トヨタの次世代車両技術「TNGA」とは?

トヨタ プリウス

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台数や収益といった本来結果であるべきものがいつの間にか目的になってしまい、「誰のために、何のために、車を作るのか?」という自分たちの使命を忘れていたのではないか。そんなトヨタ社長の豊田章男氏自身による反省から生まれたのが、クルマづくりの新しい設計思想「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)」です。その思想に基づいて生まれた第1号モデルが新型プリウスでした。
Chapter
TNGAとは何なのか?
TNGA第1号となった新型プリウスの特徴
「乗り降りと運転のしやすさ」という基本に立ち返る
販売台数世界一の座を死守するために…

TNGAとは何なのか?

TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)とは、トヨタの新しいクルマづくりの設計思想のことです。

それは、モジュール化された開発や人材の育成、製品の品質だったりと、自動車開発にまつわるすべてのことに関係しています。

プラットフォームの共用は、他メーカーで積極的に行われていますが、TNGAはそういった技術の名前ではないのです。

TNGA第1号となった新型プリウスの特徴

2015年12月に発売された新型プリウスは、TNGAを全面的に採用した初めてのモデルです。

エンジンの改良と、機械的なロスを約20%低減した新しいパワートレーンの採用により、JC08モードで40km/Lの燃費を達成しました。

衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」や、安全運転支援システム「ITS Connect」を導入して、安全性を高めています。さらに雪道での発進アシストなどを行う電気式4WDの「E-Four」を導入してプリウス初の4WDモデルも設定されています。

注目は、駆動用バッテリーの搭載位置の変更です。従来はラゲッジスペースのフロア下に配置されていましたが、新型ではリアシートの下に移動しています。 これにより、バッテリーという重量物が車の中央寄りの低い位置に搭載されることになり、走行性能、ラゲッジスペース容量などが向上しました。

新システムの導入だけでも注目されるのですが、このバッテリーの位置変更こそがTNGAの成果と言えるかもしれません。

「乗り降りと運転のしやすさ」という基本に立ち返る

トヨタが狙ったのは、乗り降りや運転のしやすさを追求した車の開発です。

具体的には、車の低重心化と各部品の低配置化、乗車時のベストな姿勢の確保、そしてその徹底した標準化でした。

重心の高い車は走行中のロールやピッチが激しくなるため、スタビライザーなどの対策が必要になります。

しかし、スタビライザーで足回りを固めれば、路面の小さな凹凸などでの乗り心地に悪い影響が出ます。結果として、重心の高い車は運転しにくく、同乗者にとっても乗り心地が悪くなってしまうのです。

さらに高い重心への対策は、デザインの自由度を奪うことにも繋がります。運転が楽しく、同乗者の不評も買わず、自由なデザインを行うためには、低重心化が欠かせないのです。

最適なドライビングポジションに合わせた各部品の配置の見直しと合わせて、これをトヨタの中で統一基準として、どのモジュールでも採用する標準化を行いました。

つまりTNGAに基づき、これから開発するすべての車において、ドライバーにも同乗者にも快適なドライブを約束する、というのが狙いです。

販売台数世界一の座を死守するために…

TNGAを導入する上で、トヨタ自身によるひとつの反省がありました。

トヨタはこれまで販売台数世界一を狙い、利益を上げることに血道を上げてきましたが、それがいつしか売ることが目的となり、誰のために、何のために車を作るのか、という自動車メーカーの目的を置き去りにしてしまったのです。

とにかく売れる車を作り続けた結果、プラットフォームと構成部品が必要以上に多種多様化してしまい、開発費が高騰してしまいました。

そこで、開発体制と車づくりの方向性の大きな転換を図り、部品調達もトヨタ規格から、他のメーカーでも世界的に採用している標準部品を採用するなど、大幅な見直しを図りました。
TNGAの導入で、トヨタ自身の事情をユーザーに押し付けるのではなく、ユーザー目線に立った車づくりへと、大きく転換していくことになります。

その第一号が新型プリウスであり、最新のモデルが2016年12月に発売されたC-HRなのです。

トヨタの最終的な狙いは、販売台数世界一の座を死守することです。その戦いに打ち勝つための、TNGA導入ということなのですね。

ここにはユーザーへの恩恵を第一に考えることが、トヨタにとっても利益になるという計算が働いています。ユーザーにとっても良い話なので、今後もTNGA思想で生まれるニューモデルを楽しみにしたいですね。


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