マツダ FD型RX-7が最後となったリトラクタブルヘッドライト。あの人気を取り戻す次の一手とは?

リトラクタブルヘッドライト

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リトラクタブルヘッドライトと聞いて胸が高鳴る人はアラフォー以降の証。リトラが廃止されて久しいですが、懐かしむ声や復活を望む声も。どうしてリトラクタブルヘッドライトに人気があったかを考えてみると、次の展望が見えてきます。
Chapter
時代の要請でリトラクタブル式ヘッドライトは廃止
僕らはリトラのない時代を受け入れるしかないのか…
リトラのメカが楽しかった
フェラーリはどう動いてきたのか
アウディのレーザーライトテクノロジーはリトラに取って代わるのか?
デザイン上のオマージュ

時代の要請でリトラクタブル式ヘッドライトは廃止

リトラクタブルヘッドライト(以下、リトラ)は70年代から00年代までのスポーツカーを中心に世界的に広く採用されていました。とりわけノーズが低くできる、均一の面が取れることからデザイナーにとっても人気があり、市場も湧いたものでした。

ところが安全面や合理化が囁かれると、法規制が入りリトラは次第に姿を消します。簡単に言うと、交通弱者への衝突安全が確保できない、空力に影響する、部品点数が多い、などが主な理由でした。

つまり、時代の流れでネガティブ要素がポジティブ要素に勝ってしまったのです。復活を願う声が後を絶たない中、残念ながら現代の自動車産業の状況ではソフト・ハード面、どう逆立ちして考えてもリトラが復活する要素が見つからないのが現状です。

僕らはリトラのない時代を受け入れるしかないのか…

ここで少し、どうしてリトラが流行ったのか、その背景にあるものをおさらいしますと、60年代から70年代のモーターショーに出展されたカロッツェリアをみれば一目瞭然、その当時仕掛けたデザインテーマに端を発していることがわかります。それがズバリ、スーパーカーから来ていますね。

カウンタックからフェラーリで衝撃を受け、ポルシェもロータスも続々とリトラを採用、こいつは売れると味をしめた国産メーカーはマツダ サバンナRX-7からホンダ アコード、トヨタ カローラⅡまで日本車らしく、なんでもござれ的に爆発したのでした。

それが先に記したように規制が入ると、輸入車はコルベットを最後に、国産車マツダ FD型RX-7で終焉を迎えるわけですけれども、特にFD型RX-7は未だ衰えぬ人気があり、リトラを採用したデザインの集大成といってもいいでしょう。

リトラのメカが楽しかった

では何故、リトラに憧れていたのかを整理しますと、デザイン面はさることながら、そのメカニズムに刺激されたのはあったでしょう。やはりこの世代は機械大好き、操るのが大好きな世代のはずです。

かくいう筆者もこの世代に入り、自称リトラ世代。ライトをポップアップする行為そのものが楽しかったんですよ。ウイーンガシャ、ってモーター音とライトの動きが同調するのが刺激的で、ポップアップのボタンを連打して遊んだものでした。これはやはり、サンダーバードとか、日本のアニメとかTVの影響を受けてて、メカへの憧れが強いのでしょう。

それにポップアップした状態は走り屋にとってはノーズの向きが掴みやすい、運転席からライトが上がってるのが見えて嬉しい、夜が楽しみなんていう、他人には理解してもらえない感情もありました。

これは皆さんあまり口にはしませんが、ポップアップした時はいきなりファニーフェイスになることが面白かったのでしょうね。そんな若い人たちには遠目に見られてしまうリトラ世代の想い、もう当時を味わうことは出来ません。どう解消したらいいのでしょうか。

当時のリトラ車をお金に糸目をつけなければ、自分の世代くらいは補完できるでしょう。でもそれが出来る人は限られています。これから出る市販車に望みはないのでしょうか。

フェラーリはどう動いてきたのか

リトラクタブルヘッドライトを数多く採用してきたフェラーリはF355が最後です。

その後360モデナ、430と続くのですが、F355のプロポーションは後継車が出るも時代を重ねるごとに賞賛の声が上がってきたのです。360や430はフェラーリを立て直すのに貢献したモデルでしたが、F355以前のフェラーリを求める声が上がってきたのでした。

それに回答したのが458イタリア。そのスリークなボディは360、430のボテっとした形から一転、その筋肉質の美しいラインは過去まで遡り、ディーノの再来とまで言われました。これにはエアロダイナミクス、コンポーネントなど色んな要素から実現したのですが、これが出来るのならリトラ復活論はもはや不毛、と思えたものです。

アウディのレーザーライトテクノロジーはリトラに取って代わるのか?

もう一つ、メカトロニクスへの憧れですが、画期的な新技術が出るならリトラ世代の糧となるはずです。そのファクターとなるものはアウディのレーザーライトテクノロジー。

2013年のフランクフルトショーで発表されて技術ですが、ひとつが0.3mmの強力なダイオードでおよそ500メートル先まで照射が可能、現在主流になりつつあるLEDライトのおよそ2倍の範囲を照らし出すことが出来ます。このレーザーライトはR8 LMXで市販デビューしています。

つまり、極端な話、光源が0.3mmということは、デザイン上では何処かに小さな穴を開けるだけの点で済むわけですから、リトラ世代が求めるデザインは実現可能です。

ただ現状、R8 LMXはデイタイムランニングライトやそのためのリフレクター、ハウジングの形成、何よりクルマには表情が必要、ということで往来のデザインにとどまっていますが、将来的にはクルマのデザインが大きく変わる要素と言えます。

思えば、ハロゲン式ヘッドライトにしても、トーマス・エジソンの頃から大して変わっていないですから、この進化は然るべきでしょう。

デザイン上のオマージュ

このように、クルマ好きにとっては最新のテクノロジーへの憧れ、デザインへの刺激が糧になるのであって、リトラクタブル式ヘッドライトへの憧れはある種のファッショントレンドとして受け入れられるのではないでしょうか。

時代が変わりリトラに変わるテクノロジーが出現しても、イメージだけは継承してほしいと願う声も多くあります。それが垣間見えたのが2015年東京モーターショーで一番人気だったマツダの「RX-VISIONコンセプト」です。

筆者にはウインカーのラインがRX-7のリトラを再現しているように見えたのは気のせい?これがマツダ自身、RX-7へのリスペクトだとしたら、嬉しくなりますよね。
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