ホンダ「WR-V」のライバル、トヨタの「ヤリスクロス」と徹底比較してみた!【プロ徹底解説】

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2024年3月に発売されたホンダのコンパクトSUVである「WR-V」。「フィット」と同じプラットフォームを使う、いわゆるBセグメントのSUVとなります。その最強のライバルとなるのが、トヨタの「ヤリスクロス」。この2台のライバルの内容を徹底比較します。

文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
2台の成り立ちとコンセプト
サイズとデザインを比べてみると
パワートレインはどう違う
室内空間や荷室の大きさは?
先進運転支援システムは、どっちが充実している?
2台の価格を比較

2台の成り立ちとコンセプト

ホンダのコンパクトSUV「WR-V」は、「フィット」と同じプラットフォームを使用していますが、まったくの新しい世界戦略車として誕生しました。発売は2024年の3月となります。そのコンセプトは「VERSATILE FREESTYLER(バーサタイル・フリースタイラー)」というもの。
既成概念や固定概念にとらわれずに、より自由な発想で自分らしい生き方を表現する人々の思いに寄り添うクルマとなることを目指して開発されています。
一方、トヨタの「ヤリスクロス」は、「ヤリス」のプラットフォームを使って、その「ヤリス」の派生モデルとして生まれました。こちらの発売は2020年8月となります。こちらのコンセプトは「ヤリスならではの軽快な走りや先進の安全・安心技術、低燃費を受け継ぎつつ、新時代に求められる利便性にとどまらない、コンパクトSUVの新たな価値を追求することを目指す」と説明されています。

サイズとデザインを比べてみると

まずはサイズから比較してみましょう。「WR-V」は全長4325×全幅1790×全高1650㎜にホイールベースが2650㎜となります。車両重量が1210~1230㎏となります。
一方、「ヤリスクロス」の寸法は、全長4180×全幅1765×全高1590㎜でホイールベースが2560㎜です。車両重量は、1110~1190㎏。サイズを見ると、全長も全幅も全高もすべてで「WR-V」の方が大きくなっています。その分、車両重量も「WR-V」の方が重いのが特徴です。

デザイン的には、「WR-V」は高いボンネットと大きなグリル、スクエアなキャビンからなる、大きくて信頼感溢れるもの。実際の寸法よりも、より大きな車格を感じることができます。
一方、「ヤリスクロス」は、「ヤリス」のイメージを濃厚に残した鋭い顔つきで、アジリティの良さが表現されています。大きいというよりも、軽快さや俊敏さを感じさせるデザインです。

パワートレインはどう違う

パワートレインは、どのような違いがあるのでしょうか?
「WR-V」のパワートレインは、1.5リッターの4気筒自然吸気ガソリン・エンジンとCVTを組み合わせたFF駆動車のみ。非常にシンプルな構成です。スペックは、最高出力が87kW(118PS)・最大トルク142Nmで、燃費性能が最高16.4km/l(WLTCモード)となります。
「ヤリスクロス」は、1.5リッターの3気筒自然吸気ガソリン・エンジンとCVT、そして同じ1.5リッター3気筒エンジンを使うハイブリッドの2種類。しかも、それぞれにFFと4WDを揃えます。エンジン車は通常のドライブシャフトを使う4WDですが、ハイブリッドの4WDは後輪駆動をモーターに任せるE-FOURとなっています。

スペックはエンジン車が、最高出力88kW(120PS)・最大トルク145Nmで、燃費がFFで最高19.8km/l(WLTCモード)、4WDで最高18.4km/l(WLTCモード)。ハイブリッド車は、システム最高出力85kW(116PS)で、燃費はFFが最高で30.8km/l(WLTCモード)、4WDが最高で28.7km/l(WLTCモード)となります。

エンジン車もハイブリッドも出力は、「WR-V」も「ヤリスクロス」もほとんど変わりませんが、燃費性能では「ヤリスクロス」が上回っています。

室内空間や荷室の大きさは?

2台はコンパクトSUVではありますが、どちらも利便性の良さを売りにしています。まずは、室内寸法は、どのような違いがあるのでしょうか? 「WR-V」の室内寸法は、室内長1955×室内幅1460×室内高1280㎜。一方、「ヤリスクロス」は、室内長1845×室内幅1430×室内高1205㎜。寸法を見ると、「WR-V」の方が大きいようです。
荷室容量はどうかと言えば、「WR-V」は458リッター。それに対して「ヤリスクロス」は390リッター。


荷室の広さでいえば「WR-V」が圧勝です。ただし「ヤリスクロス」は、シートが4:2:4の3つに分割して倒すことができます。それに対して「WR-V」は6:4分割です。また、「ヤリスクロス」は、6:4分割アジャスタブルデッキボードによってラゲッジ床面の高さを2段階に変化させることが可能。さらに、「ヤリスクロス」は足先をバンパー下に入れると自動でバックドアを開閉できるハンズフリーパワーパックドアも用意されています。

容量では、負けていますが、機能面では、「WR-V」にないものを数多く用意しています。

先進運転支援システムは、どっちが充実している?

「WR-V」に搭載される先進運転支援システムは、ワイドビューカメラとソナーを使ったホンダセンシングです。政府が主導するサポカー制度では最上位の「サポカーS<ワイド>」に認定されるなど、最新モデルならではの高い安全性を誇ります。機能面で残念なのが、電制パーキングブレーキを備えていないこともあり、高速道路でのアダプティブクルーズコントロールACC)が、時速30㎞以下でキャンセルされてしまうことでしょう。

「ヤリスクロス」の先進運転支援システムは、単眼カメラとミリ波レーダーを組み合わせるトヨタセーフティセンス。こちらも同じく「サポカーS<ワイド>」となっています。ただし、こちらのアダプティブクルーズコントロールACC)は、渋滞時も作動し、停止までをカバーします。さらに、高速道路での斜め後ろの死角をカバーするブラインドスポットモニターや、駐車の後退時に自車の左右から近づく他車などを検知するパーキングサポートブレーキ(後方接近車両/後方歩行者)を装備。トヨタのコンパクトSUVとして初となるトヨタチームメイト「アドバンストパーク(パノラミックビューモニター付き)」を装備しており、駐車におけるステアリングとアクセルとブレーキのすべてをシステムがサポートする機能も備わっています。

先進運転支援システムの内容的には、「ヤリスクロス」が上と言っていいでしょう。

2台の価格を比較

「WR-V」の価格は、209万8800円~248万9300円となります。すべてが1.5リッターのエンジン車でFFとなります。
「ヤリスクロス」は、1.5リッターのエンジン車のFFで、190万7000円~257万1000円。エンジン車の4WDが213万8000円~278万2000円。ハイブリッドのFFが229万5000円~295万4000円、4WDが252万6000円~315万6000円となります。

エンジン車のFF同士を比較すると、「ヤリスクロス」の方がエントリー価格は安くなりますが、上位グレードは「ヤリスクロス」の方が高くなっています。また、「ヤリスクロス」の4WDやハイブリッドは、エントリー価格は「WR-V」と被っていますが、上位グレードはより高い価格付けです。
2車の価格を比較するときは、グレードごとの内容に注目する必要があるでしょう。
「WR-V」と「ヤリスクロス」を比較すると、SUVらしいユーティリティでは「WR-V」が勝り、パワートレインの多彩さや先進運転支援システムの充実度で「ヤリスクロス」が上回ります。価格は、全体に「ヤリスクロス」の方が、幅広い価格帯となっています。
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