日産スカイライン200GTt Type P試乗レビュー【試乗して感じた良かった点・欠点】
更新日:2024.09.09
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いつの時代も、最先端のテクノロジーでその走りを磨き、我々を魅了し続けているスカイライン。長きにわたって培ってきたハンドリングテクノロジーの一つの究極系が、V37スカイラインに搭載されたダイレクトアダプティブステアリング、そしてハイブリッドシステムとダウンサイジングターボといったパワーユニットです。今回、試乗を通して感じたことをじっくり見ていきます。
2018/2/26
2018/2/26
日産スカイライン200GTtの走りの特長
クルマを評価する上で、良い車か否かを判断する大原則は、「走る・曲がる・止まる」の3つです。ただし最近では、運転支援や自動運転というキーワードが流行しており、もはや、サーキットのラップタイムや0-400m加速タイムが、購買意欲を無性に掻き立てるほど、有効なアピール手段ではなくなってきたように感じます。
むしろ、自動運転といったキーワードをしっかりと織り込み、運転支援に関する先進装備が装着されているか、というところが重要視されてきています。
それを考えると、このV37スカイラインは先進の安全技術、「セーフティシールド」というキーワードを元に、センサーを駆使した全方位運転支援を全グレードに標準装備しました。もちろん、今回の試乗車200GTtにも各種の安全装備が装着されており、幸いにも事故回避といったシステムの恩恵にあやかることはありませんでしたが、安心感がこれまでの車とは比較にならないほど感じられます。
例えば、一般道を走行中でも、前方の車をレーダーで捕捉し、車間距離を適切に保つよう加減速をしてくれたり、左右のレーンを走行している車が近づくと、Aピラー下側にあるランプが付き、後方からの進行車をお知らせしてくれます。
さらに駐車をする際も、アラウンドビューモニタによって、全方位の状況をディスプレイに示し安全状況をブザーでお知らせしてくれたりと、至れり尽くせりの装備と感じました。
それを考えると、このV37スカイラインは先進の安全技術、「セーフティシールド」というキーワードを元に、センサーを駆使した全方位運転支援を全グレードに標準装備しました。もちろん、今回の試乗車200GTtにも各種の安全装備が装着されており、幸いにも事故回避といったシステムの恩恵にあやかることはありませんでしたが、安心感がこれまでの車とは比較にならないほど感じられます。
例えば、一般道を走行中でも、前方の車をレーダーで捕捉し、車間距離を適切に保つよう加減速をしてくれたり、左右のレーンを走行している車が近づくと、Aピラー下側にあるランプが付き、後方からの進行車をお知らせしてくれます。
さらに駐車をする際も、アラウンドビューモニタによって、全方位の状況をディスプレイに示し安全状況をブザーでお知らせしてくれたりと、至れり尽くせりの装備と感じました。
日産スカイライン200GTtの良かった点
今回試乗をしたのは200GTt Type P。このクルマ、他社車と比較して優れている2つのポイントがあります。
良かった点1:直進走行時の安心感の高さ
1つ目は、「直進走行時の安心感の高さ」です。
試乗車にはメーカーオプションで、ダイレクトアダプティブステアリングが装着されていました(※350GT HEV仕様には標準装着)。このステアリング機構は、ステアリングアクチュエーターが路面不整に対して、タイヤの向きをしっかりとキープすることで、路面不整があっても乱されない高い直進性を維持してくれます。
轍などの大きな入力でも、ステアバイワイヤによって電気信号に置き換えられるため、強烈なキックバックはキャンセルされて、必要なフィードバックのみがステアリングに返ってきます。
このおかげで、走行中に車両に入る外乱に対してステアリングを修正する操作を低減することができ、ストレスが大幅に低減されます。かといって、インフォメーションがないテレビゲームのようなものでは全くありません。普段はしっかりとした手ごたえのある操舵力であり、ネガティブな要素は一切感じませんでした。
一部の評論家は、「ステアバイワイヤは今までと異なり違和感を感じる」とおっしゃる方もいますが、システムが違うのだから当たり前、むしろドライバーの疲労のことを考えたら、この方がストレス下がり、快適な移動をもたらしてくれるはずです。
試乗車にはメーカーオプションで、ダイレクトアダプティブステアリングが装着されていました(※350GT HEV仕様には標準装着)。このステアリング機構は、ステアリングアクチュエーターが路面不整に対して、タイヤの向きをしっかりとキープすることで、路面不整があっても乱されない高い直進性を維持してくれます。
轍などの大きな入力でも、ステアバイワイヤによって電気信号に置き換えられるため、強烈なキックバックはキャンセルされて、必要なフィードバックのみがステアリングに返ってきます。
このおかげで、走行中に車両に入る外乱に対してステアリングを修正する操作を低減することができ、ストレスが大幅に低減されます。かといって、インフォメーションがないテレビゲームのようなものでは全くありません。普段はしっかりとした手ごたえのある操舵力であり、ネガティブな要素は一切感じませんでした。
一部の評論家は、「ステアバイワイヤは今までと異なり違和感を感じる」とおっしゃる方もいますが、システムが違うのだから当たり前、むしろドライバーの疲労のことを考えたら、この方がストレス下がり、快適な移動をもたらしてくれるはずです。
良かった点2:アクティブレーンコントロール
2つ目は、アクティブレーンコントロールです。
70km/h以上の高速走行時に、白線に対する車両の向きをカメラがとらえ、タイヤの角度と操舵反力を微調節する機能です。
横風や傾斜などの路面の影響に対するクルマの直進性が高まり、修正操舵が減少します。
この機能が入ると、あたかもスノーボードのハーフパイプの中に、丸いボールをまっすぐ転がすようなイメージで、直進走行をしていってくれます。
車線内で左右にぶれても、ステアリングが「じわっと元に戻される方向に操舵反力を返し、車線中央へとクルマの位置を戻してくれます。これが実に自然なフィーリングなのです。
これまで筆者は、プロパイロットを積んだセレナと新型リーフの試乗をした際、プロパイロットの車線維持の制御の粗さを体感しました。常に走行レーン中央を追う様に、ステアリングがピクピクと左右に切らされる動きを続けるのは、辟易してしまいました。
V37のアクティブレーンコントロールは、プロパイロットほどのレーンキープ力はまだ与えられていません。しかし、車速維持、前方追従、自動停止まで、ほぼ同等の機能は備えています。
もし、このアクティブレーンコントロールにプロパイロットのレベルまで操舵支援機能を与えたら、それは一つの運転支援のゴールといえると考えます。
次のマイナーチェンジ、その先の次期型開発ではぜひ織り込まれることを期待します。
70km/h以上の高速走行時に、白線に対する車両の向きをカメラがとらえ、タイヤの角度と操舵反力を微調節する機能です。
横風や傾斜などの路面の影響に対するクルマの直進性が高まり、修正操舵が減少します。
この機能が入ると、あたかもスノーボードのハーフパイプの中に、丸いボールをまっすぐ転がすようなイメージで、直進走行をしていってくれます。
車線内で左右にぶれても、ステアリングが「じわっと元に戻される方向に操舵反力を返し、車線中央へとクルマの位置を戻してくれます。これが実に自然なフィーリングなのです。
これまで筆者は、プロパイロットを積んだセレナと新型リーフの試乗をした際、プロパイロットの車線維持の制御の粗さを体感しました。常に走行レーン中央を追う様に、ステアリングがピクピクと左右に切らされる動きを続けるのは、辟易してしまいました。
V37のアクティブレーンコントロールは、プロパイロットほどのレーンキープ力はまだ与えられていません。しかし、車速維持、前方追従、自動停止まで、ほぼ同等の機能は備えています。
もし、このアクティブレーンコントロールにプロパイロットのレベルまで操舵支援機能を与えたら、それは一つの運転支援のゴールといえると考えます。
次のマイナーチェンジ、その先の次期型開発ではぜひ織り込まれることを期待します。
日産スカイライン200GTtの欠点
しかしながら、気になる点があったのも事実。2点ほどあります。
欠点1:回転半径の大きさ
1つ目は、回転半径の大きさです。
ダイレクトアダプティブステアリングにより、ロックトゥロック(ステアリングを右に目いっぱい切ってから、反対の左側に最大限切ること)は2回転と非常に少なく、交差点では非常にきびきびとして軽快な操舵感ではあったのですが、Uターンをするときの回転半径が大きいのです。
数値でいうと最小回転半径は5.7m(200GTt全車。HEV 2WDのみ5.6m)。例えば、競合車であるBMW3シリーズは5.4m、ベンツCクラスは5.2m、レクサスISは5.4m、ちなみにフーガは5.6m。この0.1~0.3mの差は、蔑ろにはできない大きな差です。
交差点の様な大きさのコーナーであれば、フル転舵は使わないので、とても楽なのですが、駐車場のような小回りを利かせたいところでは、ステアリングは切れているのに、「あれ?これしか曲がらないの?」とついつい言ってしまった位、クルマの大きさを改めて感じてしまいました。ただ、ホイールベースが長い分、後席が広くて居住性が良いなど、相反する性能をとったのでしょうが、競合車と比べてみても残念な部分に感じます。
ダイレクトアダプティブステアリングにより、ロックトゥロック(ステアリングを右に目いっぱい切ってから、反対の左側に最大限切ること)は2回転と非常に少なく、交差点では非常にきびきびとして軽快な操舵感ではあったのですが、Uターンをするときの回転半径が大きいのです。
数値でいうと最小回転半径は5.7m(200GTt全車。HEV 2WDのみ5.6m)。例えば、競合車であるBMW3シリーズは5.4m、ベンツCクラスは5.2m、レクサスISは5.4m、ちなみにフーガは5.6m。この0.1~0.3mの差は、蔑ろにはできない大きな差です。
交差点の様な大きさのコーナーであれば、フル転舵は使わないので、とても楽なのですが、駐車場のような小回りを利かせたいところでは、ステアリングは切れているのに、「あれ?これしか曲がらないの?」とついつい言ってしまった位、クルマの大きさを改めて感じてしまいました。ただ、ホイールベースが長い分、後席が広くて居住性が良いなど、相反する性能をとったのでしょうが、競合車と比べてみても残念な部分に感じます。
欠点2:粗い乗り心地
2つ目は、ステアリングの滑らかさに不釣り合いな「粗い乗り心地」です。
これは、ダイレクトアダプティブステアリングの操作感があまりにも滑らかであるため、比較的引き締められた乗り心地が不釣り合いだという意味です。
不整路面を走った際にステアリングから受ける入力は、ごくわずかなのですが、シートに座っている身体が上下左右に揺すられてステアリングを切ってしまう、そんなシーンがありました。
せめて、ステアリングに合わせた足回りの硬さに変更ができるとよいのですが。
ちなみに、Type SPモデルになると、ダブルピストンショックアブソーバーが標準装備され、乗り心地は改善となりますが、現行ベンツCクラスはエントリープレミアムクラスで世界初のエアサスペンションを採用、BMW3やレクサス ISも電子制御ダンパーを採用するなど、振動吸収の制御デバイスを織り込んできているのがトレンドです。廉価でオプション設定がなされていれば、なおよいかと感じます。
これは、ダイレクトアダプティブステアリングの操作感があまりにも滑らかであるため、比較的引き締められた乗り心地が不釣り合いだという意味です。
不整路面を走った際にステアリングから受ける入力は、ごくわずかなのですが、シートに座っている身体が上下左右に揺すられてステアリングを切ってしまう、そんなシーンがありました。
せめて、ステアリングに合わせた足回りの硬さに変更ができるとよいのですが。
ちなみに、Type SPモデルになると、ダブルピストンショックアブソーバーが標準装備され、乗り心地は改善となりますが、現行ベンツCクラスはエントリープレミアムクラスで世界初のエアサスペンションを採用、BMW3やレクサス ISも電子制御ダンパーを採用するなど、振動吸収の制御デバイスを織り込んできているのがトレンドです。廉価でオプション設定がなされていれば、なおよいかと感じます。
まとめ
V37スカイラインは、もはや国産車の平均レベルを優に超え、世界のTOPクラスと肩を並べ、部分的には追い抜くレベルにいます。とくに、このダイレクトアダプティブステアリングとアクティブレーンコントロールは、長く乗れば乗る程にその価値が分かってくるはず。今後は、より高度な運転支援技術(プロパイロット)の採用を望みます。
吉川賢一
モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。