私マニュアル乗れるからと奥さんの後押しも有り、中古で手に入れたマツダ・ロードスター、4代目(ND)で楽しむロードスターライフを綴る
更新日:2024.09.09
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マツダ・ロードスターとは何かしらの接点があった。初代のNAロードスターは瞬間風速的だったが我が家のガレージに収まっていた。キュートなデザインとひらり感覚のドライビングの楽しさに惚れ込んだ。スポーツカーが進んできたスタビリティとか絶対的なスピードとは対極にあり、純粋にクルマを操る楽しみを追求したのがロードスターで、日本メーカーではなかなかできないだろうとなかば諦めかけていたところを登場したのだから、エンスーならずともそれはそれは熱狂的な歓迎だった。世界的にも一旦途絶えたライトウェイトスポーツカーが初代(NA)ロードスターで火が付いたが、それだけに世界の自動車メーカーに与えたインパクトは大きかった。残念ながら初代(NA)はすぐに手放さなければならなかったが、数年たって3代目(NC)ロードスターも会社で持っていた。こちらはドライビングスクールなどで使って、初心者から中堅まで運転のイロハを教えるのに役立った。だからロードスターは時折、接点があったのだった。
文/写真・日下部 保雄
文/写真・日下部 保雄
ついにやってきた、お久しぶりのロードスター
いよいよ、4代目(ND)ロードスター。初代のNAに先祖返りしたような軽量コンパクトで、排気量も小さくって1.5Lのスカイアクティブエンジンを搭載。初代より安定性は格段に向上していながらロードスターならではのヒラリ感覚は継承している。4代目(ND)は歴代ロードスターの中でも心惹かれるスポーツカーだった。
そしてやっと4代目(ND)と会合したのは昨年。ムクムクと「”ND”欲しい熱」が頭をもたげたが、2人乗りのマニュアルトランスミッション車に家族が乗れるかと躊躇していた。でも「乗りたいなら乗ればぁ。私マニュアル乗れるし」という家人の声に押されて本格的に探し始めた。
そして待望の4代目(ND)がやってきたのは2018年の12月である。モデルとしては2015年モデルだが、前のオーナーが丁寧に乗っていたおかげで良いコンディションで手に入れることができた。
やってきた4代目(ND)はすぐに打ち解けた。幸いなことに試乗会などで4代目(ND)のインターフェースには触れているので、操作系にそれほど迷うこともない。取り扱い説明書を読むのは苦手なので事前学習は役に立った。
全長は僅か3,915㎜にすぎず、全幅は1,735㎜と5ナンバー枠よりは広いがライトウエイトらしい抜群のディメンションを持つ。ホイールベースは2,310㎜だから小回りも効き、狭い日本の道でも大抵困ることはない。
そして4代目(ND)に乗ると実感するのはクルマが軽いということだ。運動性能にはロードスターが成し遂げている50:50と言う重量配分も重要だが、1,010㎏の重量は今どきのクルマとしてはとても軽い。重量が大きくなる傾向にあるオープンカーでは最初から緻密は計算をしないとこうはならないだろう。
高めのセンターコンソールから生えたコクコクと入るマニュアルシフトの感触も自分の感覚によく合う。手のひらにフィットする球形のシフトノブも吟味されて気持ちが良く、余計なシフト操作をしたくなる。
ドライビングポジションの好みドライバーによって異なるが、足をまっすぐ延ばすとペダルレイアウトはやや右に配置される。最初はペダルの位置を意識して乗ったがすぐに慣れた。
4代目(ND)ではレイアウトが巧みに作られており、170cmの自分の伸長ではピッタリをコックピットに収まる感触がある。軽量シートは丁度良いサイズでシートの張り感はないが意外と長距離でも疲れない。シートはドライバーがタイヤの接地を感じる重要な部品だが体にフィットして良い感触だ。
簡単にオープンにできる機構は、めんどくさがりやでも開けたくなる
低い位置にあるシートに座って、前方を見るとフロンフェンダーの左右の峯が見え、フロントタイヤの位置を確認しやすい。Aピラーが後方に下がって配置されていることもあって前方視界もライトウエイトスポーツカーらしい佇まいだ。
エンジンは骨太の排気音を上げるが、決してノイジーではなく気持ちよく回る。4代続くロードスターの中ではもっとも排気量が小さいがもっとも好ましい。回転振動も少なく気持ちよく回るのも特徴だが、高回転で出力を出すだけでなく、低速トルクもあるので日常の使用でもよく粘ってくれる。ただ2人乗車だと明らかにクルマが重いと感じさせるのは、ギリギリまで軽量化されてベストマッチを追求した結果だと思う。
そういえばフライホイールも軽量タイプが使われているのでスタートでは少しクラッチミートのタイミングを合わせ、その後もアクセルワークに気を配らないとスムースに回らないが、実はこれも楽しい。ここまでドライビングの楽しさを追求しているのかと思うと嬉しくなるのだ。トルセンタイプのLSDも絶妙に使いやすい。
そしてロードスターの真骨頂はソフトトップを下ろした時だ。オープンカーの爽快感は一度でも味わうと忘れられなくなる。天気の良い時には頭上には青空が広がり、解放感に溢れ、季節の香りがダイレクトに伝わってくるのもオープンならではの体験だ。しかも4代目(ND)ロードスターはソフトトップを手動で簡単に開閉ができる。
時間も手間も必要ない。信号待ちでも感じた時にすぐに開閉ができるので、めんどくさがり屋の自分でもこまめにトップを下ろしている。最初は敬遠していた家人も恐る恐るハンドルを握るようになって、今ではスポーツカーこそ街で!を理解しているようだ。
オープンは楽しいけど、音は気になるし、センターコンソールボックスの蓋に肘をぶつけたりするもかわいい相棒
しかし乗っていると気になるところも見えてくる。例えばステアリングを切り込んだ時の反力があまり感じられずスッキリしないのだ。EPSの特性かとも感じるが要因は決められない。あまり過敏に反応するのも嫌だがもう少し何とかならないものかと悩ましい。オープンカーの宿命かもしれない。現状で大きな不満があるわけではないのだが気になると言えば気になる。。。
そして4代目(ND)のソフトトップは上げても外から音が遠慮なく入ってくる。どうせなら下げて走った方が潔い。ロードスターでもっとも退屈な路は高速道路だが、そこでは騒音が容赦なく入ってくるのでラジオで退屈しのぎをするわけにいかない。自分の4代目(ND)はヘッドレストスピーカーがないタイプので、高速道路などの使用が多いドライバーはこれを選んだ方がよさそうだ。
そして気持ちを浮き立たせてくれるマニュアルトランスミッション。油断をしているとシフトをする度にセンターコンソールボックスの蓋に肘をぶつける。こちらは半袖、Tシャツのシーズンを迎えて「どうしたもんかナ」と悩んでいる。
余談だが最近ハーフボディカバーを購入した。春先は近所のネコがソフトトップをハンモック代わりに昼寝を決め込むので試しに装着してみた。今のところは暑くなったり、雨空だったりで効果のほどはわからないが、ニャンコもこちらの意図を察してほしいものである。
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日下部 保雄 | YASUO KUASAKABE
大学卒業後モータージャーナリズムの世界へ入り、自動車専門誌をはじめ各媒体に新車の試乗レポートやコラムを寄稿。最近では雑誌媒体の他にも、FMラジオやインターネット自動車情報サイトでも活躍している。また、かつてはテレビ番組「MOTORLAND2」にメインコメンテーターとして出演していた。ジャーナリズム活動と並行して、セーフティドライビング・インストラクターとしても精力的に活動中。自らも各種ドライビングスクールを行なう。モータースポーツ活動は学生時代から続けており、また、全日本ツーリングカー選手権では、89/90年とDiv.2のシ リーズ2位となっている。ニュルブルクリンク24時間耐久レースでクラス4位入賞を獲得。ラリードライバーとして1984年の全日本ラリー選手権Aクラスチャンピオンや、日本人として初の海外ラリー制覇(1979年)を達成。ナビゲーターとしても1987年に世界選手権ラリーの英国RACラリーで総合11位に輝いた。その他国内レースでも数々の優勝経験を誇る。ハイレベルなドライビングセンスには定評があり、テストドライバーとして、タイヤ、ショックアブソーバーの開発/評価を行なう。