救急車のベースになっている車種5選!ハイエースだけじゃない現場で選ばれるクルマたち

救急車
街で見かける救急車といえば、白いボディに赤いラインが入った、あのおなじみの姿を思い浮かべる人が多いはずです。
ただ、救急車は最初からあの形で作られているわけではありません。商用バンやマイクロバス、大型トラックなどをベースに、救急の現場で使えるよう架装されたものがほとんどです。

また、普段よく見る救急車(高規格救急車)だけでなく、災害対応用の大型車両、狭い道でも動きやすい小型タイプ、医師が現場へ向かうためのドクターカーまで、その種類はさまざまです。東京消防庁でも、一般的な救急車のほかに、スーパーアンビュランスや小型救急車、電気救急車などを案内しています。

ここからは、現場で選ばれてきた代表的な車種を見ていきます。

CARPRIME編集部

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Chapter
救急車のベース車両とは?
救急車は1種類ではない
1. トヨタ ハイエース系(ハイメディック)
2. 日産 キャラバン系(パラメディック)
3. トヨタ コースター級のマイクロバス系車両
4. 小型バン・軽ワンボックス系(小型救急車)
5. 大型トラック系車両(スーパーアンビュランス)
いまは電動化した救急車も出てきている
同じように見えて、役割はそれぞれ違う

救急車のベース車両とは?

救急車は、最初から完全な専用車として作られているものばかりではありません。
多くは市販の商用車やバン、バス、トラックなどをベースに、ストレッチャーの搭載や医療機器の設置、車内で処置しやすいレイアウトなど、救急活動に必要な装備を加えて作られています。

この土台になる車両が、いわゆるベース車両です。

とはいえ、ただ広ければいいわけではありません。傷病者を安全に搬送できること、必要な資器材を無理なく積めること、出動が重なっても安定して使えること、整備しやすいことなど、求められる条件は意外と多くあります。地域によっては、雪道や細い道への対応も欠かせません。

消防庁の調達関連資料でも、高規格救急自動車では駆動方式や搭載資器材、保守対応などが重視されています。

救急車は1種類ではない

私たちが普段いちばん目にするのは、高規格救急車です。
救急救命士が乗り込み、搬送中の処置にも対応できる、いわば一般的な救急車です。

ただ、現場で必要とされる車両はそれだけではありません。災害時には、現地で救護所としても使える大型車両が必要になることがありますし、山間部や住宅密集地では、大きな救急車では入りにくい場所もあります。さらに、医師を現場へ急行させるためのドクターカーもあります。

救急車とひと口にいっても、ベースになっているクルマはひとつではありません。ここからは、現場で選ばれてきた代表的な車種を見ていきます。

1. トヨタ ハイエース系(ハイメディック)

まず外せないのが、トヨタの高規格救急車「ハイメディック」です。
ハイエース系をベースにした救急車として知られていて、全国で広く採用されてきた代表的なモデルです。2024年には一部改良も行われており、いまも主力の一台であることに変わりありません。

ハイメディックの強みは、やはりバランスの良さです。
救急隊員が動きやすいだけの車内空間があり、資器材も無理なく積める。さらに、商用車ベースならではの耐久性や整備性も備えています。毎日確実に動くことが求められる救急車にとって、こうした扱いやすさは大きな武器です。

以前はトヨタテクノクラフトが架装を担っていましたが、現在はトヨタカスタマイジング&ディベロップメントの救急車Webで案内されています。

2. 日産 キャラバン系(パラメディック)

ハイメディックと並んで押さえておきたいのが、日産の「パラメディック」です。
2018年にはフルモデルチェンジが行われ、NV350キャラバンのスーパーロング・ワイドボディをベースにしたモデルが投入されました。

パラメディックの強みも、単に広いだけではありません。
搬送中の処置を想定した室内空間があり、必要な機材も積みやすい。さらに、商用バンベースならではの扱いやすさも備えています。

一般的な知名度ではハイメディックのほうが思い浮かびやすいかもしれません。
ただ、救急車のベース車両として見れば、パラメディックも外せない一台です。

3. トヨタ コースター級のマイクロバス系車両

他にも、救急車のベースとして使われる車両があります。それが、コースターのようなマイクロバス級の車両です。

東京消防庁でも、特殊救急車としてマイクロバス型車両を案内しています。こうしたタイプは、通常の高規格救急車よりも広い車内を活かし、多人数対応や特殊用途で使われています。

このクラスの車両が選ばれる理由は、やはり車内空間の広さです。
ワンボックスでは難しいレイアウトが取りやすく、医療スタッフや資器材もより多く搭載しやすい。もちろん、車体が大きいぶん取り回しでは不利になりますが、それでも広さが必要な現場では大きな強みになります。

普段はあまり見かけませんが、救急の現場ではこうしたマイクロバス系の車両も重要な役割を担っています。

4. 小型バン・軽ワンボックス系(小型救急車)

すべての現場に、大きな高規格救急車が向いているわけではありません。
狭い住宅街や山間部、幅の限られた道路では、小回りの利く小型車両のほうが力を発揮することもあります。

東京消防庁でも、小型バンをベースにした小型救急車を案内していて、狭い道路や山岳地帯での活動を想定した車両としています。

このタイプが選ばれる理由はシンプルです。
大きな車両では入りにくい場所にも向かえるからです。積載量や車内の広さでは標準的な高規格救急車に及ばない部分もありますが、現場に早く確実にたどり着けること自体が大きな強みになります。

地域によっては軽ワンボックスベースの事例も見られますが、ここでは「小型救急車」と捉えるほうが実情に近いでしょう。救急の現場では、小ささそのものが強みになる場面もあります。

5. 大型トラック系車両(スーパーアンビュランス)

そして、災害対応を語るうえで外せないのが、スーパーアンビュランスです。
一般的な救急車というより、患者搬送と現地救護の両方を担う特殊救急車といえます。

東京消防庁によると、スーパーアンビュランスは車体を左右に拡張することで最大約40㎡の床面を確保でき、最大8床のベッドを備えることができます。つまり、単に大きいだけの救急車ではなく、現場で救護所としても機能する車両です。

こうした車両のベースに大型トラック系が使われるのは、やはり理由があります。
求められるのは速さだけではなく、広い空間と積載力、そして災害現場での運用に耐えられる構造です。

普段はあまり見かけませんが、大規模事故や災害時には、こうした車両があるかどうかで現場対応の幅が大きく変わってきます。

いまは電動化した救急車も出てきている

近年は、救急車の世界でも電動化の動きが出てきています。東京消防庁は、排出ガスゼロのEVベース車に架装を施した電気救急車を運用していて、飛沫感染防止対策や電動ストレッチャーの採用も案内しています。

また、2025年の大阪・関西万博では救急搬送用車両として三菱自動車のミニキャブEVが納車されています。

まだ主流とまではいえませんが、静粛性や低振動、排ガスを出さないことのメリットは、救急車との相性が悪くありません。救急車の世界でも、少しずつ電動化が進み始めていることがうかがえます。

同じように見えて、役割はそれぞれ違う

救急車のベースになっている車種は、ひとつではありません。
普段よく見るハイメディックやパラメディックのような高規格救急車がある一方で、広い処置空間を活かせるマイクロバス系、災害時に力を発揮するスーパーアンビュランス、小回りの利く小型救急車など、それぞれに役割があります。

見た目は似ていても、現場で求められるものは地域や用途によって大きく異なります。
そうして見ると、救急車は単なる緊急車両ではなく、医療や消防の現場に合わせて選ばれてきたはたらくクルマだとわかります。
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