フォードは今後日本に戻ってくるのか?

フォード マスタング 2016

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トランプ大統領就任となり、連日メディアでその発言や日本との関係についての報道がなされています。トランプ大統領はアメリカの内需拡大、そして基幹産業の自動車産業にも力を入れる施策を行おうとしていますが、ここ日本ではフォードの撤退が象徴するように、アメ車の人気がないのも実情…今後フォードは日本に戻ってくることはあるのでしょうか?
Chapter
フォードはなぜ日本から撤退したのか?
日本のマーケットに居場所を作れなかったフォード…
魅力的なモデルこそがメーカーを救う

フォードはなぜ日本から撤退したのか?

2016年は大きな変化のある年でした。それだけビッグニュースが多かったので、なんとなく記憶から遠ざかっているかもしれませんが、フォードが日本撤退を発表したのも同年の1月のことでした。

10店舗あった直営ディーラーも閉鎖し、車好きのみならず、非常にショッキングなニュースでもありました。

フォードはこの日本撤退の理由として「日本自動車市場の閉鎖性」を挙げていました。つまりは投資に見合ったリターンがない市場、というシビアな判断をし、撤退することでリスクヘッジをしたわけです。

米法人だけになかなかドラスティックな判断をするなあ、と筆者もこの報道を見て感じたのですが、気になったのは「日本自動車市場の閉鎖性」についてです。

国産メーカーの販売網が強いために競争力を持つことができない…というのであれば、ドイツ御三家や、ルノー、フィアットといった欧州ブランドも同じ条件。フォードが日本で受け入れられなかった理由とはいったい何なのでしょう?

日本のマーケットに居場所を作れなかったフォード…

ドイツ御三家は、やはり長年の歴史からなる高級ブランドとしての競争力があります。これはアメリカのブランドには、残念ながらなかなか持ち得ないものといえるでしょうね。

またリーズナブルな小型車やスポーツモデルをリリースするルノーは、日産と共存して日本マーケットに食い込むことができるので、少々立ち位置が異なります。

またフィアットは、クライスラー傘下として、フィアット500とパンダというコンパクトクラスに、マツダとのコラボモデルといえる「アバルト124スパイダー」の展開など、車種を日本マーケットに適応するものに絞って展開しています。

ではフォードはどうでしょう…。

日本でフォードをイメージさせるモデルといえば、多くの方はマスタングをはじめとした大排気量のいわゆる「アメ車」を思い浮かべるのではないでしょうか。その環境性能は、かつて酷評されてきたアメリカンマッスルカーのイメージ。さらにサイズも大きいとあれば、一般のユーザーが積極的に選ぶ理由がありません。

しかし実際のところ、1.0Lダウンサイジングターボエンジン”エコブースト”塔載のフィエスタや、日本でも人気の欧州Bセグメントに属するフォーカスなど、環境性能に優れた魅力的なモデルをもって日本に乗り込んでいたのです。

あれ、アメリカのフォードって、そんなに小さい車を作っていたの?と思った方、あなたは正しい。実は、現在のフォードは、2012年に施行されたOne FORD戦略から生まれたもので、それまでのフォードはアメリカと欧州でまったく異なる車両を販売していたのです。つまり、前述のコンパクトカーは欧州フォードが設計したものなのです。

One FORDは、正しい企業の戦略として正しいものだったと思いますが、こと日本のマーケットだけを考えると、欧州フォードは切り離したまま、欧州車をアピールしたほうが、良い結果を得ることができのではないしょうか。

魅力的なモデルこそがメーカーを救う

日本車はアメリカでも人気モデルが多く、それこそトランプ大統領が目の敵にしたくなるほどです。フォード撤退も不愉快な事実だったことでしょうね。

とはいえ、アメリカのユーザーがプリウスを買うときに”日本車だから”という理由で選ぶかといえば、そうとも限りません。

プリウスのユーザーは、環境性能に優れた車が欲しいわけで、結果としてそれが日本のプリウスだった、ということになるのではないでしょうか。ユーザーのマインドはそういったものだと思うのです。

事実、日本ではテスラに憧れを持つ方も増えています。

テスラモーターズはまぎれもなくアメリカのメーカーであり、テスラ モデルSはアメ車なのです。しかしテスラを欲しい人は、どの国のメーカーなのか、というのは気にしないのではないでしょうか。

これはテスラが、多くの人を惹き付けるイノベーションを起こした存在、ということがいえます。

こうした点から考えるに、フォードは非常に惜しかった、といえます。エコブーストという素晴らしい動力・環境性能を持ったパワーユニットを持っていたのですから、これを搭載した魅力的なモデル…一部のマニアだけではなくライトなユーザーに訴求するほどのモデルさえあれば、日本マーケットに居場所をしっかりつくれたのでは?と思えてなりません。

何をもって魅力的とするか、というのは人の主観であり感性に依るところが大きいため、非常に難しいものなのですが、いつの日かフォードが大ヒットモデルを携えて日本に戻ってくる可能性は充分にあるのではないでしょうか。
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