買って乗っているからわかる!マツダ CX-5 XD Lパッケージ (FFモデル)の燃費、デザイン、走りをレビュー!
更新日:2024.09.09
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マツダのCX-5が手元に来てから約1年。日常的には妻が子供の送り迎えや買い物の足として使うことがほとんどで、いわゆるファミリーカーとして活用している。そんな愛車CX-5について感じていることを素直にお伝えしよう。
文/写真・工藤貴宏
文/写真・工藤貴宏
マツダ CX-5 XD Lパッケージ (FFモデル)を購入
CX-5を買うまで使っていたのは、マツダ・プレマシー。スライドドアを組み合わせた小型のミニバンである。スカイアクティブGエンジンに6速ATを組み合わせた後期モデルで、乗っている5年の間はずっと“最新モデル”でありつつ、そのまま“最終モデル”になってしまった。
ミニバンとは思えないほどハンドリングが気持ちよく(今でもスライドドア付きのクルマのなかでは世界一心地よいハンドリングだと思っている)、実用性も高くて満足度は非常に高かった。
いっぽうでCX-5は僕にとってはじめてのSUVであり、はじめて所有するディーゼルエンジン車だ。新しい世界へ踏み込むときは、やっぱりドキドキする。そして、クルマ好きのたわごととか昭和の価値観と言われるかもしれないけれど、クルマを買い変えるとなんだか新しい生活が始まるような気分になる。SUVはどれだけ生活を彩ってくれるのだろうか。
グレードは、ディーゼルエンジンを搭載した最上級グレードの「XD Lパッケージ」のFF車を選んだ。身分不相応のクルマを所有できる残価設定ローンよ、ありがとう。
ところで、CX-5の納車の時に妻(毎日のようにCX-5を運転することになる)はボクにこう言った。「スライドドアじゃないなんて、聞いてない」。そして「こんなに大きいとは思っていなかった」と。
たしかに、納車まで実車は見せていなかった。だけど「CX-5買う!」とは伝えてあったから、嘘はついていない……よね!?
たしかに、納車まで実車は見せていなかった。だけど「CX-5買う!」とは伝えてあったから、嘘はついていない……よね!?
CX-5 デザインと走り。そして決め手となったのはエンジン
CX-5が属するミドルサイズのSUVは各メーカーが世界的に力を入れているクラスだから、購入時の選択肢は幅広い。日産エクストレイルにはじまり、SUBARUフォレスター、三菱アウトランダー、それにトヨタ・ハリアーなんかも競合だ。そのなかでCX-5を選んだ理由は3つある。
ひとつはデザイン。ボクは武骨なデザインよりも美しいデザインのSUVに乗りたいと考えていて、その視点で周りを見渡すとCX-5がもっとも魅力的だ。そのうえマツダのプライドとして走りも手を抜かずに全力で作っているから水準が高い。それはなにも峠道をハイペースで走って……という話ではなく、日常から高速道路まで自分の感覚や期待とクルマの挙動に相違が少ないから、疲れないしガッカリしないのだ。愛車だからこそ、クルマ選びに際してそういう部分は重要である。
そして、決め手になったのはディーゼルエンジン。日本では輸入車も含めてディーゼルエンジン車が増えつつあり、自動車ライターとしては自分で所有してしっかり確認しておく必要があると思っていた。……という建て前的な理由もあるけれど、本当は個人的に最新のクリーンディーゼルエンジンに乗ってみたかったからだ。自分の足として日常的に。
「ディーゼルエンジンは短距離のチョイ乗りを繰り返すのにふさわしくない」というのが定説だけど、はたして? 最終結論は長時間立たないと出せないけれど、現時点でそれは感じていない。
ちなみに妻の懸念事項だった車体の大きさは、納車から一週間ほどすると「意外に慣れた」という告白があった。全長は4545mmだからそれほど長いわけでもないし、1840mmの全幅1840mmは今までの感覚だと幅広だけど、実際に運転してみると自宅の駐車場事情さえ許せば苦労することはない。
ただし、駐車場で子供を乗せおろしすることが多いせいもあって「やっぱりスライドドアのほうがいい」とは、今でもときどき呪文のように唱えている。まあ、これはCX-5が悪いわけではないのだが。
CX-5の燃費は良好。力強い走り
そんなCX-5は妻が毎日のように運転している。ただし日常的な行動範囲は自宅から半径5km程度。渋滞こそほぼないものの、停止と発進を繰り返す市街地走行がほとんどだから、燃費には厳しい状況だ。
そんな日常においても、車載の平均燃費計は11km/L後半をキープしたまま。1600kg台の車両重量を考えれば、さすがディーゼルエンジンといえる燃費の良さだ。高速道路を走ると、18km/Lという数字も珍しくない。
しかも軽油の単価はガソリンよりも安いから、燃料のランニングコストは大雑把にいってガソリン車の2/3以下。給油のたびに「ディーゼル車でよかった」と実感する。
もうひとつ、ディーゼル車の魅力は力強い加速だ。ガソリン車と違って高回転の伸びや盛り上がりこそないものの、ディーゼル車は発進加速が力強くて運転しやすい。これを知ってしまうと、もはや自然吸気ガソリンエンジンには戻ることができないかもしれない。
いっぽう、ディーゼルエンジンといって気になるのはガラガラとした音や振動だが、マツダが改良を重ねただけあってびっくりするほど気にならない。もちろんガソリン車と比べれば音も振動もあるが、比べさえしなければ意識せずに済むレベルだし、それも停車中と発進時くらいで、走り出すと意識に入ってこない。最新のディーゼルはよくできているな、とつくづく実感する。
そんな日常においても、車載の平均燃費計は11km/L後半をキープしたまま。1600kg台の車両重量を考えれば、さすがディーゼルエンジンといえる燃費の良さだ。高速道路を走ると、18km/Lという数字も珍しくない。
しかも軽油の単価はガソリンよりも安いから、燃料のランニングコストは大雑把にいってガソリン車の2/3以下。給油のたびに「ディーゼル車でよかった」と実感する。
もうひとつ、ディーゼル車の魅力は力強い加速だ。ガソリン車と違って高回転の伸びや盛り上がりこそないものの、ディーゼル車は発進加速が力強くて運転しやすい。これを知ってしまうと、もはや自然吸気ガソリンエンジンには戻ることができないかもしれない。
いっぽう、ディーゼルエンジンといって気になるのはガラガラとした音や振動だが、マツダが改良を重ねただけあってびっくりするほど気にならない。もちろんガソリン車と比べれば音も振動もあるが、比べさえしなければ意識せずに済むレベルだし、それも停車中と発進時くらいで、走り出すと意識に入ってこない。最新のディーゼルはよくできているな、とつくづく実感する。
オールシーズンタイヤに交換
購入後に施したカスタマイズといえば、子供に前席の背中を蹴られて汚されないように背もたれの後ろにエプロン状のカバーをつけたり、ドライブレコーダー取り付けなどアクセサリー品の装着程度。ただ、購入後半年ほどでタイヤをオールシーズンタイヤに履き替えた。銘柄はグッドイヤーの「アシュランス ウェザーレディ」というSUV用だ。
これまでは冬になるとスタッドレスタイヤを履いていたけれど、ここ数年はウィンタースポーツに出かけることがなくなった。そこで「東京で雪が降った時だけ対応できればいい」という判断で選んだ。自分でタイヤの履き替えをするボクにとって、さすがに19インチタイヤを履き替えるのは身体への負担が大きく、オールシーズンタイヤなら1年中履きっぱなしで済むのでその手間を省けるのは大きな魅力だったからだ。
気になるのはハンドリングや静粛性、乗り心地への影響だが、結論からいえば心配するほどの違いはない。厳密にいえばハンドリングは中立付近からハンドル切り始めの手応えがやや薄くなったけれど、レベルとしてはほんのわずかだし、バランスを壊すような違いではないと断言できる。静粛性や乗り心地も誤差の範囲で、妻に言わせると「タイヤを変えたことすら気が付かなかった」という。
高い理想と、オーナーとしてのさみしさ
とても気に入っているCX-5だが、ひとつだけさみしいことがある。それはマツダの年次改良のペースだ。
僕の手元にCX-5が納車されたのは2018年の6月で、2月に受けた一部改良を受けたモデル。しかし、納車からたった4ヵ月後の10月には改良を受けて装備面を中心に進化してしまった。実は現行型CX-5は2016年の12月にデビューしてから2018年8月の安全装備向上、2018年2月のエンジン大改良&仕様変更、そして2018年10月のガソリンターボエンジン追加&装備仕様の変更、と半年ちょっとずつのペースで進化している。
常に進化し続けて最新仕様にアップデートしていくというマツダの商品に対する真摯な姿勢は素晴らしいし、理解できる。商品として考えれば、それ自体は素晴らしいことだ。
しかし、オーナーとしてはせっかく買った新車がすぐに「旧モデル」になってしまうのはさみしいので、せめて改良は年に1回くらいにとどめてもらえないかというのが正直な気持ちだったりもする。
工藤貴宏|TAKAHIRO KUDO
1976年生まれの自動車ライター。クルマ好きが高じて大学在学中から自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。卒業後に自動車専門誌編集部や編集プロダクションを経て、フリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジン搭載のマツダCX-5。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。