初代の楽しさを残しつつ弱点を圧えた2代目 マツダ (NB)ロードスターを振り返る

2代目(NB)ロードスター

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1998年に誕生した第2世代のロードスターが、2代目(NB)ロードスター。いわゆるNBロードスターだ。そのNBロードスターを2台乗り継いだ。最初のNBロードスターはワンメイクレースに参戦するための「NR-A」であった。レースへの参戦は1年と短かったものの、勝利の祝杯や惜敗など内容は充実しており、非常に勉強にもなった。その後、NBロードスターが生産終了になった最後の年のNB6を新車で購入。14年が過ぎた現在も、元気に取材の足として活躍してくれている。

文・写真/鈴木 ケンイチ

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
初代(NA)ロードスターから2代目(NB)ロードスターへ
初代(NA)ロードスターの良さを磨き込み、弱点を克服していく
電子制御化が進むちょっと手前の「古き良き時代」を味わう
写真:筆者所有の2代目(NB)ロードスター

初代(NA)ロードスターから2代目(NB)ロードスターへ

1998年にフルモデルチェンジした第2世代のロードスターは、1.6リッター・エンジン搭載車がNB6、1.8リッター・エンジンを搭載するモデルをNB8と呼ぶのが通例だ。そのために2代目(NB)ロードスターは、まとめてNBロードスターと呼ばれる。8年間にわたり生産された2代目(NB)ロードスターは、2005年に次世代の3代目(NC)ロードスターへとバトンタッチする。

NBロードスターは第2世代と言いながらも、その中身は、実のところ、ほとんど初代(NA)ロードスターそのままだ。パワートレインも先代からの継続品であるし、プラットフォームも同様で、特徴的なPPF(パワー・プラント・フレーム)も継続採用。そのためにNBロードスターの部品は、そのまま初代(NA)ロードスターにも使えるのだ。それを利用した、初代(NA)ロードスターのカスタムも大いに流行っている。

ただし、外観のデザインと内装のデザインは、先代から大幅に変わった。中身はそのままで、見た目だけを一新させたということで、「ビッグマイナーチェンジだ」と言う人もいる。ただし、偉大な先代の初代ロードスターを延命させたことになるためか、NBロードスターの内容を悪しざまにけなす人は、ほとんど見たことがない。
また、NBロードスターは、さまざまなバリエーションが用意されたのも特徴だ。ワンメイクレース用グレードの「NR-A」、最高出力172馬力/最大トルク209Nmの1.8リッター・ターボを搭載する「ロードスター・ターボ」、さらには、ほとんど手作りのように生産した「ロードスター クーペ」までが販売された。ちなみにターボ・モデルは日本だけでなく、アメリカでもあまりヒットしなかった。結局、ロードスターを求める人には「ハイパワー嗜好」の人が少ないことを証明したと言えるだろう。

初代(NA)ロードスターの良さを磨き込み、弱点を克服していく

中身は、ほとんど初代(NA)ロードスターのままだが、販売された年月の分だけブラッシュアップされたというのが2代目(NB)ロードスターだ。良いところも悪いところも初代(NA)ロードスターの延長にありながら、時間をかけて弱点を克服し、熟成させたクルマと言えるだろう。

オープン時の走行は、風の巻き込みも少なくなって、爽快さがアップしていた。パワーステアリングは油圧式で熟成の極致と言える。ブレーキはABSが一部オプションで、ABSなしも存在した。安全面ではマイナスになるが、ブレーキタッチなどのフィーリングはダイレクトさがあって、コーナリングでは限界が低いもののタイヤの限界を感じやすくドライビングの楽しさを味わえた。
1.6リッターのB6エンジンは最高出力125馬力と非力ではあったが、制御が熟成されたことで回転フィールは滑らかになる。1.8リッターのBPエンジンは可変バルブ機構を追加することで最終的に最高出力160馬力までパワーアップされている。

中身は初代(NA)ロードスターのままということで、ユーザーがメンテナンスしやすいという初代の特性は、2代目(NB)ロードスターにも受け継がれている。オイル交換にはじまり、ブレーキパッド交換など、一通りのメンテナンスが自らの手でできるというのも、ロードスターの魅力だ。また中身が初代(NA)ロードスターと同じことは、ロードスターの専門ショップにも好意的に受け入れられた。従来、販売していた初代(NA)ロードスター用のパーツの多くが、続く2代目(NB)ロードスターにも使えたからだ。そのため2代目(NB)ロードスター用のカスタムパーツも豊富に流通する。
写真:筆者所有の2代目(NB)ロードスター
乗って楽しく、イジるのもOK。しかも部品の耐久性など、細かなところが初代から2代目という長い時間をかけて熟成されたことで故障のしにくさも2代目(NB)ロードスターでは確実に良くなっていたのだ。

ちなみに、弱点も先代ゆずり。走行中はうるさいし、暑さや寒さに弱い。ただし、幌の素材がファブリックになり、リヤスクリーンもガラス製になって、若干だが居住性は向上している。後方視界だけでなく、ヘッドライトの光量アップにより、夜間の視界確保も先代よりも良くなっている。

電子制御化が進むちょっと手前の「古き良き時代」を味わう

2代目(NB)ロードスターが販売された1998年から2005年という時代は、初代プリウスの登場(1997年)を象徴とするように、クルマの省燃費化が進んだ時代であった。電制スロットルの採用や電動パワステの採用が拡大するなど、メカニズム的に変革の時期となったのだ。

一方、1989年に誕生したNAロードスターをベースにしているNBロードスターは、そうした流れになる前の技術で基本的には設計されている。だから現代のクルマのような電制スロットルではないし、パワステは油圧でABSもオプション。省燃費性能や安全性能という面では、時代遅れそのもの。しかし、それ以外の“走らせる楽しさ”という点では、世紀の名車である初代(NA)ロードスターゆずりの高いレベルを維持している。言ってしまえば、「古き良きクルマ」ということだ。

今なら、生産終了から15年ほど。まだ、手間暇のかかるヒストリックカーではない。初代に近いフィーリングを、より簡単に手に入れることができる。それが2代目(NB)ロードスターなのだ。

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