トヨタ「プリウス」の先代との比較!なにがどれだけ進化したのか?【プロ徹底解説】

新型プリウス

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トヨタの「プリウス」の新型モデルが2023年1月より発売となりました。1997年に世界初の量産ハイブリッドカーとして初代が誕生してから、今回で5代目となります。先代モデルと比べると、新型は、どんなところが変わったのでしょうか。先代と最新モデルを比較してみました。

文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
TNGAを採用した先代モデル
コンセプトを一新した最新モデル
スタイリングはどれだけ違ったのか?
パワートレインの進化
トヨタセーフティセンスの進化

TNGAを採用した先代モデル

ハイブリッドカーの先駆者であるトヨタ「プリウス」。その第一義は「圧倒的な低燃費性能」です。燃費を良くするために考えられた技術がハイブリッドですから、その狙いは当然のこと。2015年12月に登場した先代モデルも、発表時のトヨタからのリリースには「JC08モード40.8㎞/lの低燃費を実現」と、燃費性能良さが大きく謳われていました。

ただし、燃費一辺倒ではなく、「走行性能の大幅向上を図るとともに」と、走りの良さもテーマとなっていました。ちょうど、当時のトヨタは、先代社長の豊田章男氏の元、「もっといい車づくり」を掛け声に、トヨタ車の走りの良さを高める努力をしていました。そのために、新しい車作りである「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(通称:TNGA)」を採用。その第一号車が、先代の「プリウス」でした。
先代「プリウス」が走りを良くするために、具体的に採用したのは「低重心の新型TNGAプラットフォーム」「最大熱効率40%を実現した1.8リッターのエンジン」「小型・軽量化、低損失化をしたシステム」など。燃費は、古い方式のJC08モードでしたが、最高で40.8㎞/ℓを達成しています。ただし、通常グレードは、FFで37.2㎞/l、4WDで34.0㎞/lとなっていました。ちなみに、現在と同じWLTCモードで言うと、最終的にFFで最高32.1㎞/l(通常グレードは30.8㎞/l)、4WDで28.3㎞/lとなっています。

コンセプトを一新した最新モデル

燃費性能の良さが売りのハイブリッドカー。ところが、初代「プリウス」の登場から四半世紀近くが経過する中で、ハイブリッド技術は、どんどんと普及してゆき、幅広い車種に採用されることになります。そうすると「ハイブリッド専用モデル」の存在意義がだんだんと薄れてしまいました。

そのため新型「プリウス」では、開発時に、さまざまな方向性の変更が検討されたと言います。「廉価にしてタクシー専用車にしてはどうだ?」という意見もあったとか。しかし、最終的には、「これからも選んでもらえる“愛車”を目指す」ことになりました。そのため優れた燃費はそのままに、スタイリッシュなデザインとスポーティな走りを備えることになったのです。
その狙いは、一目瞭然です。驚くほど、傾斜のきついAピラーに、低く構えるスタイル。まるでスポーツカーのようなルックスです。また、ハイブリッドシステムもエンジンを2リッターに拡大して、パワフルになっており、ハンドリングも磨かれています。一方で、サブスクリプション向けと法人向けグレードには、1.8リッター・エンジンを搭載して、優れた低燃費性能を継承しました。

スタイリングはどれだけ違ったのか?

新しい「プリウス」も、中身は先代と同様のTNGAプラットフォームを使っています。そのためフロントがストラット、リヤがダブルウィッシュボーンというサスペンション形式は、そのまま。ただし、その内容は、多岐にわたって改良され、第2世代と呼ぶべき内容となっています。大きな変化は、全高を40mm下げて、重心を下げたこと。そして、15インチを標準としていたタイヤ&ホイールを、一気に19インチまで大きくして、トレッドもワイド化しました。
寸法の変化は、新型の方が全長で25mm長く、全幅も20mm大きく、一方で全高が40mmも下がっています。横から見たときに、三角形になる歴代「プリウス」の特徴は、新型になっても継承されていますが、三角形のピークとなる部分は、車の後ろ側に移動しています。

パワートレインの進化

「プリウス」の心臓部となるのがハイブリッドシステムです。先代モデルでは、1.8リッター・エンジンを使う1種類のシステムだけでしたが、新型「プリウス」では2リッターと1.8リッターのエンジンを使う2種類のシステムが用意されています。

そのスペックは、先代の1.8リッターのシステムで総合出力は90kW(122PS)でした。それが新型になることで、2リッターはFFで144kW(196PS)、4WDは146kW(199PS)、そして1.8リッターでも103kW(140PS)にまでパワーアップしています。2リッターでは1.5倍以上、1.8リッターでも10%以上もパワフルになっているのです。
また、燃費はWLTCモードで、先代でFFの最高が32.1㎞/l(通常グレードは30.8㎞/l)、4WDで28.3㎞/lだったところ、新型の2リッターはFFで28.6km/l、4WDは26.7㎞/l、1.8リッターはFFで32.6㎞/l、4WDで30.7㎞/lとなっています。2リッターモデルは、19インチのタイヤホイールを装着していることで、スペックは悪化しています。一方、1.8リッターは、先代を上回る数値となっています。ちなみに、新型の2リッターでも、タイヤ&ホイールを17インチに小さくすると、燃費はFFで31.5㎞/l、4WDで29.2㎞/lとなり、先代を上回ることができます。

トヨタセーフティセンスの進化

先代から新型になって先進運転支援システムも、しっかりと進化しています。「プリウス」に採用されている先進運転支援システムは「トヨタセーフティセンス」です。そのシステムに単眼カメラとミリ波レーダーを使うのは同じですが、その内容が、新型になって、より充実したものとなっています。
先代「プリウス」の「トヨタセーフティセンス」でも「プリクラッシュセーフティ」や「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)」「レーンデパーチャーアラート」「オートマチックハイビーム」「ブラインドスポットモニター」などが採用されていました。ただし、「プリクラッシュセーフティ」は、歩行者(昼夜)と自転車運転者(昼)というもの。一方、新型では、自転車運転者が「昼夜」対応になり、自動二輪車(昼)も対象に追加されています。さらに、交差点で右折するときにまで作動するようになっています。細かな機能が、数多く追加されているのが特徴です。

また、駐車をアシストする機能も進化しており、新型では、オプションとなりますが、スマートフォンで車外から車をリモート操作する機能まで用意されています。
先代モデルと新型モデルを比較してみれば、「プリウス」の伝統となる優れた燃費性能という基本が継承されていることがわかります。それでいて、新しい時代の「愛車」を目指すために、新型はスタイルと走りを磨き上げたこともわかりました。

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