走行距離85,000kmで我が家にきた1993年式マツダ 初代 (NA) ロードスターVスペシャルIIは、やはり"だれもが幸せになる"クルマだった | オーナーレビュー

初代 NA ロードスター 小鮒 康一

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マツダ・ロードスターと言えば、日本が世界に誇る名車のひとつ。初代 (NA) ロードスターの成功がなければBMW Z3もメルセデスベンツSLKもフィアット バルケッタも生まれたかったというほど、与えた影響は計り知れないモデルだ。筆者が免許を取った1997年はちょうど初代がモデル末期で、間もなく2代目 (NB) が登場するというタイミングであり、当時のクルマ好き界隈でも話題の車種のひとつだったのだが、筆者が当時乗っていたのはクラシックミニであり、純然たる国産スポーツカーであるロードスターは眼中にないモデルだった。その後、クラシックミニでサーキット走行会などに参加するようになり、国産スポーツカーも所有するようになったが、残念ながらロードスターには縁のない日々が続いていたが...。

文/写真・小鮒康一

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友人が手放すという話を聞いて
"とがった性能"がないからこそ長く楽しめる
不満らしい不満もないが……

友人が手放すという話を聞いて


それから時は流れて今から6年前。友人が乗っていたロードスターを、結婚を機に手放すという話を耳にする。機関系は別段不具合はないものの、内外装は年式相応に傷んでいるということで、ばらして部品単位で売却するというではないか。そこでウッカリ悪い虫が動き出し、丸車で譲ってもらうことになったのである。価格は友人の厚意により予備検査を付けて10万円。当時はまだ初代ロードスターは底値に近い価格だったとはいえ、破格の金額と言えるだろう。改めて友人には感謝したい。

そんな経緯で我が家にやってきた85,000kmを走破したロードスターは、エンジンが1.8リッターになったばかりの1993年式のVスペシャルIIと呼ばれるグレードで、タン色の内装とグリーンのボディカラーの組み合わせがそこはかとなくブリティッシュな雰囲気を感じさせる組み合わせだった。

しかし、当初は解体される予定だった個体だけに、タン色の本革シートは大きく破れ、塗装面にも色褪せや塗膜の剥がれが見られ、幌も破れているような状態だった(助手席の窓も落ちていたが、これは引き渡し前に友人が直してくれていた)。

ただ一度アクセルを踏み込めば、よどみなく吹け上がるエンジンに、ドライバーの意思に呼応するハンドリングという「ロードスターらしさ」というものは失われていないように感じられた。もちろん、新車当時のNAロードスターに乗ったことがないので明確な比較はできないが、どこかが明確にヤレているという印象はなく、ただただ運転が楽しいクルマという感覚だったのだ。

"とがった性能"がないからこそ長く楽しめる


そんなロードスターが手元に来て6年となるが、まだまだ飽きる気配がない。低速で走っていても楽しいし、交差点を曲がるだけでもその素直なハンドリングを感じ取ることができるのは、スバ抜けた出力や洗練された電子制御などもないシンプルな構造だからこそなのかもしれない。

そのためか、購入してから現在まででトラブルらしいものといえばパイロットベアリングがダメになり、異音が出たついでにクラッチ周りを一式交換したことと、リアブレーキキャリパーの動きが悪くなった点くらい。あとは予防整備的にオイルにじみがあった部分の修理をした程度なのである。

今まで行った改造らしい改造も、足回りとブレーキ、そしてタイヤとホイール程度であり、非常に低コストで楽しめることができるという点も魅力のひとつ。もちろんデビューから30年近くが経過したモデルであることに違いはないが、NAロードスターに関してはマツダがレストアプロジェクトをスタートしてくれたおかげで、パーツに困ることはほぼないと言えるのも嬉しいポイントだ。

不満らしい不満もないが……


不満点もしっかり書いてくれと編集部から言われているものの、ロードスターに関しては明確な不満点というものがなかなか見当たらない。もちろん、荷物が乗らないとか、仮眠したくてもシートがほとんどリクライニングしないとか、全くないわけではないが、その辺はロードスターを手にする前から分かっていたことであり、改めていうほどのことでもない(あ、でもカップホルダーくらいは欲しい)。

強いて挙げるとすれば、思いのほか燃費が伸びないことくらいだろうか。混み合った街中をチョコマカ走り回るような使い方だと、平均でリッター10km程度。高速道路をのんびりクルージングしても14km/L程度というのが実情なのは不満と言えば不満。とはいえ、走りの楽しさでトレードオフの関係とも言えるが。


あとは、レストアプロジェクトが動き出したことで初代ロードスターの中古車相場が大幅に上昇している点も困りもの。今の愛車に万が一のことがあっても買いなおすハードルが爆上がりとなってしまうからだ。だからというわけではないが、そんなことがないようにこれからも大切に維持していくつもりなのは言うまでもない。セカンドカー的なポジションで購入したハズなのに気づけば16万キロオーバーとなってしまったが、まだまだ飽きる日がくることはなさそうだ。

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