ホンダ「WR-V」を試乗インプレッション!【プロ徹底解説】広くてシンプルな室内と軽快な走りが魅力

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2024年3月に発売されたホンダの新型コンパクトSUVである「WR-V」。その走りはどのようなものなのでしょうか? エントリーグレードとなる「X」を借り出して試乗をしてみました。どんなクルマなのかを解説します。

文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
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コンパクトだけど見栄えは十分
ちょっと懐かしく、そして広々とした室内
車両の軽さを実感できる軽快な走り

コンパクトだけど見栄えは十分

ホンダの新型SUV「WR-V」に使われているプラットフォームは「フィット」や「ヴェゼル」と同じものとなります。ボディの寸法は全長4325×全幅1790×全高1650㎜。つまり、Bセグメントに属する、いわゆるコンパクトSUVに属するモデルとなります。

とはいえ、現実の「WR-V」を前にすると、それほど“コンパクト”であるという気がしません。フロントのボンネットは高く、垂直に立った大きなグリルとつながっていますし、スクエアなキャビンもあってか、大きな存在感を放ちます。車幅が1790㎜もあるので、3ナンバー枠になりますし、全高は「ヴェゼル」よりも高くなっています。この堂々としたスタイルは、「WR-V」の大きな魅力となります。

ちなみに、エントリーグレードの「X」のホイールは16インチのスチール。上位グレードは17インチのアルミホイールですから、その部分はちょっと寂しい部分となります。

ちょっと懐かしく、そして広々とした室内

「WR-V」の運転席に収まると、目の前には大きな2眼のメーターがあり、手元には大きなセレクトレバーと、サイドブレーキレバーが備えられています。最新モデルの多くが、フル液晶メーターとスイッチセレクター、電制パーキングブレーキを採用していることを考えると、「WR-V」のこれらの装備はある意味、古色蒼然としたもの。ただし、使い勝手が悪いわけではありません。こうした部分をコストカットしたことで、209万8800円~248万9300円というお手頃価格を実現したととらえれば、納得の内容とも言えます。
また、室内空間の広々感も「WR-V」の大きな魅力です。後席は足元が広いだけでなく、頭上空間もたっぷり。スクエアなキャビンが生み出す、荷室の458リットルという容量の大きさも「WR-V」ならではの部分。
荷室だけであれば、兄貴分である「ヴェゼル」よりも広いのです。ただし、後席シートバックを前に倒したとき、ラゲッジ床面とシートバックが、まっ平にならないのは、ちょっと残念な部分でした。

車両の軽さを実感できる軽快な走り

走り出すと、クルマの軽さを実感できます。エントリーの「X」グレードは1210㎏。これに1.5リッター4気筒自然吸気エンジンの87kW(118PS)・最大トルク142Nmのパワーは、必要十分といったもの。トランスミッションはCVTとなりますが、「エンジン回転数が先に上がって、加速は後から」なんていう、古いCVTの悪癖は一切ありませんでした。アクセルを踏めば、すぐにトルクが発生して、ぐいぐいとクルマを加速させます。アクセル全開にすると、まるで有段ATのように、エンジン回転数が階段状にアップしてゆきます。
ものすごく早いわけではありませんが、軽快な加速を味わうことができました。
また、ステアリングにはパドルシフトがあり、有段ATのようなシフトダウンも可能としています。これを使いこなすことで、強いエンジンブレーキや強い加速を、さっと引き出すこともできます。限られたパワーを使い切って走る楽しさがあります。

ハンドリングは、安定志向が強めのようです。鼻先からグイグイと曲がっていくのではなく、ゆったりと向きをかえてゆきます。乗り心地は、ロングホイールベースならではのフラット感があります。スポーティ度は低いかもしれませんが、SUVとしては適切なゆったり感ではないでしょうか。

ちなみに静粛性は、ほどほど。エンジン音や風を切る音を耳にしながらのドライブとなりました。
今回、試乗した「WR-V」はエントリーとなる「X」グレードでした。「WR-V」の中でも、最も安価な209万8800円というクルマです。他グレードと比べると、ホイールは小さな16インチのスチールですし、本革巻きのステアリングなどもありません。ある意味、質素な内装となりますが、パワートレインや先進運転支援システムは上位とかわりません。もちろん広い室内空間も同じ。それでいて、走りは軽快で、非常にポジティブ。結論的には、ものすごいコスパの良いクルマだと感じる試乗となったのです。
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