なぜリトラクタブルヘッドライトは無くなったのか?

リトラクタブルヘッドライトはこうして出来た!

自動車の車体前部の高さを下げることで空気抵抗の減少につながりますが、前頭部に装備するヘッドライトの最低地上高には安全上の理由での規制が設けられており、あまり低い位置に置くことはできません。

また、ヘッドライトの存在はデザインの自由度を制約してしまうとカーデザイナー達は昔からヘッドライトの取り扱いに苦慮してきました。これらの課題を両立させるため、必要な時だけ法規制を満たすような高い位置に露出するヘッドライトとして着想されたのがリトラクタブルヘッドライトです。

リトラクタブルヘッドライトの歴史

リトラクタブルヘッドライト

リトラクタブルヘッドライトには非常に長い歴史があります。もっとも古い採用例は、1935年から1937年の4年間、アメリカの独立系メーカーであるコードが少量生産した前輪駆動の高級車コード810・812です。

棺桶と言われるユニークなデザインが特徴のこの車はスタイリングの手法で独立フェンダー頂部にヘッドライトを収納することが可能でした。

日本では、1967年トヨタ2000GTで初めて採用され、1970年後期以降のスーパーカーブームで一躍有名に!マツダ・サバンナRX-7をはじめとするスポーツカーに採用され、当時はスポーツカーを象徴する代表的なパーツとして広く認知され、車好きの羨望の的となった時期もありました。

1980年代に入ると、ホンダ・アコードやクイントインテグラ等のセダンタイプの乗用車にまで採用されました。

なぜ廃止?リトラクタブルの持つ問題点とは?

多くの人気を博したリトラクタブルヘッドライトですが、何故廃止されてしまったのでしょうか?リトラクタブルヘッドライトの欠点を見ていきましょう。

・展開時の空気抵抗が増大

・開閉機構を装備することにより、車体の重量が増加し、スポーツ走行に不向き。

・開閉機構が複雑で部品点数が増加、コスト面や信頼性で不利となる。

・対人事故の際、突出したライトが危険となる。

・事故時や、寒冷地などではライトが展開しない恐れがある。

機能面や安全面、信頼面での問題が多くあります。マイナーチェンジやフルチェンジやでリトラクタブルヘッドライトを廃止する例も多くみられました。

また、北米ではライト最低地上高規制が緩和され、リトラクタブルヘッドライトである必要性も低下します。一部の国や地域では昼間のヘッドライト点灯が義務付けられており、この場合は走行時にライトを格納することが無く、装備する意味はほとんどありません。

このような理由からリトラクタブルヘッドライトはその姿を徐々に見せなくなってしまいました。

その他の格納式ヘッドライト

スポーツカーに採用される格納式ヘッドライトとして、ポップアップ式ヘッドランプがあります。ライト非点灯時にはフロントノーズ上で上向きに格納され、ボディ表面に張り付いているように見えます。ライト点灯時には前方に起き上がります。

これによって、スタイルの良さと空気抵抗の低減を両立することができました。リトラクタブルヘッドライトとは蝶番の位置が異なり、灯体の格納方向が逆になります。ランボルギーニ・ミウラ、ポルシェ・928や968、トヨタ・セリカの4気筒モデルの前期型などで採用されています。


2002年8月、マツダRX-7の生産終了をもって、日本製乗用車でのリトラクタブルヘッドライトの採用例は消えてしまいました。そして、2005年2月11日、シボレーコルベッドのフルモデルチェンジを最後に、リトラクタブルヘッドライトは新車市場から完全に姿を消すこととなりました。

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