なぜタイヤに窒素を入れるのか?果たして本当に効果はある?

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タイヤ交換時に、窒素ガスの充填を薦められたことはありませんか?これ、本当に言われるほどの効果があるのでしょうか。有名店などでは1本540円の料金で、4本に充填するなら2,160円増しということになりますが、はてさて、その見返りとは…。
Chapter
メリットはいろいろ謳われています
走ってみてどうか?
保管してみてどうなのか…
タイヤに窒素・・・こんなところに起源が

メリットはいろいろ謳われています

タイヤへの窒素ガス充填メリットは、さまざまあると喧伝されています。その中でも、以下の3つを取り上げましょうか。

1、漏れにくく適性内圧を保つ
これは安全性にもかかわる項目ですよね。タイヤの内圧低下に気がつかないまま走行して、危ない目にあってしまうことも減るかもしれません。また燃費の観点からもメリットがあるといわれます。

2、タイヤの劣化軽減
窒素ガスは水分を含まず、タイヤやホイールの酸化や腐食を抑えると言われています。とくにタイヤの劣化は路面との磨耗によるものだけではありませんから、これはちょっと無視できない項目かもしれません。

3、ロードノイズ低減
これは窒素ガスの特性として、音を伝えるのに時間がかかるという部分が物を言っているようです。タイヤ部分、あるいは窒素ガスの部分である程度音を抑えてくれているなら快適性にも多少ならず影響はありそうです。

走ってみてどうか?

さて、それまで空気をタイヤに入れていたクルマが、タイヤ交換時に窒素ガスに変更したその場に居合わせ、乗り比べたことがあります。

確かにロードノイズは、小さくなったようでした。さらに、転がりもよくなったし、スピードの伸びも良い感じです。だけどこれはニュータイヤ効果、そんな印象でした。

保管してみてどうなのか…

窒素ガス単体の評価はとても難しいです。むしろ、使ってみて本当に抜けない傾向にあるのかどうか、そのあたりは長期保管で感じる人が多いようです。

スタッドレスタイヤなどに窒素ガスを充填しておくと効果がある、ということはよく言われます。従来の空気を充填するよりも減らない、という感想は一人ならず複数の方から聞いています。

また、通常充填する空気内には、酸素が2割ほど混じっています。酸素と比較して、窒素は飛んでいる電子の軌道半径が大きいため、ゴムのすき間を通って外部に出にくい性質があります。このような性質を持つ窒素ガスに対して、酸素がゴムのすき間を通ってもれる割合が高いので、通常のエアを充填したタイヤに比べ、窒素ガスを充填したタイヤは空気圧が低下しにくくなります。

ただ「窒素ガスには水分が少ないから劣化が少ない」に関しては、これは相当な期間使ってみないとわからないですよね。なにせ、タイヤは消耗品ですからタイヤ自体の劣化より磨耗で交換するタイミングのほうが早いという傾向が少なからずあります。

実際のところ2,000円前後からの出費に見合う費用対効果があるのかと問われて、明確にお答えできるだけのものはないのですが、それは、やはり同一条件比較が難しいことがありますよね。

タイヤ屋さんでお勧めされて、じゃあ入れてみようか、という感覚でお入れになることも多いのではないかと思います。しかし、「抜けにくい」はあるのかもしれませんが、それ以外については「気分の問題」的な部分が小さくないような気がします。

またデメリットとして、後日の空気圧調整や充填に窒素ガスが必要になってくる、というのは当然のこと。設備のない店や、不意に普通のエアと間違われてしまうこともあるようですから注意が必要です。

それよりも水分が少ないメリットは、空気圧の変化に表れます。窒素ガスは、水分が少なく、タイヤの空気圧変化が少なくなります。F1やレーシングカーで、窒素が使われていると言われるのは、これが理由です。

タイヤに窒素・・・こんなところに起源が

実はこの「タイヤに窒素」説、起源は意外なところにありました。それは、航空機がタイヤに窒素を充填している、ということです。

航空機のタイヤというのは自動車のタイヤとは異なってまず、充填内圧が自動車の5倍にもなるのだとか。しかも使用環境が、地上の温度から上空数千メートルまで、一気にかなりの温度差を経験します。このとき、通常の空気にをタイヤに充填していると、内部の水分が伸縮を起こし、タイヤの内圧を変化させます。

つまり適正内圧で飛んだはずが、上空で内圧が低下してしまうのです。そしてそのまま降下、着陸すると非常に危険。そのため、航空機用タイヤは窒素ガスを充填しているそうです。内圧の変化が少なければ、タイヤも変形しにくいので、性能を維持しやすい。そんな事情から、ではモータースポーツにも、という着想になっていったものと思われます。

確かに、自動車のタイヤに窒素を充填して悪いことはなさそうですが、そこはそれ、あまり過度に期待を持たずに、航空機にも使用されているちょっとした贅沢、程度に思っておかれるのがよろしいのかな・・・それが今回の結論です。
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