エンジン車とハイブリッド「e-POWER」を用意した日産セレナのパワートレインを紹介【プロ徹底解説】

日産セレナ

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2022年11月にフルモデルチェンジで新型となった日産のセレナ。日産の人気ミニバンです。新型セレナに搭載されるパワートレインは、どのような内容なのでしょうか。その特徴と性能を解説します。


文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
ハイブリッド「e-POWER」は2023年春に登場
先代から継承された2リッターのガソリン・エンジン
第2世代に進化したハイブリッド「e-POWER」
車酔いを防止するための走行性能

ハイブリッド「e-POWER」は2023年春に登場

新型セレナのパワートレインは、ガソリンのエンジンと、ハイブリッドの「e-POWER」の2種類が用意されています。駆動方式としては、エンジン車はFFと4WDの両方が用意されていますが、ハイブリッドの「e-POWER」はFFのみとなっています。
先代にあったマイルドハイブリッドとなる「S-HYBRID」は、新型には用意されていませんでした。


また、昨年11月のフルモデルチェンジではエンジン車のみの発売となっており、ハイブリッドの「e-POWER」は内容こそ発表されていますが、発売自体は2023年の春と告知されています。また、最先端の運転支援システムである「プロパイロット2.0」を搭載する、最上級グレード「LUXION(ルキシオン)」は、ハイブリッド「e-POWER」のみの設定となります。これもまた、2023年春に新登場することになります。

先代から継承された2リッターのガソリン・エンジン

ガソリン・エンジンは、2リッターの直列4気筒DOHCの「MR20DD」エンジンを搭載しています。燃費向上の機能としては、アイドリングストップ装置と充電制御が採用されています。組み合わされるトランスミッションはCVT。4WD仕様も用意されています。
エンジンのスペックは、最高出力110kW(150PS)に最大トルク200Nm。燃費性能はFFで最高13.4km/l(WLTCモード)、4WDで11.6㎞/l(WLTCモード)となります。先代のマイルドハイブリッド「S-HYBRID」では、FFで13.2km/l(WLTCモード)、4WDで11.8km/l(WLTCモード)でした。マイルドハイブリッドを廃止しながらも、FFでは若干燃費性能を向上させています。

第2世代に進化したハイブリッド「e-POWER」

新型セレナに搭載されるのは「e-POWER」と呼ぶ日産独自のハイブリッド・システムです。特徴は、エンジンは発電に徹しており、駆動はすべてモーターが行うということ。いわゆるシリーズ式ハイブリッドとなります。
今回の新型セレナには、第2世代に進化した「e-POWER」が搭載されました。エンジンは、従来の1.2リッターから1.4リッターに排気量を拡大。さらにモーターも、よりパワフルになっています。エンジンは新開発された「e-POWER」専用エンジンで、型式は「HR-14DDe」。1.4リッター直列3気筒DOHC。最高出力は72kW(98PS)で、最大トルクは123Nm。旧型の1.2リッターは62kW(84PS)・103Nmと比べると15%ほどもパワーアップしています。モーターも、旧型の100kW(136PS)から、新型の120kW(163PS)にまで、20%も出力を向上させています。


パワーアップしただけでなく、新型となって燃費性能も向上しています。先代では最高18.0km/l(WLTCモード)であった燃費性能は、新型では最高20.6㎞/l(WLTCモード)に。最も重量のある最上級グレードの「LUXION(ルキシオン)」でも18.4km/l(WLTCモード)となり、先代を上回っています。


また、カーナビゲーションと連動して、目的地に近づいたときにEV走行できるよう、目的地までの経路での充放電を管理する技術を世界初採用。より快適なドライブが可能となっています。

車酔いを防止するための走行性能

新型セレナは、車酔いを防止する工夫を随所に採用したのも特徴の一つ。その工夫は走行性能に関しても施されています。


「e-POWER」は、エンジンの作動音と振動を抑制し、車体の動きを滑らかになるように制御を工夫しています。アクセルペダルだけで加減速をコントロールできる「e-Pedal Step」の操作性も向上されました。
高剛性サスペンションも車体の動きを滑らかにすることに貢献します。さらにステアリング・システムもより強度の高い高剛性なものとすることで、操縦安定性をアップ。ブレーキの作動も、いわゆる「カックンブレーキ」にならないように、滑らかに作動するように調整されています。車の動き全体をスムーズにすることで、乗員の身体の無駄な揺れを減らし、車酔い防止につなげます。
新型セレナのパワートレインのトピックは、主にマイルドハイブリッドである「S-HYBRID」の廃止と、ハイブリッドである「e-POWER」の第2世代への進化という2点にあります。マイルドハイブリッド廃止による悪影響はほとんどないと言っていいでしょう。一方、「e-POWER」の進化は、相当に大きいと言えます。また、車酔い防止のために走行性能にも工夫が施されているというのも、新型セレナの特徴であり、魅力と言えるでしょう。
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