公道で4点式シートベルトが違法になる理由

スバル シートベルト

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レーシングカーなどに採用されている4点式などのフルハーネスシートベルト。乗員をがっちりホールドしてくれる構造で、一見、安全そうに見えますが、じつは公道を走行する場合には必ずしも安全とは言えず、しかも違法なのです。4点式以上のシートベルトは、なぜ違法なのでしょうか。
Chapter
シートベルトに関する法規はどうなっている?
じつは3点式シートベルトのほうが安全
公道で4点式シートベルトが違反になる理由

シートベルトに関する法規はどうなっている?

現在、販売されているクルマで、ナンバー付きレースなどにエントリーしている車両をよく見ると、レース用の4点式などのフルハーネスシートベルトと、純正の3点式シートベルト、両方を装着しています。

これは、フルハーネスシートベルトと3点式シートベルトを、サーキットと公道で使い分けているためですが、どうして、そんな面倒かつ重量が増えてしまう改造をしているのでしょうか?

じつは、3点式シートベルトが純正で装備された現代のクルマの場合、4点式などのフルハーネスシートベルトを公道で使用すると違法になり、免許の減点対象(罰金はない)となってしまうからなのです。

シートベルトに関しては、クルマ全般の安全確保を規定している「道路運送車両の保安基準 第22条の3」のなかで、要件が詳細に定められています。

1)「衝突等による衝撃を受けた場合、乗員の前方への移動や過度の前傾を防止できること」
衝突時にハンドルやフロントガラスに頭部などが衝突しない、車外に放出されないように体を固定する必要があることを規定しています。 

2)「衝突等による衝撃を受けた場合、乗員に傷害を与えるおそれの少ない構造であること」
シートベルト反力によって人体(胸や内臓等)を圧迫しないように、適度にシートベルトが緩む構造が必要なことを規定しています。

3)「容易に脱着でき、かつ長さを調整できること」
緊急時にベルトが瞬時に脱着できることを規定しています。

4)「通常運行では、ベルト装着者が腰部および上半身を容易に動かしうる構造であること」
視界確保やインパネ等の操作ために、身体がある程度自由に動かせる構造が必要なことを規定しています。

じつは3点式シートベルトのほうが安全

現在、世界中で採用されているのは、左右の腰と片方の肩を固定する、3点式シートベルトです。重要なことは、3点式シートベルトには、ベルトをゆっくり引けば引き出せるけれど、はやく引き出そうとするとロックするELR(Emergency Locking Retractor:緊急ロック式巻き取り装置)が組み込まれていることです。

3点式シートベルトは、通常時はベルトの緩みを持たせつつも、非常時には乗員の身体が前方へ飛ばされないようにロックされます。さらに、各エアバッグと組み合わさることで、事故時の衝撃から、乗員を保護するように設計されています。

公道で4点式シートベルトが違反になる理由

サーキットやダートコースでスポーツ走行するクルマには、左右の腰と両肩で乗員を固定する、4点式以上のフルハーネスシートベルトが装備されています。

走行中、ドライバーに前後左右のGがかかっても、ドライバーが運転姿勢を維持することができ、操縦が乱れないようにするためです。また、万がいち大きなクラッシュをした際、ドライバーが車外へ放り出されないように、4点式以上のシートベルトの装着が必要なのです。

しかし、公道を走行する一般車に4点式などのシートベルトを装着すると、ある問題が発生します。1つ目は運転時に身体が自由に動かせないこと、2つ目は緊急時に容易にベルトが脱着できないこと、これは前述した「道路運送車両の保安基準第22条の3」の3)と4)に抵触します。

またさらに、身体をタイトに固定するため、エアバックもあまり役に立たないという問題も起こります。

私たちが日常的に使用している3点式シートベルトは、乗員の安全を最優先に考え、エアバッグとともに日々進化しています。誤った知識で、誤った使い方をしないように、皆さんも注意しましょう。

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