スリップストリームって本当に効果あるの?

スリップストリーム

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自動車レースのみならず自転車レースでも使用されるスリップストリーム。有名な技ではありますが、一体どんな現象やテクニックを意味するのでしょうか?また、本当に効果があるのでしょうか?もしかしたら我々一般ドライバーでも、使用可能なテクニックなのでしょうか?
Chapter
スリップストリームとは?
スリップストリームは本当に効果があるのか?
スリップストリームは誰でも使えるのか?

スリップストリームとは?

かつて80年代のジャンプ漫画の「よろしく!メカドック」のレースシーンでは、「俺のスリップストリームを破ってみろ!」「おぉぉ!マシンが後ろに引き寄せられるようだ!は、離れない!」などというセリフでスリップストリームが描写されていました。

セリフだけを聞いていると、ブラックホールをイメージするとんでもない現象のようにも思えます。はたしてスリップストリームとは何でしょう?それは、誰でも利用できるものなのでしょうか?

物理現象としてのスリップストリーム

結論から言えばスリップストリームは、物理現象およびそれを利用したドライビングテクニックです。

地球は大気で取り囲まれています。この大気は自動車にとっては目に見えない壁そのもの。この壁を車体前方で切り裂きながら、自動車は走行します。

高速走行時、車体によって切り裂かれた大気は、車体後部で急激にもとに戻ろうとします。少々大ざっぱですが、この現象がスリップストリームです。

ドラテクとしてのスリップストリーム

スリップストリームを発生させている車両の後部は、気圧が低く、空気抵抗が比較的少ない状態になります。

そこに後方から近づくと、ある距離から急激に前走車に引っ張られるような感覚を覚えるでしょう。前走車は、反対に後方に引っ張られます。これが、「おぉぉ!マシンが後ろに引き寄せられるようだ!は、離れない!」の理由です。

スリップストリームのなかでは、空気による抵抗が少ないので、アクセルの開度を緩めても、速度を維持することができます。これを利用して、勝負時にはアクセルを全開にして相手を一気に抜き去るドライビングテクニックが、モータースポーツ界でのスリップストリームの使い方です。

しかし、現代のモータースポーツは、空力付加物によって走行中のクルマを安定させているという面もあるので、スリップストリームを使うと、その効果が十分に発揮できなかったり、前走車の乱流に巻き込まれてハンドリングが不安定になるというデメリットもあるのです。

もしも我々一般人がスリップストリームを使用するなら、高速道路で前走車にピッタリと張り付き、「風よけ」として利用しつつ燃費を稼ぐことができそうですが、はたしてどうなのでしょう?

スリップストリームは本当に効果があるのか?

結論から言えば、あります。スリップストリームはレースだけではなく、高速道路の速度域でも発生します。

スリップストリームの発生要因には速度のほかに前走車の前方投影面積も関係し、どちらも値が増すとスリップストリームの発生範囲が広がります。

高速道で大型車がとなりを通過すると、小型車は引っ張られるような感覚を覚えます。これは大型車の車体に発生している負圧(スリップストリーム)の影響です。

スリップストリームは誰でも使えるのか?

では、スリップストリームは誰でも利用できるのか、といえば答えはノーです。というのもスリップストリームで燃費を稼ぐのであれば、前走車にかなり接近する必要があります。

どれ位接近したらよいのかというと、時速90km走行時で30m以内といわれます。そこまで接近すると、燃費はおよそ11%向上するという実験結果があります。

しかし、風よけ効果を狙って大型車の後方に付くのは、安全上おすすめできません。前方投影面積の大きな大型車の後方なら、確かにスリップストリームの効果は大きいのですが、吸引力も増大し追突事故の原因になります。普通車の視界では大型車の前方が見えないため、事故の原因となり得ます。

日本の高速道路を走行する際には、時速の数字と同じだけの車間距離を開けることが望ましいとされていますし、あまりに近づくと車間距離不保持違反に問われることになります。

スリップストリームは一般道で使用すると、交通事故につながりかねません。高度なドライビングテクニックを持ったレーサーだからこそ使える技、と割り切るのが無難ですね。
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