3点式シートベルトの歴史|保安装備という偉大な発明品

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車のシートベルトといえば、肩と腰を固定する3点式が一般的です。いまやこの3点式以外のベルトを装着したことがあるという人は、相当のマニアの方ではないでしょうか?3点式シートベルトは、それぐらい世界で認められ採用されているスタンダードなのです。では、どうして3点式がスタンダードになったのでしょうか?

文・CarMe編集部
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3点式シートベルトの歴史:3点式以前の時代
3点式シートベルトの歴史:米研究者が発明、ボルボが発展
3点式シートベルトの歴史:ドイツでは偉大な発明品に数えられる

3点式シートベルトの歴史:3点式以前の時代

現在、クルマに乗車したらシートベルト装着が当たり前になっていますが、装着が義務化される以前は、シートベルトはあっても運転中に装着しているのは、わずかな人だけでしたし、それ以前はシートベルトの無い時代もありました。

シートベルトが普及するきっかけになったのは、1966年にアメリカで施行された連邦交通車両法と言われていますが、それ以前の1959年、ボルボは3点式シートベルトを市販車に装備しています。

それ以前のシートベルトは、腰まわりだけを押さえる簡素な2点式のもので、低速での衝突では乗員保護に役立つものの、高速域の場合、腰部分の負担が大きく、さらにフリーの上半身は、頭部がフロントガラスに叩きつけられるという欠点がありました。

ボルボの3点式シートベルトは、ニルス・ボーリンというエンジニアによって開発され、PV544に初めて搭載されました。同時に3点式シートベルトの特許も取得しましたが、ボルボが特許を無償公開したことで世界中に広まりました。

3点式シートベルトの歴史:米研究者が発明、ボルボが発展

じつは1955年、ボルボが3点式シートベルトを開発するよりも前に、世界で最初の3点式シートベルト”CIR-Griswold restraint”がアメリカの研究者によって発表されています。

開発者のひとり、Hugh DeHavenは第一次世界大戦のパイロットでもあり、そこから3点式シートベルトのヒントを得たと言います。しかし、両肩からお腹辺りまで2本のベルトを通し、腰ベルトに装着するという構造は、装着の手間や煩わしさが懸念され、市販車に装備されることはありませんでした。

このCIR-Griswold restraintをヒントに、ボルボのエンジニア、ニルス・ボーリンは新しい3点式シートベルトを開発します。ニルス・ボーリンのシートベルトは、着脱が容易なことと、腰や肩部分を押さえることで、体全体を守ることが評価され、1959年からボルボの市販車に採用されました。

3点式シートベルトの歴史:ドイツでは偉大な発明品に数えられる

エアバッグや自動ブレーキなど、自動車の安全技術はさまざまなものが開発され、今では標準装備となっているものも少なくありません。そのなかでニルス・ボーリンが開発した3点式シートベルトは、ドイツの特許登録機関によって1885年から1985年までの100年間におよぶ自動車の歴史において”人類に大きく貢献した8つのもっとも重要な発明”のひとつに選ばれています。

一見、単純に見えるシートベルトも、現在の形状にいたるには容易ではない苦労があったのです。その後、この3点式シートベルトは基本の形を変えずに、今日でも多くの人命を救い続けているのです。

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