ジムニーとパジェロミニを比較

スズキ ジムニー XC

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この2月で20年の歴史に区切りを付けた、JB23/43型のジムニー。いよいよ夏前には新型が出そうです。名車となったこのジムニーには、かつて強力なライバルがありました。それがパジェロミニです。2018年中にこちらも復活の噂があります。今回はこの2台にスポットを当ててみましょう。

文・山崎友貴
Chapter
ジムニーを追い詰めた好敵手、パジェロミニ
世界の名車となったジムニー
ジムニーは進化?それともキープコンセプト?

ジムニーを追い詰めた好敵手、パジェロミニ

オフロード4WDが全盛期だった1994年、当時の業界の盟主だった三菱自動車が満を持して投入した軽自動車が「パジェロミニ」でした。まさに三菱がジムニー対策のために造ったモデルで、当時としてはユニークなメカニズムを持っていました。

まずジムニーが頑丈なラダーフレームを持っているのに対して、パジェロミニは「ビルドインフレーム・モノコック構造」を採用。これはプレス加工で造ったラダーフレームを床に溶接したもので、軽量さと頑丈さを両立させるための構造です。またパートタイム4WD以外に、FR車を設定し、ライトユーザーの取り込みを図りました。

現在のクロスオーバーでは2WDが設定されているのは珍しくありませんが、4WD全盛期に2WDをあえて設定するのは画期的なことだったのです。このFR車はそれなりに成功をおさめ、ジムニーは後塵を拝しました。2000年になってようやく、ジムニーは3代目モデルで2WDを設定しましたが、思わしくありませんでした。
パジェロミニは走りも三菱らしく、軽快さを主眼としていました。まずジムニーが前後リーフリジッド式という、堅牢性と整備性を考慮したオフロード重視のサスペンションだったのに対して、パジェロミニは前マクファーソンストラット、後5リンク式コイルリジッドという豪華なサスペンションが奢られていました。

さらにエンジンはツインスクロールターボ付きの660cc3気筒エンジン。オフロードでの走破性はそこそこでも、オンロードでのキビキビとした走りを重視した味付けとなっていたのです。

パジェロミニは初代で大々的な成功を収め、乗用車なみに4年でモデルチェンジ。98年に2代目が登場して、2000年代初頭までこれもヒットしました。

2代目はクラッシャブル構造のボディや環境エンジン、4速ATなどの採用で話題を作り、順調な販売を記録しました。ですが、年々軽自動車市場ではトールワゴンが主力商品となり、さらにオフロード4WDブームの終焉もあって、徐々に販売台数が減少。2012年にひっそりと生産を終了しました。

世界の名車となったジムニー

1970年の発売以来、長きにわたってそのコンセプトを変えていないのが「ジムニー」です。ジムニーのオリジナルコンセプトは、ホープ自動車(現ホープ)が製作した「ホープスターON型4WD」という、小型オフロード4WDでした。

当時、経営が思わしくなかったホープ自動車は、この車のコンセプトをまるごと売却しようとしており、これを買うことにしたのがスズキ東京社長だった鈴木修・現スズキ会長でした。

ちなみにホープ自動車は先に三菱重工業に売却を打診していましたが、話はご破算。鈴木修会長は、社内の大反対に遭いながらも、その先見性を買って自社で購入したのです。ですが、それから20数年後に同じコンセプトのパジェロミニを三菱が製造するとは、当時の誰もが思わなかったはずです。

さて、このホープスターON型4WDは様々な欠陥があったため、スズキ自動車がそれをすべてリニューアルして発売したのが1970年に発売された初代ジムニーです。丸め目でキュートなスタイリングの初代ジムニーでしたが、イメージ戦略は「男らしいクルマ」。TVのヒーロー特撮ものなどにも使われ、その認知度を上げていきます。
1981年には2代目にスイッチし、これが世にうけて、ジムニーのポジションは確固たるものとなりました。ジムニーの魅力は、その優れた悪路走破性にあります。軽量ゆえに三菱ジープやランドクルーザーなどに比べても、砂地や泥濘地で優れた走破力を発揮しました。

またモデルサイクルが長く、交換部品の入手が容易だったのも見逃せません。3代目にいたっては、1998年から2018年2月まで20年間にもわたって生産されており、20年前の車両でも古臭く見えないのが魅力のひとつです。

ジムニーは進化?それともキープコンセプト?

※写真は3代目ジムニー

さて、今年の夏にいよいよ4代目が登場すると、巷で話題沸騰中のジムニー。すでに、多くの媒体が予想CGやテスト風景を報じていますが、どんなデザインでどんな内容になるのでしょうか。さらに、パジェロミニも今年中に新型が発売されるという情報が浮上しています。

まずジムニーですが、既出の真四角なデザインということで、ほぼ間違いなさそうです。テスト車両を目撃した人の話では、「まるでGクラスのようだった」ということです。エンジニアが4代目の開発にあたって市場関係者にリサーチをした時、多く人から「昔ながらの四角いフォルムがいい」という意見が多かったとの話もあります。

あくまでも噂の範疇を出ませんが、ラダーフレームは踏襲されているようです。ラダーフレームは新造に大変なコストがかかると言われていますので、3代目のものをブラッシュアップしているのかもしれません。

問題はサスペンションです。従来は前後3リンク式コイルリッドを採用した唯一の国産オフロード4WDでしたが、フロントが独立懸架化されてしまうのかが気になります。

パワートレインは従来通り、パートタイム4WDが採用されると思われますが、フロントがインディペンデント式サスになるとしたら、トラクションコントロールなどの電子デバイスの採用もあり得ます。
一方のパジェロミニですが、オフロード4WDのイメージを払拭し、小型クロスオーバーSUVに変貌する可能性が大です。

2018年4月現在、三菱自動車は日産自動車との合弁会社MNKVを中心に軽自動車を開発しており、今回もeKシリーズの改良型プラットフォームを使って、新型パジェロミニを造るとみるのが自然です。

となると、これまでのようなビルトインフレーム構造ではなく、またパートタイム4WDのパワートレインを採用する可能性は低くくなります。

モノコックボディに、前後駆動トルク配分分配型のフルタイム4WDを搭載、サスペンションは前後インディペンデント式というのが濃い線と思われます。おそらく、パジェロの雰囲気をマスクに若干残した、全くあたらしいクロスオーバーSUVになるのではないでしょうか。

ハスラーやクロスビーなどで小型クロスオーバー市場では絶好調のスズキが放つジムニー、これにパジェロミニで切り込む三菱自動車。今年の夏以降、両車の新たな戦いが楽しみです。

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