マツダ 3代目(NC)ロードスターをロードスター乗りが振り返る
更新日:2024.09.09
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第3世代のマツダ・ロードスターは2005年に誕生した。初代モデルの型式が「NA」であり、2代目が「NB」、そして3代目は「NC」であったことから、この第3世代に当たるロードスターは通称「NCロードスター」と呼ばれている。ちなみに3代目(NC)ロードスターの日本での初お披露目は、メディア向けのクローズなイベントではなく、毎年5月下旬に開催されるファンによる「軽井沢ミーティング」であった。それだけマツダはファンを大切にしていたというわけだ。
文・鈴木 ケンイチ
文・鈴木 ケンイチ
3代目(NC)ロードスターもバリエーションが豊富なモデルだった。
初代(NA)ロードスターへのオマージュのような、ふっくらとしたデザインをまとった3代目(NC)ロードスターは、「2005-2006年日本・カー・オブ・ザ・イヤー」を獲得。さらに翌2006年には、ワンメイク・レース向けのグレードとなるNR-Aを発売。さらに、同年には、「パワーリトラクタブルハードトップ」を追加。樹脂製の電動ルーフシステムを搭載したこのモデルは通称「RHT」と呼ばれ、最終的には3代目(NC)ロードスターの販売の半数近くを占めるほどの人気を得た。樹脂製とはいえ、屋根があることで快適性は非常に高く、しかも、トランク容量は通常モデル同様。重量増37㎏は、電動ルーフシステムとしては破格なまでも少なさと言えるだろう。そのために走行面での悪影響が非常に小さいというのも特徴であった。
そして、3代目(NC)ロードスターは2008年にマイナーチェンジして後期型に。2014年に4代目(ND)ロードスターにバトンタッチ。9年にわたるモデルライフを送り、ロードスターの伝統を次世代に継承していったのだ。
3代目(NC)ロードスターは全てを一新してエンジンとボディを拡大
3代目(NC)ロードスターの特徴は、すべてが新しくなったことだ。実は2代目のNBロードスターは、エンジンからプラットフォームまで、初代(NA)ロードスターからの継続された部分が多かったのだ。一方で、NCはプラットフォームからエンジンまで、すべてが別物。プラットフォームの基本となったのはRX-8であり、サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン式、リアにマルチリンク式を採用。
前後ともダブルウィッシュボーン式だった初代、2代目とは異なる足回りとなっている。ただし、トランスミッションとリアのデフをPPF(パワープラントフレーム)で結合する方式は継続し、ロードスターの伝統を守った。エンジンは、最高出力170馬力の2.0リッターMZRエンジンを採用。MTは6速に統一。ATは従来の4速から6速ATに。ABSやトランクションコントロール(TRC)、横滑り防止装置(DSC)といった現代的な運転支援装置も装備されるようになった。
前後ともダブルウィッシュボーン式だった初代、2代目とは異なる足回りとなっている。ただし、トランスミッションとリアのデフをPPF(パワープラントフレーム)で結合する方式は継続し、ロードスターの伝統を守った。エンジンは、最高出力170馬力の2.0リッターMZRエンジンを採用。MTは6速に統一。ATは従来の4速から6速ATに。ABSやトランクションコントロール(TRC)、横滑り防止装置(DSC)といった現代的な運転支援装置も装備されるようになった。
従来よりも排気量をアップしたエンジンと、格上のRX-8と同じプラットフォームを採用したということで、NCロードスターはボディ寸法も旧来よりも拡大した。全長3,995mm×全幅1,720mm×全高1,245mm、ホイールベース2,330mmとなり、先代の2代目(NB)ロードスターと比べて、全長で40mm、全幅で40mm、全高で10mm大きくなり、ホイールベースも65mm伸びている。また、車両重量はもっとも軽いモデルで1090㎏。2代目(NB)ロードスターの1.6リッターモデルで1010~1020㎏、1.8リッターモデルで1030㎏という重量と比較すると、3代目(NC)ロードスターは60~80㎏の重量増となった。
大きく重くなりつつも、走り味は伝統を守る
大きく重くなったものの、パワーは過去モデルよりも増したのが3代目(NC)ロードスターだ。ロードスターはライトウェイト・スポーツであるから、重量増やパワーアップは、本来的には基本コンセプトに背くことになる。しかし、実際に走らせてみれば、その乗り味はNAやNBの持っていた人馬一体のフィーリングそのものであることに驚くことだろう。
クルマの動きは、ドライバーの意思に忠実で、人とクルマの一体感を得られる。そのフィーリングの楽しさは、同世代のどのスポーツカーにも負けない。また、攻め込んでいけば、意外と簡単に限界に達してしまうという、ある意味、ロードスターの伝統もそのままだ。
ロードスターはドライバーの失敗をクルマがカバーしてくれるわけではない。下手をすれば、そのままスピンするなり、オーバーランするなり、クルマの挙動も乱れるのだ。ただし、タイヤなどの足回りの性能はワンランク向上しているため、コーナリングの安定感も従来よりも高い。ただし、軽快感は、若干、薄れているのが残念なところだ。
クルマの動きは、ドライバーの意思に忠実で、人とクルマの一体感を得られる。そのフィーリングの楽しさは、同世代のどのスポーツカーにも負けない。また、攻め込んでいけば、意外と簡単に限界に達してしまうという、ある意味、ロードスターの伝統もそのままだ。
ロードスターはドライバーの失敗をクルマがカバーしてくれるわけではない。下手をすれば、そのままスピンするなり、オーバーランするなり、クルマの挙動も乱れるのだ。ただし、タイヤなどの足回りの性能はワンランク向上しているため、コーナリングの安定感も従来よりも高い。ただし、軽快感は、若干、薄れているのが残念なところだ。
しかし、新しい素材を使いながらも、その味わいは旧来そのもの。それが3代目(NC)ロードスターの走りであった。新世代になることで、初代(NA)から2代目(NB)ロードスターへと伝えられた魅力が、消え失せてしまうことを心配していたが、3代目(NC)ロードスターは、そんな不安を吹き飛ばしてくれたのだ。そして、それを実現できたのも、マツダの開発陣に貴島孝雄氏という人物が存在したからだろう。貴島氏は「ミスター・ロードスター」とも呼ばれ、1989年に誕生した初代から開発に携わっており、3代目(NC)ロードスターでは開発のリーダーを務めている。正直、3代目(NC)ロードスターが開発されていた時期のマツダは、経営的に苦しい時代。その苦しい状況の中で、ロードスターの伝統を継承させたのも貴島氏の大きな功績と言えるだろう。
3代目(NC)ロードスターは、初代のNAや2代目のNBよりも、生産されていた年数が近いため、メンテナンスという意味での不安は小さい。またRHTモデルという快適なモデルが存在するのも、3代目(NC)ロードスターの特徴。ロードスターの走り味を安心して味わいたい人におすすめなのが3代目(NC)ロードスターと言えるだろう。
3代目(NC)ロードスターは、初代のNAや2代目のNBよりも、生産されていた年数が近いため、メンテナンスという意味での不安は小さい。またRHTモデルという快適なモデルが存在するのも、3代目(NC)ロードスターの特徴。ロードスターの走り味を安心して味わいたい人におすすめなのが3代目(NC)ロードスターと言えるだろう。
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