりました。
さらに2020年代に入り、WRX STIの国内向け生産終了(2019年末)や初代BRZの販売終了(2021年春)を経て、新型BRZが登場するまでのごく短期間は、スバルから新車で購入できるMT車が市場からほぼ姿を消す状況となりました。
現在はBRZなど一部のスポーツモデルのみがMTを継続している状況です。
しかし2010年代以降、スバルは主力モデルの多くでリニアトロニックCVTによる2ペダル化を推進しています。その結果、気づけばMTが選べるスバル車は純粋なスポーツモデルのみという状況になってしまいました。
たとえば往年のレガシィB4やレガシィツーリングワゴンにはターボエンジン×マニュアルの組み合わせが存在し、またクロスオーバーSUVのフォレスターや初代〜2代目インプレッサにもMT設定グレードがありました。
しかし、スバル独自の無段変速機であるCVTの完成度が高まり、燃費や排出ガス性能の向上も求められる中で、徐々にMTは廃止の方向へ。
2010年代後半にはフォレスターやインプレッサ(通常モデル)からMTが姿を消し、スバル自社生産の乗用車でMTを選べるのはWRX STI(高性能セダン)とBRZ(小型スポーツクーペ、トヨタ86の姉妹車)といったスポーツモデルが中心となりました。
さらに2020年代に入り、WRX STIの国内向け生産終了(2019年末)や初代BRZの販売終了(2021年春)を経て、新型BRZが登場するまでのごく短期間は、スバルから新車で購入できるMT車が市場からほぼ姿を消す状況となりました。
現在はBRZなど一部のスポーツモデルのみがMTを継続している状況です。
トヨタGRスープラ|一度はAT専用だった理由とMT復活
トヨタが誇るスポーツカースープラも、「MTの消滅→AT専用化」を経験した車種の一つです。
往年の4代目モデル(A80型、1993年発売)では高性能な6速MTを搭載したグレード(3.0LターボのRZ)を設定し、国内外で人気を博しました。
しかし一度生産終了した後、2019年に復活登場した新型「GRスープラ」では、当初トランスミッションが8速AT(2ペダル)仕様のみという構成だったのです。
新型スープラはBMW Z4との共同開発車という特殊事情もあり、発売当初はMTが選べず「スポーツカーなのにAT-only」と話題になりました。
もっとも、スープラの場合はユーザーからの熱い要望に応える形で後日談があります。
トヨタは2022年の一部改良において、新開発の6速MTを最上級グレードのRZに追加設定すると発表しました。
実際に2022年夏以降、GRスープラRZの6速MTモデルが発売され、久々にスープラでのMT復活が実現しています。
このように例外的にMTが「復活」するケースもありますが、基本的に現行スープラを含めた最近の純スポーツカーでもAT主体の流れは変わりありません。
スープラの場合、「ATでも走りの楽しさを追求した」というコンセプトで開発されており、MT設定はあくまでマニア層向けの少数販売に留まっています。
往年の4代目モデル(A80型、1993年発売)では高性能な6速MTを搭載したグレード(3.0LターボのRZ)を設定し、国内外で人気を博しました。
しかし一度生産終了した後、2019年に復活登場した新型「GRスープラ」では、当初トランスミッションが8速AT(2ペダル)仕様のみという構成だったのです。
新型スープラはBMW Z4との共同開発車という特殊事情もあり、発売当初はMTが選べず「スポーツカーなのにAT-only」と話題になりました。
もっとも、スープラの場合はユーザーからの熱い要望に応える形で後日談があります。
トヨタは2022年の一部改良において、新開発の6速MTを最上級グレードのRZに追加設定すると発表しました。
実際に2022年夏以降、GRスープラRZの6速MTモデルが発売され、久々にスープラでのMT復活が実現しています。
このように例外的にMTが「復活」するケースもありますが、基本的に現行スープラを含めた最近の純スポーツカーでもAT主体の流れは変わりありません。
スープラの場合、「ATでも走りの楽しさを追求した」というコンセプトで開発されており、MT設定はあくまでマニア層向けの少数販売に留まっています。
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トヨタ カローラシリーズ(通常モデル)|2022年の改良でMT設定が廃止へ
トヨタの世界的人気車種カローラも、実は近年までMT仕様が存在していました。
現行型カローラシリーズ(日本国内向け12代目、2018年~)では、発売当初6速MT搭載グレードがスポーツ(ハッチバック)やセダン、ツーリングのガソリン車に用意されていたのです。
例えばカローラスポーツの「6MTモデル」は走り好きのユーザーにアピールし、CMでもMTを強調する場面が見られました。
しかし2022年10月の一部改良において、カローラ セダン/ツーリング/スポーツのガソリン車からMT設定が廃止されてしまいました。
カローラシリーズの中でも人気の高いSUV「カローラクロス」には元々MT設定がないこともあり、GRカローラを除く国内向けカローラの主要ラインナップからMTが姿を消した形です。
メーカーが語る理由の一つとしては、開発・生産の効率化があります。
実際、カローラの通常モデルでMTを販売していた当時も需要は限られており、「MTを設定しても販売台数が伸び悩んだ」という側面もあったようです。
今後、カローラの通常モデルにMTが復活する可能性は低いと見られており、MTを好むユーザーからは惜しむ声とともに時代の流れを感じる事例となりました。
現行型カローラシリーズ(日本国内向け12代目、2018年~)では、発売当初6速MT搭載グレードがスポーツ(ハッチバック)やセダン、ツーリングのガソリン車に用意されていたのです。
例えばカローラスポーツの「6MTモデル」は走り好きのユーザーにアピールし、CMでもMTを強調する場面が見られました。
しかし2022年10月の一部改良において、カローラ セダン/ツーリング/スポーツのガソリン車からMT設定が廃止されてしまいました。
カローラシリーズの中でも人気の高いSUV「カローラクロス」には元々MT設定がないこともあり、GRカローラを除く国内向けカローラの主要ラインナップからMTが姿を消した形です。
メーカーが語る理由の一つとしては、開発・生産の効率化があります。
実際、カローラの通常モデルでMTを販売していた当時も需要は限られており、「MTを設定しても販売台数が伸び悩んだ」という側面もあったようです。
今後、カローラの通常モデルにMTが復活する可能性は低いと見られており、MTを好むユーザーからは惜しむ声とともに時代の流れを感じる事例となりました。
マツダ6(アテンザ)|大型セダンのMT設定終了
「走る楽しさ」にこだわり続けるマツダも、大型セダンマツダ6(旧称アテンザ)ではMT仕様を長年ラインナップしていました。
初代アテンザ(2002年)以来、欧州仕込みのハンドリングを売りにMT車が設定されてきたマツダ6ですが、販売台数の減少に伴い近年状況が変化しています。
2022年の商品改良において、ついに国内向けマツダ6から6速MTの設定が廃止されました。
3代目登場から約10年にわたり設定されていたMTグレードでしたが、販売比率は一桁%程度と低迷しており(一部報道では平均月販180台中10台強とも)、コスト増になるMT車の継続を断念したといいます。
マツダは一時期までロードスターやマツダ2、CX-5など幅広い車種にMTを設定し、「MT車が選べる数少ないメーカー」として知られていました。
しかし自社の大型車であるマツダ6からMTが消滅したことで、マツダ車も例外ではいられなくなっています。
現在マツダの国内向けラインナップでMTを選択できるのはごく一部(MAZDA2、MAZDA3、ロードスター、CX-60の一部グレードなど)となっており、かつての「マツダ=MT車が多い」というイメージも薄れつつある状況です。
初代アテンザ(2002年)以来、欧州仕込みのハンドリングを売りにMT車が設定されてきたマツダ6ですが、販売台数の減少に伴い近年状況が変化しています。
2022年の商品改良において、ついに国内向けマツダ6から6速MTの設定が廃止されました。
3代目登場から約10年にわたり設定されていたMTグレードでしたが、販売比率は一桁%程度と低迷しており(一部報道では平均月販180台中10台強とも)、コスト増になるMT車の継続を断念したといいます。
マツダは一時期までロードスターやマツダ2、CX-5など幅広い車種にMTを設定し、「MT車が選べる数少ないメーカー」として知られていました。
しかし自社の大型車であるマツダ6からMTが消滅したことで、マツダ車も例外ではいられなくなっています。
現在マツダの国内向けラインナップでMTを選択できるのはごく一部(MAZDA2、MAZDA3、ロードスター、CX-60の一部グレードなど)となっており、かつての「マツダ=MT車が多い」というイメージも薄れつつある状況です。
コラム|MT車が激減した4つの代表的要因
AT限定免許の普及(1990年代~)
1991年に導入された「AT限定運転免許」によりMT車を運転できないドライバー層が増え、需要減少につながったとされています。
若い世代ほど免許取得時にAT限定を選ぶ傾向が強く、市場全体でMT離れが進みました。
若い世代ほど免許取得時にAT限定を選ぶ傾向が強く、市場全体でMT離れが進みました。
ハイブリッド車・EVの台頭
1997年の初代プリウス登場以降ハイブリッド車が普及し、現在では新車販売の約半数がハイブリッド車です。
多くのハイブリッドシステムは構造上MTを採用せず、EV(電気自動車)もシングルギアやAT制御が一般的なため、電動化の進展がMT車減少に拍車をかけています。
多くのハイブリッドシステムは構造上MTを採用せず、EV(電気自動車)もシングルギアやAT制御が一般的なため、電動化の進展がMT車減少に拍車をかけています。
AT・CVT技術の進歩
近年のATやCVTは多段化や電子制御の高度化によって燃費性能や変速スピードが飛躍的に向上しました。
その結果、「ATのほうがMTより速くて経済的」といったケースも珍しくなくなり、一般車でMTを選ぶメリットが小さくなっています。
その結果、「ATのほうがMTより速くて経済的」といったケースも珍しくなくなり、一般車でMTを選ぶメリットが小さくなっています。
運転支援機能との親和性
アダプティブクルーズコントロール(ACC)や自動ブレーキといった先進運転支援システムは、車両をコンピュータ制御しやすいAT車に適合させて開発されることが多いです。
MT車ではこれらの最新機能を搭載しづらい場合があり、安全・快適装備の観点からメーカーがMTを敬遠する傾向もあります。
MT車ではこれらの最新機能を搭載しづらい場合があり、安全・快適装備の観点からメーカーがMTを敬遠する傾向もあります。
まとめ|国産車からMTが消えるトレンドと今後
このように、かつてMT仕様が存在していた国産車も時代の流れに合わせて次々とMT廃止(AT専用化)が進んできました。
背景には技術革新やユーザー層の変化など様々な要因がありますが、その一方でMT車ならではのダイレクトな操作感や運転の楽しさを懐かしく思う方も多いでしょう。
最近ではMT車の絶滅を惜しむ声に応えるように、一部スポーツモデルでMTが“復権”する動きも見られます(今回紹介したスープラの例など)。とはいえ、乗用車市場全体で見ればMT車は今や少数派であり、この傾向は今後も続くと考えられます。
背景には技術革新やユーザー層の変化など様々な要因がありますが、その一方でMT車ならではのダイレクトな操作感や運転の楽しさを懐かしく思う方も多いでしょう。
最近ではMT車の絶滅を惜しむ声に応えるように、一部スポーツモデルでMTが“復権”する動きも見られます(今回紹介したスープラの例など)。とはいえ、乗用車市場全体で見ればMT車は今や少数派であり、この傾向は今後も続くと考えられます。