なぜプリウスPHVには4WD設定がないのか?

トヨタ プリウスPHV

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鮮烈な登場となったプリウスPHV。石原さとみさんを採用したTVCMも頻繁に目にするようになり、トヨタの本気度が伝わるモデルでもあります。現在、このプリウスPHVは2WDモデルのみのラインナップ。本家プリウスには、4WD仕様もあるのですが、これはどういった理由なのでしょうか。
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4WDを用意していないプリウスPHV…
プリウスの4WD機構を考える
プリウスPHVに4WD仕様は出るのか?

4WDを用意していないプリウスPHV…

新型となったプリウスPHVをチェックしてみると、Sグレード、Aグレードともに2WDのみのラインナップとなっています。通常のプリウスには4WDグレードもあるのですが…。

とにかく、まずはプリウスの4WDモデル、HV4WD(E-Four)仕様の燃費をチェックしてみましょう。

JC08モード燃費は34km/Lと非常に優秀な数値。とはいえ、若干2WDモデルより劣ることも事実です。4WDは2WDと比較して燃費が悪化する、というのは定説ですが、そうした理由でPHVは4WDを見送ったのでしょうか?

プリウスの4WD機構を考える

通常、FFベースの4WD機構であれば、プロペラシャフトはもちろん、トランスファーやカップリング、リアデフ、補器類などによって、重量増を招きます。

加えて言えば、エンジンの動力を後輪に伝えるまでに、どうしてもロスが発生します。これが燃費の悪化の原因になっているのです。

つまり4WDの燃費悪化は、「補器類による重量増加」と「プロペラシャフト等による駆動ロス」がおもな理由です。

プリウスの場合でも、2WD仕様よりも追加リアモーターとバッテリーの分で約70kgの重量増となっています。

しかし、おおよそ男性一人分の重量増にとどめ、若干の燃費低下のみとしているのは、プロペラシャフトを介さないでモーターを直接リアに配する「E-Four」機構の恩恵といえます。

プリウスPHVに4WD仕様は出るのか?

こうして考えてみると、プリウスの4WD機構は駆動ロスと重量増を最小限にとどめており、環境性能も両立させることが可能。つまりPHVという環境性能に特化したパッケージであれ、4WDをラインナップしても良いのではないか、ともいえるのです。

しかし、です。プリウスPHVの構造をチェックしてみると、リア部に大容量化されたリチウムイオンバッテリーが塔載されています。居住性を損なわずに大型バッテリーを搭載するための措置ですが、E-Four機構を搭載する場合、モーター、コンバーター等を配置しなければならない場所となります。

そう考えると、現状ではPHVにE-Fourユニットを搭載するにはレイアウト上の問題がある、と結論付けられるのではないでしょうか。

加えて言えば、環境性能も低下するという事実もあるので、あえて4WD仕様をラインナップしなかった、ともいえそうですね。
とはいえ、新型となったPHVは航続距離、最高速ともに目覚ましい進歩をしています。

これはバッテリー性能の向上に支えられている側面も大きく、さらにバッテリーが小型化されれば、既存プラットフォームでもE-Fourユニットの搭載が可能になるかもしれません。

今後、雪国のユーザーなどから多くのニーズがあれば、4WD仕様が姿を現す可能性は充分にあるといえますね。

なぜなら、プリウスPHVのキャッチフレーズは「すぐ普通になる。今は特別なプリウス」という実に素敵なものなのですから。


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