ホンダ「WR-V」とホンダ「ヴェゼル」を徹底比較!!【プロ徹底解説】サイズは近いけれど、内容的には大きな違いがある!?

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2024年3月にホンダは新型コンパクトSUVである「WR-V」を発売しました。ここで気になるのは、すでにホンダが発売している、同じコンパクトSUVである「ヴェゼル」とはどう違うのかということ。「WR-V」と「ヴェゼル」を徹底比較してみました。

文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
「WR-V」と「ヴェゼル」のコンセプトの違い
サイズとプロポーションの違い
室内空間と荷室の違い
パワートレインの違い
先進運転支援システムの違い

「WR-V」と「ヴェゼル」のコンセプトの違い

「WR-V」は、「VERSATILE FREESTYLER(バーサタイル・フリースタイラー)」をグランドコンセプトに掲げています。ホンダ曰く「固定概念にとらわれずに、より自由な発想で自分らしい生き方を表現する人々の思いに寄り添うクルマを目指した」と説明しています。
英語のコンセプトがあるように、「WR-V」は日本だけでなく世界をターゲットにした世界戦略車であり、日本ではインドで生産された製品が輸入・販売されています。価格は、209万8800円~248万9300円。割安感があるのが特徴です。
一方、「ヴェゼル」は、2013年に初代モデルが誕生しました。SUVでありながら、クーペのパーソナル性とミニバンの使いやすさをクロスオーバーするモデルとして世界中で大ヒットを飛ばします。そうした成功を踏まえて誕生したのが第2世代モデルであり、日本では2021年4月より発売となりました。
新世代モデルのコンセプトは「AMP UP YOUR LIFE(アンプ・アップ・ユア・ライフ)」というもの。ホンダは「日常生活の質の向上を重視する、アクティブで新しいものにオープンな人に向けて、実用性だけでなくプラスアルファの体験価値を提供することを目指して開発した」と説明します。

また、「ヴェゼル」は、2024年4月にマイナーチェンジを実施。内外装を変更しています。そして価格は264万8800円~377万6300円となりました。「WR-V」よりも上の価格設定になります。

サイズとプロポーションの違い

2台のサイズ感はどれほど違うのでしょうか。まず、「WR-V」の寸法は、全長4325×全幅1790×全高1650㎜で、ホイールベースは2650㎜となります。一方、「ヴェゼル」は全長4340×全幅1790×全高1590㎜で、ホイールベースが2610㎜。2車を比べると、全幅は同じで、全長はわずか15㎜だけ「ヴェゼル」が長く、ホイールベースは「WR-V」の方が40㎜長くなっています。全高は「WR-V」が60㎜も高くなっています。
サイズは近いものがありますが、横から見たスタイルは、2台で大きく異なります。「WR-V」スクエアなキャビンを持つのに対して、「ヴェゼル」の後ろ側はなだらかに下がったクーペ風のファストバックスタイルになっているのが特徴です。

室内空間と荷室の違い

スクエアなフォルムと長いホイールベースを持つ「WR-V」に対して、ファストバック風な「ヴェゼル」。その室内空間と荷室は、どれだけの違いがあるのでしょうか。
室内寸法を比較すると「WR-V」は、室内長1955×室内幅1460×室内高1280㎜。
「ヴェゼル」は室内長2020×室内幅1445×室内高1225㎜意外にも、室内長は「ヴェゼル」が長くなっていますが、高さはやはり「WR-V」の方が上。荷室容量でも300リッターそこそこの「ヴェゼル」に対して、「WR-V」は458リッターもあり、大きく上回っています。

パワートレインの違い

「WR-V」は、最高出力87kW(118PS)・最大トルク142Nmの1.5リッター4気筒自然吸気エンジン+CVTのみ。駆動方式もFFだけ。燃費性能は、最も軽量なエントリーの「X」グレードで16.4㎞/l(WLTCモード)になります。車両重量は1210~1230㎏。

一方、「ヴェゼル」には、2つのパワートレインと、FFと4WDという2つの駆動方式を選ぶことができます。パワートレインは1.5リッター4気筒自然吸気エンジンのエンジン車とハイブリッドの2つ。
エンジン車はCVTとの組み合わせで、最高出力87kW(118PS)・最大トルク142Nm。エンジン車は4WDのみとなり、燃費性能が15.0㎞/l(WLTCモード)となります。
ハイブリッドは駆動用モーターの最高出力が96kW(131PS)・最大トルク253Nm。FFと4WDがあり、燃費はFFで最高26.0km/l(WLTCモード)、4WDで21.5km/l(WLTCモード)。車両重量がエンジン車で1320㎏、ハイブリッドのFFが1350~1380kg、4WDが1430~1450㎏になります。

エンジン車の出力は「WR-V」と「ヴェゼル」は同じ。FFの「WR-V」に対して「ヴェゼル」は4WDという違いがあります。
ハイブリッドは「ヴェゼル」のみ。こちらは、「WR-V」よりもパワフルかつ低燃費。パワートレインの性能は、「ヴェゼル」が一段上となっています。

先進運転支援システムの違い

先進運転支援システムは「WR-V」も「ヴェゼル」も同じホンダセンシングです。どちらも、セーフティサポカー制度での最上位となる「サポカーS<ワイド>」を獲得しています。また、センサーは、どちらも単眼カメラとソナーという組み合わせを採用します。

ただし、機能面では「ヴェゼル」の方が充実しているようです。高速道路などで使用するクルーズコントロールACC)は、「WR-V」が時速約30㎞以下でキャンセルになるところ、「ヴェゼル」では停止まで行う渋滞追従機能が備わります。また、グレードごとに装備が異なりますが、「ヴェゼル」には、斜め後ろの死角の他車両を認識するブラインドスポットインフォメーションや、曲がるときに進行方向をより広く照らすLEDアクティブコーナーリングライト、後退時に側面から接近する他車の存在を知らせる後退出庫サポートなどの機能が追加されています。
「WR-V」と「ヴェゼル」を比較してみれば、意外に、大きさにそれほどの差がないことに気づきます。ただし、スクエアな、いかにもSUVらしい「WR-V」に比べて、「ヴェゼル」はクーペ的なファストバックなスタイルをしているのも大きな違いです。そして、パワートレインは、エンジン車のFFだけという「WR-V」に対して、「ヴェゼル」はエンジン車とハイブリッドがありFFだけでなく4WDも選べることになります。そうした違いが、価格帯で「ヴェゼル」が完全に上という結果につながっているのでしょう。
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