フルフラットになる国産車を比較|車中泊のコツも紹介!
更新日:2024.09.09
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昨今のアウトドアブームや日帰り温泉の増加によって、車中泊をしながらドライブを楽しむという方が以前よりも増えています。 そんな車中泊ユーザーに向けて、メーカーではミニバンのセールスポイントにフルフラットシートを加える傾向にありますが、現代の自動車工学においてシートをつなげてフルフラットな空間を作り出すことはほぼ無理な話し。そこで、シートに限らずフルフラットな空間で快眠できるクルマを厳選してお届けしましょう。
文・山崎友貴
文・山崎友貴
フルフラット設計上の事情
欧米と異なり、日本は「車中泊」という行為が日常的です。それだけ日本が安全だという証しでもあるのですが、その文化がクルマ造りを難しくしているとも言えます。なぜなら、シートに求められるニーズが欧米とは異なるからです。
欧米の考え方は、”シートは長時間快適に座れればいい”というもので、シートを倒して寝ることを前提としていません。そのため、すぐにリクライニングできなかったり、フルフラット機能がなかったりします。一方、多くの国産車は”シートは倒れて当たり前、フルフラットならベター”という考え方で造られています。
特にミニバンやSUVなどは、座り心地以外にフルフラットやらシートの床下収納といった機能が求められるため、インテリア設計の担当者は大変な苦労が強いられていると思います。
また、自動車のシートは基本的に、移動中の乗員の身体のホールド性や快適性、さらに安全性を考慮して設計されます。そのため、立体的な形状になってしまうのは仕方がないことです。ところがその立体形状が、結果的に寝心地を悪化させてしまうわけです。エンジニアの苦労を慮れば文句を言うのは心苦しいのですが、たいていの車種において「フルフラットシートは寝心地が悪い」というのが実情なのです。
欧米の考え方は、”シートは長時間快適に座れればいい”というもので、シートを倒して寝ることを前提としていません。そのため、すぐにリクライニングできなかったり、フルフラット機能がなかったりします。一方、多くの国産車は”シートは倒れて当たり前、フルフラットならベター”という考え方で造られています。
特にミニバンやSUVなどは、座り心地以外にフルフラットやらシートの床下収納といった機能が求められるため、インテリア設計の担当者は大変な苦労が強いられていると思います。
また、自動車のシートは基本的に、移動中の乗員の身体のホールド性や快適性、さらに安全性を考慮して設計されます。そのため、立体的な形状になってしまうのは仕方がないことです。ところがその立体形状が、結果的に寝心地を悪化させてしまうわけです。エンジニアの苦労を慮れば文句を言うのは心苦しいのですが、たいていの車種において「フルフラットシートは寝心地が悪い」というのが実情なのです。
フラットと言えば、やはりバン系
凸凹の少ない室内空間を持つ車種と言えば、やはりバンタイプです。本来は、商用として荷物の積載性を考えて造られているバンですが、最近は積極的にレジャーユースに使う人が増えています。
なかでも不動の人気を誇っているのが、トヨタ「ハイエース」です。ハイエースには多種多様なボディバリエーションがありますが、標準ナローボディでも十分な就寝スペースを確保することができます。
その広さは、標準ボディのスーパーGLで、セカンドシートをダブルフォールディングした場合、幅1,520mm、奥行き2,470mmの完全フラットなスペースが現れます。
ちなみにライバルの日産 NV350キャラバンも、ほぼ同等(室内長未公表)のスペースを確保しています。
なかでも不動の人気を誇っているのが、トヨタ「ハイエース」です。ハイエースには多種多様なボディバリエーションがありますが、標準ナローボディでも十分な就寝スペースを確保することができます。
その広さは、標準ボディのスーパーGLで、セカンドシートをダブルフォールディングした場合、幅1,520mm、奥行き2,470mmの完全フラットなスペースが現れます。
ちなみにライバルの日産 NV350キャラバンも、ほぼ同等(室内長未公表)のスペースを確保しています。
昨今は軽バンが人気!
昨今、車中泊ユースでがぜん注目されているのが、軽バンです。というのも、この市場は、これまでスズキ エブリィ1強でした。そこに2018年にホンダがN-VANを投入、風穴を開けそうな勢いなのです。
N-BOXの商用バンとも言えるN-VANは、助手席まで床下収納できるのが特徴です。助手席を収納すると、なんと長さ2,635mmというハイエース標準ボディのスペックを凌駕する完全フラットなスペースを確保できます。
ただし、運転席は保安基準の都合で床下収納できないため、運転席側は1,510mmの室内長になってしまうのがミソ。2人でフルフラットなスペースに寝たいということであれば、オプションで販売されているマルチボードを購入する必要があります。それでも、運転席側はシート凸凹が出てしまうため、マットなどが必要になるでしょう。
ちなみに王者エブリイ バンでも長さ1,955mm、幅1,385mmの完全フラットなスペースを確保できるので、車中泊では十分に快適と言えるでしょう。
N-BOXの商用バンとも言えるN-VANは、助手席まで床下収納できるのが特徴です。助手席を収納すると、なんと長さ2,635mmというハイエース標準ボディのスペックを凌駕する完全フラットなスペースを確保できます。
ただし、運転席は保安基準の都合で床下収納できないため、運転席側は1,510mmの室内長になってしまうのがミソ。2人でフルフラットなスペースに寝たいということであれば、オプションで販売されているマルチボードを購入する必要があります。それでも、運転席側はシート凸凹が出てしまうため、マットなどが必要になるでしょう。
ちなみに王者エブリイ バンでも長さ1,955mm、幅1,385mmの完全フラットなスペースを確保できるので、車中泊では十分に快適と言えるでしょう。
じつはミニバンは寝にくい?
前でも書いたように、ミニバンにおいてフルフラットシートは、ほぼ当たり前の機能になっています。ところが、寝心地はと言えばいまいち。凸凹が多くて、身長が高い人ほど腰の位置が合わず、快眠できません。
そんなミニバンのなかで、フラットなスペースを確保できるのが、ホンダ フリード+です。その特徴であるユーティリティボードを使うことで、快適なフラットスペースを作り出すことができます。室内長は若干短いものの、身長180cmの筆者でも比較的快適に寝ることができました。
ホンダはフラットな室内作りという面では、とても長けたメーカーだと言えます。ワゴンタイプのシャトルもまた、フラットな空間が特徴です。室内長1,840mmというスペースであれば、高身長な人でも手足を伸ばして寝ることができるでしょう。
そんなミニバンのなかで、フラットなスペースを確保できるのが、ホンダ フリード+です。その特徴であるユーティリティボードを使うことで、快適なフラットスペースを作り出すことができます。室内長は若干短いものの、身長180cmの筆者でも比較的快適に寝ることができました。
ホンダはフラットな室内作りという面では、とても長けたメーカーだと言えます。ワゴンタイプのシャトルもまた、フラットな空間が特徴です。室内長1,840mmというスペースであれば、高身長な人でも手足を伸ばして寝ることができるでしょう。
さて昨今大人気のSUVにも、快適に寝ることのできる車種はあります。国産SUVの最高峰・ランドクルーザー(200系)は、 2・3列目シートを跳ね上げ式にして、フラットなフロアを活かした空間を確保できるようにしています。
室内長は1,685mmですが、高身長の人は少し身体を斜めにすることで寝ることができるでしょう。フロアにはシートレッグ固定のための穴が残りますので、寝る時はマットが必須となります。
室内長は1,685mmですが、高身長の人は少し身体を斜めにすることで寝ることができるでしょう。フロアにはシートレッグ固定のための穴が残りますので、寝る時はマットが必須となります。
いまもっとも熱い新型車、スズキ ジムニー&ジムニーシエラも、じつは車中泊に適したクルマです。ジムニーには、セカンドシートを倒したときに荷室床面と水平になるラゲッジボックスが装着されており(一部グレードを除く)、前席を倒せば大人2人が就寝できるようになっています。前席側が若干落差があるため、デリケートな人はマットなどで段差を埋めましょう。
輸入車はフルフラットが苦手なことは冒頭で書きましたが、すべてがそうと言うわけではありません。ジープの各モデルや、プジョーのSUVなどはフラットで寝やすいスペースを確保することができます。一度チェックしてみてください。
以上、今回は快適車中泊ができる車種を厳選して紹介しましたが、やはり安眠のためには「マットや布団、枕を使う」ことも重要です。いくらフラットでもクルマのフロアは硬く、長時間寝ていれば身体が痛くなってしまいます。日常の睡眠状態に近づけることで、驚くほど快適に眠ることができます。皆さんも、自分なりの車中泊スタイルを愛車とともに見つけてみてください。
輸入車はフルフラットが苦手なことは冒頭で書きましたが、すべてがそうと言うわけではありません。ジープの各モデルや、プジョーのSUVなどはフラットで寝やすいスペースを確保することができます。一度チェックしてみてください。
以上、今回は快適車中泊ができる車種を厳選して紹介しましたが、やはり安眠のためには「マットや布団、枕を使う」ことも重要です。いくらフラットでもクルマのフロアは硬く、長時間寝ていれば身体が痛くなってしまいます。日常の睡眠状態に近づけることで、驚くほど快適に眠ることができます。皆さんも、自分なりの車中泊スタイルを愛車とともに見つけてみてください。
山崎友貴|Yamazaki Tomotaka
四輪駆動車専門誌、RV誌編集部を経て、フリーエディターに。RVやキャンピングカー、アウトドア誌などで執筆中。趣味は登山、クライミング、山城探訪。小さいクルマが大好物。