アメ車が日本に根づくには、どうしたらいい?

フォード フィエスタ 2015

※この記事には広告が含まれます

2016年の米フォード日本撤退のニュースは大きな話題となりました。これは、日本でアメ車が根付くことは難しいという事実を突きつけられた気もします。では、日本でアメ車が根付くにはどういった手法があるのでしょうか?考えてみましょう。
Chapter
トランプ大統領は日本でのアメ車事情をどう考えているのか?
地道に販路を開拓してきたドイツ御三家
アメ車が日本で根付くには?

トランプ大統領は日本でのアメ車事情をどう考えているのか?

2017年2月に安部総理とトランプ大統領の首脳会談が行われ、メディアでも大きく報じられました。その内容はともかくとして、日米の緊密性をアピールする結果としては一定の評価があがることでしょう。

また、トランプ大統領としても国内外多方面から非難を受ける状況から、日本の首脳とのフランクな姿を報じさせるところで一定のイメージアップを図った、という見方もできます。

就任前、就任直後、トランプ大統領は「日本は米国車を売れないようにしている!」と日本の自動車産業に対して露骨に意識した発言を繰り返していました。しかし、この認識には少々疑問符があり、アメリカは日本からの輸入乗用車に対して2.5%の関税をかけています。他方で、アメリカからの輸入車に対して、日本は関税をかけていないのです。そういった意味では市場は開かれている、と言えるのですが…。

アメリカが日本を攻撃する際に常套句としていたのが「非関税障壁」です。この圧力により規制緩和となったのがオートバイの大型免許(教習所で取得可能になった)、高速道路での二人乗りの解禁、といったところが有名です。

クルマに関していえば、軽自動車という「ガラパゴス規格」や、大排気量車への高い税制度などがクレーム対象にあたるでしょうね。まあ確かに、日本はクルマを維持するのにお金がかかりすぎますし、これは排気量だけの問題でもないでしょうね。

地道に販路を開拓してきたドイツ御三家

ここで、日本でもしっかり居場所をつくっているドイツ御三家の歩みを簡単にチェックしてみましょう。

まず輸入車販売台数トップのメルセデス・ベンツは、古くから正規代理店だったヤナセ、また1990年代以降にはシュテルン(現メルセデス・ベンツ店)という販売網を構築しています。

BMWは1980年代に「ビー・エム・ダブリュー株式会社」を立ち上げ、今日にいたります。「認定中古車制度」をいち早く導入し、その確かなブランド力を高めていったといえるでしょう。

そしてアウディは、親会社ともいえるVWグループが展開した「フォルクスワーゲンアウディ日本」(のちのフォルクスワーゲングループジャパン)により販路開拓。現在では独AUDI AGが100%出資する「アウディジャパン」として分社化され、好調に展開を続けています。

こうしたドイツ車が日本で大いに受け入れられたのは、前述のような販路拡大に努めたことと、「高級ブランド」としてのアドバンテージがあったことが挙げられるでしょう。

やはり欧州のブランドのレガシーというものは日本人にとって憧憬であり、その点もセールスに結びつく目に見えない重要な要素だったのです。

アメ車が日本で根付くには?

フォードは、2008年のリーマンショック以降、深刻な経営難に陥り、保有していたマツダとボルボの株式を売却しました。

こうした契機を経て、「One Ford戦略」を策定、世界的に体制を一本化してリソースを重要セグメントに絞り込み、「Quality (品質)」「Green (環境性能)」「Smart (洗練度)」「Safety (安全性)」を世界トップレベルに向上させ本格的グローバルプロダクトを開発・販売するという戦略をとりました。

その結果生まれたのが、「フィエスタ」や「フォーカス」といったモデルだったといえます。大排気量モデルではない、環境性能に優れたモデルもフォードは日本に問うたわけです。しかし結果は周知のとおり「日本の自動車産業の閉鎖性」を理由にフォードは撤退をしてしまいました。

これには様々な理由があると思いますが、日本では国内ブランド、欧州ブランド、それぞれ販路を拡大し非常に成熟したマーケットになってきていることが挙げられます。また自動車を購入する層も減ってきているという残念な事実もあるでしょう。
そうした中でフォードに限らずアメ車ブランドが居場所を築くには、やはり時間、そしてなによりリソースが必要。撤退したフォードにしても素晴らしいプロダクトを持っていました。しかしそれを耳目にする、あるいは試乗するような機会があまりなかったのが事実。

これはやはりマーケットに対する「投資」が足りなかったのではないでしょうか。

「投資に見合うリターンがない」というフォード側の主張でしたが、良いクルマを作れば、おのずとそれは話題になり、伝播していくものです。小さなメーカーのテスラが急速に人気を博したのも「テスラにしかないもの」を生み出したからでしょう。

アメリカのメーカーが日本で販路を開拓するのは前述のように難しい状況ではありますが、たとえば今後ルノーと日産のように、既存のメーカーとアライアンスを組む、といったようなことがあれば事態は大きく変化するかもしれません。

近年のアメ車も性能が向上して魅力的なモデルもあるだけに、ここ日本でもっと見たいところです。


■おすすめ記事

フォードは今後日本に戻ってくるのか?
アメ車はなぜ日本で人気を失ったのか?
16歳で運転できる米国、なぜ日本では18歳からなのか?
世界のトヨタでもトランプ氏には敵わない!? 米中西部の工場に約680億円投資!



【お得情報あり】CarMe & CARPRIMEのLINEに登録する

商品詳細