トヨタ「プリウス」とライバルのホンダ「シビックe:HEV」を徹底比較してみた!【プロ徹底解説】

プリウス

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世界初の量産ハイブリッドカーとして誕生したトヨタの「プリウス」。その第5世代モデルが、2023年1月に発売開始となりました。その新型モデルのライバルとなるのが、同じくハイブリッドカーであるホンダの「シビックe:HEV」です。この2モデルの違いを解説します。

文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
共にスポーティであることを掲げた2台
寸法とデザイン、シャシーの違い
パワートレインの違い
価格と販売方法の違い

共にスポーティであることを掲げた2台

ミッドサイズのセダンであり、ハイブリッド専用モデルであるトヨタの「プリウス」。同じくハイブリッド専用モデルとして「プリウス」のライバルとなっていたのが、ホンダの「インサイト」です。ところが現在、日本では「インサイト」の販売が終了してしまいました。そこで、同じような車格のハイブリッドカーとして、ライバルに相当するのが、ホンダの「シビックe:HEV」となります。

「シビックe:HEV」は、エンジン車である「シビック」のハイブリッド版として2022年7月より国内での販売がスタートしました。ベースとなった「シビック」は、2021年8月に発売となっており、コンセプトは「車との一体感で乗る人すべてが爽快になる」というもの。そして、そのハイブリッド版のコンセプトは「爽快スポーツe:HEV」。つまり、キーワードが「スポーツ」となります。爽快な走りと、環境性能の両立を目指すというのが、「シビックe:HEV」の狙いとなります。
一方、トヨタの新型「プリウス」のコンセプトは、「これからの時代も選んでいただける愛社」です。環境性能だけでなく、「愛車」として選んでもらうために「一目惚れするデザイン」と「虜にさせる走り」を身に着けています。「シビックe:HEV」と同様なスポーティ走りだけでなく、デザイン面にも力を入れているのが「プリウス」の特徴と言えるでしょう。

寸法とデザイン、シャシーの違い

「シビックe:HEV」も「プリウス」も同じFFプラットフォームを使っています。しかし、「プリウス」は、後輪にモーターを備えるE-Fourと呼ぶ4WDを用意しますが、「シビックe:HEV」はFFのみとなります。

サイズは、「シビックe:HEV」が全長4550×全幅1800×全高1415mmでホイールベースが2735mm。一方、「プリウス」は全長4600×全幅1780×全高1430mmで、ホイールベースが2750mm。2台の違いは、どこも数センチ程度。非常に近いスペックとなります。
サスペンションは、「シビックe:HEV」は、フロントがストラットでリヤがマルチリンク式。「プリウス」はフロントがストラットに、リヤがダブルウィッシュボーン式。タイヤ&ホイールは、「シビックe:HEV」が235/40R18に対して、「プリウス」はメイングレードに195/50R19を装着。最小回転半径は、「シビックe:HEV」が5.7mなのに対して、「プリウス」は5.4m。タイヤサイズとしては、「プリウス」の方が、直径の割に細いタイヤとなっています。

パワートレインの違い

ハイブリッドシステムの仕組みは、それぞれに異なります。「プリウス」は、エンジンと駆動用と発電用の2つのモーターという3つを、遊星ギヤで繋げた方式。エンジンとモーターの力をシームレスに幅広い領域で両方とも使うのが特徴です。一方、「シビックe:HEV」は、ほとんどの走行シーンをモーター駆動で賄い、高速走行の一部だけエンジンの力で直接駆動します。どちらも、シリーズ&パラレル方式と呼びますが、その内容は異なります。

「プリウス」は、駆動に使われるのがエンジンなのかモーターなのかが、はっきりと分かれていません。一方、「シビックe:HEV」は、モーター駆動とエンジン駆動を、より明確に使い分けています。

また、「シビックe:HEV」は2リッターのエンジンとモーターの1種のハイブリッドですが、「プリウス」は2リッターと1.8リッターの2つのハイブリッドを用意します。
次に、それぞれのハイブリッドシステムの性能を見比べてみましょう。「シビックe:HEV」の駆動用モーターのパワーは135kW(184PS)・最大トルク315Nmで、高速走行域では104kW(141PS)・最大トルク182Nmのエンジンを使います。それに対して「プリウス」は、2リッターのハイブリッドでシステム走行出力144kW(196PS)、1.8リッターで103kW(140PS)というもの。ちなみに「プリウス」の2リッターのハイブリッドに使われる駆動用のフロントモーターの出力は83kW(113PS)・最大トルク206Nmです。2リッターのハイブリッド同士であれば、それほどパワーの違いはないはずです。

燃費性能は「シビックe:HEV」が24.2km/l(WLTCモード)に対して、「プリウス」は2リッターで27.6km/l、1.8リッターで32.6㎞/l。燃費性能は、「プリウス」が勝っています。

価格と販売方法の違い

価格は、2リッターのFFしかない「シビックe:HEV」が394万200円に対して、1.8リッターと2リッターの2つのパワートレインがあり、しかもFFと4WDの両方を用意する「プリウス」は275~392万円と、より価格帯が幅広くなっています。ちなみに2リッターのFFの「プリウス」の価格は320~370万円。価格は「プリウス」の方が安く設定されています。
また、「プリウス」の1.8リッターモデルは、法人向けと、サブスクリプション向け。販売方法も異なっているのが特徴です。
同じような車格で、パワートレインも同じ2リッターのハイブリッドを用意する「プリウス」と「シビックe:HEV」。どちらも、スポーティな走りと優れた環境性能を備えているのも特徴です。ただし、「プリウス」の方が、駆動方式やグレードが幅広く、価格も安く設定されています。その価格と販売方法が最も大きな近いかもしれません。
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