ガソリンは腐る? カメムシ臭いのは危険サイン? 1年放置しても大丈夫?
更新日:2024.09.09
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長期間放置してあったクルマのエンジンを久しぶりに動かすというシチュエーションは、日常の足として購入したクルマなら、まずありえません。しかし、レンジエクステンダーEVやPHEVなどの場合、数ヶ月エンジンを始動させることなく使うことも可能です。でも「ガソリンが腐る」なら、エンジンはときどき動かして、タンクの燃料を新しいものに入れ替えたほうが良さそう。本当に燃料(ガソリン)は腐るのでしょうか?
文・吉川賢一
文・吉川賢一
ガソリンは劣化するのか?
クラシックカーなど趣味車の場合、イベントやオフ会などに参加するために、数ヶ月ぶりにエンジンを始動させるなんてことはめずらしくありません。しかし、長期間放っておいた燃料は腐っている=劣化している可能性があり、用心深いオーナーはガソリンを入れ替えると言います。
この燃料は、どのようなメカニズムで劣化するのでしょうか。また、劣化した燃料は、エンジンにどんな悪影響を及ぼすのでしょうか?
ここでは、燃料の品質については、俗な「腐る」という表現より、劣化のほうが適正ですので、以降は「劣化」に統一して、また燃料は一般的な「ガソリン」に限定して話を進めます。
まずガソリンは、炭素と水素の化合物である炭化水素混合物で、さまざまな性質や状態(揮発性、粘度、引火点など)を持つ成分の集合体です。
長期間、ガソリンを放置すると、成分のひとつであるアルケンは、空気中の酸素と化学反応を起こし酸化することで、ギ酸や酢酸に変化します。そうなると、ガソリンは本来の色から褐色に変化して、強烈な刺激臭が発生します。
また、ガソリン中の高揮発性成分が時間経過とともに消失し、揮発しにくい高粘度成分が残留することで流動性が悪化。いわゆるドロドロ状態になります。
この燃料は、どのようなメカニズムで劣化するのでしょうか。また、劣化した燃料は、エンジンにどんな悪影響を及ぼすのでしょうか?
ここでは、燃料の品質については、俗な「腐る」という表現より、劣化のほうが適正ですので、以降は「劣化」に統一して、また燃料は一般的な「ガソリン」に限定して話を進めます。
まずガソリンは、炭素と水素の化合物である炭化水素混合物で、さまざまな性質や状態(揮発性、粘度、引火点など)を持つ成分の集合体です。
長期間、ガソリンを放置すると、成分のひとつであるアルケンは、空気中の酸素と化学反応を起こし酸化することで、ギ酸や酢酸に変化します。そうなると、ガソリンは本来の色から褐色に変化して、強烈な刺激臭が発生します。
また、ガソリン中の高揮発性成分が時間経過とともに消失し、揮発しにくい高粘度成分が残留することで流動性が悪化。いわゆるドロドロ状態になります。
劣化は、どれくらいから始まるのか
ではガソリンの劣化は、どれぐらいで始まるのでしょうか?
ガソリンの劣化は、周辺温度や湿度、空気への晒され状況といった条件で変化しますので、一概には言えないのですが、一般的に高温で常時空気に晒されるような条件では、3ヶ月程度で劣化が始まります。
密閉されたクルマの燃料タンクの場合、1年も経たずに劣化が始まり、変色と刺激臭が目立つようになり、2、3年後にはドロドロ状態になります。
燃料タンク内のガソリンの劣化具合を、色や臭いの変化でチェックするのは難しく、現実的ではありません。できれば、半年以上放置したガソリンは、入れ替えるようにしましょう。ただし、ガソリンは危険物ですので、絶対に自分では行わず、専門の修理業者に任せてください。
ガソリンの劣化は、周辺温度や湿度、空気への晒され状況といった条件で変化しますので、一概には言えないのですが、一般的に高温で常時空気に晒されるような条件では、3ヶ月程度で劣化が始まります。
密閉されたクルマの燃料タンクの場合、1年も経たずに劣化が始まり、変色と刺激臭が目立つようになり、2、3年後にはドロドロ状態になります。
燃料タンク内のガソリンの劣化具合を、色や臭いの変化でチェックするのは難しく、現実的ではありません。できれば、半年以上放置したガソリンは、入れ替えるようにしましょう。ただし、ガソリンは危険物ですので、絶対に自分では行わず、専門の修理業者に任せてください。
ガソリンが劣化したら、なにが起こる?
ガソリンが劣化してギ酸や酢酸に変化すると、ガソリンタンクや配管部などの金属部の腐食を促進させます。また、揮発性悪化により燃料配管通路や燃料フィルター、噴射弁が詰まり、エンジンの作動不良や最悪の場合は破損にいたる恐れもあります。
クルマを半年以上放置すると、エンジンが正常にかからない可能性が高くなりますが、たとえエンジンがかかったとしても、走行は控えるべきです。燃料系の”詰まり”は、時間とともに進行していくので、走行中に突然エンジンが停止し、エンジンが壊れるという、重大なトラブルにつながることがあります。
クルマを半年以上放置すると、エンジンが正常にかからない可能性が高くなりますが、たとえエンジンがかかったとしても、走行は控えるべきです。燃料系の”詰まり”は、時間とともに進行していくので、走行中に突然エンジンが停止し、エンジンが壊れるという、重大なトラブルにつながることがあります。
PHEV(プラグインハイブリッド)搭載エンジンのガソリン劣化対策
三菱 アウトランダー PHEVでは、3ヶ月間エンジンを起動せず、外部充電だけでEV走行を続けると、自動的にエンジンを起動させ、タンク内のガソリンを消費する制御が組み込まれています。こうして燃料タンクの長期滞留によるガソリンの劣化を防止しているのです。このエンジンの強制起動システムは、1回で15L以上の給油を行うと解除されます。
これはアウトランダー PHEVに限ったものではなく、他のプラグインハイブリッドやレンジエクステンダーEVでも起こりうる問題です。三菱は、そういった懸念に対して、いち早く対策を施したメーカーのひとつというわけです。
これはアウトランダー PHEVに限ったものではなく、他のプラグインハイブリッドやレンジエクステンダーEVでも起こりうる問題です。三菱は、そういった懸念に対して、いち早く対策を施したメーカーのひとつというわけです。
ガソリン劣化は、エンジン停止やエンジン破損など大きなリスクをともなうこともあります。長期間、放置していた趣味車はもちろん、いまやプラグインハイブリッドやレンジエクステンダーEVでも、気をつけたい問題となっているのです。
吉川賢一
モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。