なぜメーカーはニュルのタイムや0-100km/hにこだわるの?

ホンダ NSX2016

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ことさら新型スポーツモデルが誕生する際に話題となるのが「ニュルブルクリンクのラップタイム」であり、「0-100km/h加速タイム」です。コンマ数秒でも縮めるため、メーカーも躍起になっている部分もあろうと思います。今回は、こうした点を考えてみましょう。
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スポーツカーにとって新たな「指標」となったニュル
グローバル化する国産車だからこそ…
すべてはユーザーに響く数値のため

スポーツカーにとって新たな「指標」となったニュル

冒頭で述べたように、新型スポーツモデルが発表されると、「ニュルブルクリンクでのタイム」、「0-100km/h加速」といった数値もメーカーは発表するケースが多いですよね。

例えば、新型ホンダ シビック タイプRは、最新の2.0リットルVTECターボエンジンを搭載し、最高出力235kW(320ps)、最大トルク400Nm(40.8kgm)という過去最強のスペックを誇っています。

これまでであれば、それだけで”新型タイプRは、凄い!”ということになったのですが、現在、重要視されるのが、ニュルブルクリンク北コースでのタイムです。

2015年に発売されたFK2型で、それまでルノー メガーヌRS275トロフィーRが持っていたタイムを上回り、量産FFモデル最速タイムを記録。その後、ルノー メガーヌRSやVW ゴルフ Rと凌ぎを削っており、いずれもニュル最速を目指して開発が行われています。

しかし、このニュルブルクリンクでのラップタイムが取り沙汰されるようになったのは、2000年代に入ってからではないでしょうか。それまでの国産モデルであれば、鈴鹿サーキット、あるいはお馴染み筑波サーキットでのタイムがベンチマークとなっていたのです…。

グローバル化する国産車だからこそ…

日本のクルマ好きであれば、“筑波ラップ1分3秒”と聞けば、すぐに「なるほど」とピンと来るのではないでしょうか。

しかし、現在は国産メーカーといえどもほとんどがグローバル展開を念頭に開発されたモデルになっており、販売のみならず、生産も海外…なんてケースはざらです。実際、シビック タイプRは英国で生産されます。

つまり、クルマづくりも世界基準としなければならず、ドメスティックな指標では通用しないというわけなのです。

そこで、世界共通のクルマの性能を計る指標となっているのが「ニュルブルクリンク北コース」ラップタイムとなるわけです。スポーツを謳うモデルであれば、避けて通れないコースということになりますね。

このニュルブルクリンクは、1927年に作られた歴史あるサーキットで、オールドコースとGPコースという2つを備えています。オールドコースは、世界最長となる20.832kmの最難関サーキット。ニュル24時間耐久レースのコースとしても知られています。

ニュルのラップタイムという場合は、そのオールドコースでのタイムを指します。

約300mの高低差、172のさまざまなコーナー、長いストレート、滑りやすく荒れた路面、ジャンピングスポット、狭いコース幅など、オールドコースは車両の基本性能が浮き彫りになるといわれます。そのため攻略には、エンジンパワーはもちろん、路面を確実につかむシャシー性能が重要とされ、スポーツカー開発のメッカとなっているのです。

今後、世界の自動車がEVになったとしても、ニュルブルクリンクはスポーツモデルの重要な指標として存在していくことでしょう。

すべてはユーザーに響く数値のため

メーカーのカタログに記載される数値はさまざまで、それだけでは本当の性能がわかりません。だからこそ、わかり易い指標をユーザーに提示する必要があります。

万国共通といえる0-100km/h加速タイム、そしてニュルブルクリンクでのラップタイムは、そのモデルに与えられる勲章であり箔となる…といったところではないでしょうか。

いずれにしても、今後も市販車最速の名をかけて、ニュルブルクリンクでの熾烈なラップタイム争いは続きそうです。国産モデルの奮闘にも、当然期待していきたいところですね。
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